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焦点:存在感増すハリス副大統領、左派取り込みバイデン氏支える選挙戦

ロイター / 2024年3月30日 7時39分

 3月29日、ハリス米副大統領(写真右)がこの数週間、バイデン大統領(同左)の影から抜け出し存在感を示している。デラウェア州ウィルミントンで2月撮影(2024年 ロイター/Joshua Roberts)

Trevor Hunnicutt

[29日 ロイター] - ラッパーのファット・ジョーをホワイトハウスに招き大麻関連法の改革で意見交換、中絶クリニックを訪問、「血の日曜日」事件が起きたアラバマ州の橋でガザ停戦を呼びかけ、フロリダ州の学校の銃乱射事件の惨状の現場を歩く──。ハリス米副大統領がこの数週間、バイデン大統領の影から抜け出し存在感を示している。ターゲットは2期目を目指すバイデン氏に背を向ける有権者層だ。

バイデン氏は、民主党の進歩派から親イスラエル的姿勢を批判され、世論調査ではライバルのトランプ前大統領と支持が拮抗している。

左寄りの有権者がバイデン氏の高齢やリーダーシップの欠如を問題視する中、59歳のハリス氏は、世間で議論を呼んでいる問題にバイデン氏よりも積極的に関わっている。

たとえば女性が命の危険にさらされる中絶問題。バイデン氏は、中絶の権利を擁護しながらも「非常に私的で痛みを伴う」問題と強調する。

これに対しハリス氏は、現職の副大統領として初めてとみられる中絶クリニックを訪問し、「子宮筋腫のような問題、乳がん検診、避妊ケアもここでやっている。中絶ケアももちろんそうだ」と述べ、中絶が女性医療の基本的な部分との立場を鮮明にした。

公民権運動の中の1965年に血の日曜日事件が起きたアラバマ州セルマでは、イスラエルのイスラム組織ハマスへの攻撃について、「ガザでの計り知れない苦しみを考えると、即時停戦しなければならない」と政権幹部として最も踏み込んだ発言をした。またガザでの「人道的大惨事」と呼ばれる事態を緩和するため、イスラエルにさらなる努力を求めた。

ハリス氏が使った「停戦」は、民主党の左派議員が待ち望んでいた言葉で一部から大いに評価された。

しかし民主党予備選で「支持候補なし」でバイデン氏に抗議するよう呼び掛けているグループの幹部は、「副大統領がガザについて、より共感的な対話に変えようとしているのは間違いない。しかし彼女がより意味のある政策転換を推し進めているという証拠がない以上、新しい言葉を導入しても響いてこない」と語る。ハリス氏に必要なのは、「米国の政策を変えるためにバイデンの尻を叩くこと」だという。

<一蓮托生>

ハリス氏とバイデン氏の間で方針の違いがあるという指摘について、ハリス氏の現側近と元側近は、違いは話し方と強調点が異なることだと反論。ハリス氏の取り組みは、場合によっては検事時代にさかのぼる関心分野を反映していると説明する。

ハリス氏の元スピーチライターのデイブ・キャベル氏は「彼女は、この国が直面する最も重要な問題、この選挙で決定的要素になる問題のの最先端にいる」と述べた。

バイデン氏は、選挙に勝つためには保守層の票を必要とする。しかし保守層の反発を招かずに見解が分かれる文化的問題を強調することはできないと新旧の側近は指摘する。バイデン氏は民主党の「連合(coalition)のリーダー」として、核心的な経済問題に焦点を当てて中道派の関心を集める必要がある。

実際、バイデン氏は今年、ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニアといった選挙戦の激戦州を訪れた際、海外に流出した製造業の雇用を取り戻し、労働組合を支援するといった家庭に直結する経済政策をアピールした。一方、ハリス氏は、経済政策にとどまらず「生殖の自由のための闘い」、「自由のための闘い」などと銘打った遊説ツアーを展開している。

ハリス氏は遊説先で批判の矢面に立つこともしばしばだ。特にバイデン政権のイスラエル寄り政策を巡り「戦争犯罪者」と罵倒を浴びることもある。

ホワイトハウスの側近の中には、政権スポークスマンとしての役割を十分果たせるか不安視する向きもいる。しかし、ハリス氏にはバイデン氏という強いサポーターがいる。

ハリス氏もバイデン大統領と足並みが揃わないという印象を与えないよう、注意深く立ち回っている。バイデン氏はハリス氏について2月には「彼女が大好きだ」と述べ、3月には「素晴らしい仕事をしている」と語っている。

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