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阪神大震災時代の家電に使われた金属を池の土から発見…過去の被災状況を検証する新手法に

読売新聞 / 2025年1月11日 15時0分

 阪神大震災で被災した建物などから飛散したとみられる物質が、神戸市内にある池の底の堆積たいせき層に含まれていることを大阪公立大などの研究チームが確認した。阪神大震災の痕跡とみられる物質が池の堆積物から検出されたのは初めて。アスベスト(石綿)などの有害物質が見つかる可能性があり、文献の乏しい過去の地震の被災状況を科学的に検証できる新手法として注目される。

 池や湖などの底にたまった物質は流出しにくく、災害の痕跡が残りやすいと考えられていた。

 チームは2022年、震度7を記録した神戸市東灘区にある公園の池を調査。底の土を深さ約50センチまで筒状に取り出し、1990年代と推定された地層を詳しく調べたところ、家電に使われている特殊な金属2種類の濃度が、10年ごとの他の年代よりも高いことが判明した。

 建材の一部とみられる粒子も確認され、チームは、95年1月の阪神大震災で倒壊した建物や災害廃棄物から飛散した物質が堆積した可能性が高いとみている。

 被災建物から飛散した物質を調べた先行研究では、兵庫県の研究機関が震災前後を比較し、大気中に含まれる複数の金属粒子が増加したと97年に報告している。

 今回の調査手法を、関東大震災など過去の地震の被災地に活用すれば、どこまで被害が及んだかなどの検証に役立つ可能性がある。

 また阪神大震災ではがれきの撤去や解体作業中に飛散したアスベストが中皮腫などの健康被害をもたらしたとされ、今回の調査が進めば、健康への影響範囲の特定につながることが期待される。

 チームの井上淳・大阪公立大教授(環境地質学)は「池の堆積物には当時の証拠が眠り続ける利点がある。神戸の住民の協力も得てさらなる調査を行い手法を確立したい」としている。

 中川毅・立命館大教授(古気候学)の話「震災当時の状況の解明に有効なアプローチになる可能性がある。面的に調べられれば被災地全体の傾向まで把握できるかもしれない」

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