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富山市内のカレー店やジャズバーも紹介したNYタイムズ、興奮気味の知事「来たか!という感じ」

読売新聞 / 2025年1月10日 16時54分

 米紙ニューヨーク・タイムズは7日、世界の旅行先として「2025年に行くべき52か所」を発表し、富山市が選ばれた。選出の決め手は、地元で長く親しまれてきた美術館や伝統行事、個性にあふれた飲食店の存在だ。富山の「隠れた魅力」に着眼した米紙記事を受けて、関係者らは喜びに浸った。

木材と光の大聖堂

 記事では世界の旅行先を52か所選び、富山市を30番目に紹介している。市について「混雑を避けながら、文化的な感動や美食を楽しめる」と評価。「能登半島への玄関口としての役割を果たし、地震からの復興活動の一環として観光客を呼び込んでいる」と記した。

 カレー店「スズキーマ」(富山市西町)や、ジャズバー「ハナミズキノヘヤ」(同市南田町)など、地元住民が通い続ける飲食店にも言及した。

 米紙記事で「木材と光でできた、そびえ立つ大聖堂」と例えられた市ガラス美術館は、建築家・隈研吾氏の設計で知られ、今年開館10周年を迎える。同館では3年に1度、ガラスアートの国際公募展「富山ガラス大賞展」も開催し、50以上の国・地域から応募がある。同館の土田ルリ子館長は「取り上げていただいたことは大変名誉なこと。ガラスの発信地である美術館を楽しんでもらうとともに、感動を持ち帰っていただきたい」とコメントを出した。

観光公害対策必要

 三味線や胡弓こきゅうが奏でる「越中おわら節」に乗せて踊り手が三日三晩練り歩く伝統行事「おわら風の盆」についても紹介。昨年は県などがインバウンド(訪日外国人客)向けに、うちわや手ぬぐいといった「推し活」グッズのほか、演舞鑑賞や、踊り体験ができるプランも販売した。

 行事運営委員会の会長を務める金厚有豊・富山市議は「影響は未知数だがすごいことだ」とし、「インバウンドにも参加してもらえるようなイベントをもっと行いたい」と意気込む。一方で、交通の混雑などオーバーツーリズム(観光公害)も懸念されることから、「受け入れ体制について市や県とともに考えていかなければならない」と話した。

盛岡では外国人宿泊客9・5倍増

 富山市観光政策課の頼成玲宏課長代理は「大規模な観光施設は少ないが、個性光る店が多いのが市の魅力」とアピール。同課によると、市のコロナ禍前の外国人延べ宿泊者数は13万5586人(2019年)。コロナ禍の影響で一時は2630人(21年)まで減少したが、23年は9万682人に回復した。

 23年に同紙に選出された盛岡市では、23年の外国人宿泊客数は前年の約9・5倍に激増した。富山市でも欧米中心にインバウンド増が見込まれる。

 藤井裕久市長は「コンパクトシティー政策を20年間続け、中心市街地ににぎわいが生まれたことが評価されたのでは」と分析。「伝統文化が受け継がれてきた地であるとともに、居酒屋で地酒も楽しめる。この機会を追い風に、富山を訪れ、能登に思いをはせてほしい」と話した。

 富山県全体への波及効果も、見込まれ、新田知事は「『来たか!』という感じ。我々にとっても励みになる。リピーターになっていただければ」と興奮気味に話した。

 市民からも歓迎の声が上がった。同市北新町のパート従業員の女性(64)は「富山市の良さが世界に広がるのはとても良いこと。観光客のお手伝いをしたいので、英会話教室に通ってみようかな」と笑顔を見せた。

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