消防援助隊に放水ロボ、能登地震教訓に国が配備へ…遠隔操作でき初期消火の迅速化に期待
読売新聞 / 2025年1月11日 15時0分
総務省消防庁は来年度、地震や水害など災害時に被災地に入る「緊急消防援助隊」の機材の拡充支援に乗り出す。能登半島地震の教訓を受け、大規模火災の際に無人放水できるロボットや、狭い悪路でも活動が可能な小型車両などを配備し、発生直後でも機動的に対応できるよう体制を強化する。
無人走行放水ロボットは、数百メートル離れた場所から遠隔操作で火災現場まで走行、放水することが可能だ。損傷した道路や狭い路地でも走行でき、初期消火の迅速化が見込まれている。能登半島地震の際に石川県輪島市で発生した火災では、道路の寸断などにより初期消火が遅れ、鎮圧までに時間を要して被害が拡大した。
無人ロボは、高温の場所や薬品を扱う危険施設など、隊員が容易に近づけない現場で消火作業ができることも利点だ。実際、昨年1月に羽田空港で日本航空と海上保安庁の航空機が衝突した事故では、機体周辺が高温となり、東京消防庁の無人ロボが消火活動に当たった。総務省消防庁は配備を希望する消防本部を全国から募り、3か所での整備を想定している。
同庁は、小型・軽量化された「機動前進指揮車」や、自衛隊のヘリコプターに載せられる「救助先行車」などの特殊車両の導入も支援する方針だ。発災直後に道路事情が悪くなった被災地の前線に迅速に入り、指揮を執ったり、救助活動をしたりすることが期待される。
能登半島地震の大規模火災を受けた同庁の有識者検討会は、資機材の充実などを講じるよう報告書に盛り込んだ。ただ、予算面から単独では配備が困難な消防本部も多く、同庁で支援に取り組むこととした。
◆緊急消防援助隊=被災地の消防機関だけでは対処できない大規模災害などの発生時、消防庁長官の指示を受けて被災地救援のために出動する部隊。1995年の阪神大震災を教訓に創設され、全国の消防本部などから約6600隊が登録されている。
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