武道館ライブ開催を発表した「とんねるず」の魅力に再注目! 世間で報じられる「オワコン化」の真相とは
オールアバウト / 2024年4月18日 20時50分
日本武道館ライブの開催を発表した「とんねるず」について、その魅力を元テレビ局スタッフの筆者が再検証。また、『とんねるず THE LIVE』では、どんな企画が行われるのかを推測していきます。(サムネイル画像出典:『土曜朝6時 木梨の会。』公式Xより)
お笑いコンビ・とんねるずが、2024年11月8、9日の2日間にわたり『とんねるず THE LIVE』を日本武道館で開催します。
2018年に、コンビで出演していた『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)が終了してからは、それぞれソロとしての活動を本格化。コンビとしての姿を見られるのは、毎年恒例となっている正月番組『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』(テレビ朝日系)くらいでした。
今回、『とんねるず THE LIVE』を開催することで、コンビとしての仕事も増えていく予感がビンビンとしています。そこで、この記事では元テレビ局スタッフで、とんねるずの影響を直撃している筆者が、コンビの魅力を再検証していきたいと思います。
高校の同級生コンビ・とんねるずのプロフィール
ここで改めて、とんねるずのプロフィールを簡単に紹介します。石橋貴明さんと木梨憲武さんのコンビで、2人はスポーツの名門として知られる「帝京高等学校」の同級生。1980年に結成すると、1982年には『お笑いスター誕生!!』(日本テレビ系)でグランプリを獲得して注目を集めます。その後、『オールナイトフジ』『夕やけニャンニャン』(ともにフジテレビ系)に出演し、破天荒なキャラクターでブレークを達成。
さらに、1985年に放送を開始したラジオ番組『とんねるずのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)が若い世代から絶大な支持を受けて、一気にスターの階段を駆け上がります。
漫才ブームの後に出現した、バラエティ番組のスーパースター
とんねるずが活躍し始めた1980年代は、漫才ブームが一段落して新たなスターを探している時期でした。そんな中とんねるずは、それまで活躍した漫才師たちとは一味違い、ものまねやアクシデントなどが起きる瞬発的な笑いを得意とする「部室芸」を作り上げます。同世代のウッチャンナンチャン、ダウンタウンとは違い、作り込まれた漫才やコントではなく即興的な笑いを披露。番組に出演するとどんなアクシデントを起こしてくれるのかと、ファンは2人の一挙手一投足に注目していました。
その勢いは『とんねるずのみなさんのおかげです』シリーズや、『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』(日本テレビ系)で生かされ、両番組で数々の伝説的な企画を立ち上げます。
『とんねるずのみなさんのおかげです』シリーズでは、「仮面ノリダー」をはじめとするパロディコントから、近年では『おかげでした』にて、「食わず嫌い王決定戦」「モジモジくん」「きたなトラン」「○○、××を買う。」「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」など、新しい形のメガヒット企画を次々と生み出しました。
『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』でもドッキリや大物ゲストとの対決シリーズ、心霊写真を使ったネタなど、令和のテレビ番組では放送できないような過激な企画を実現。さらに、一般人や著名人がカップル成立を目指す『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)、著名人が提供する商品を参加者がオークションで競り落とす『とんねるずのハンマープライス』(フジテレビ系)など、新機軸の番組を次々とヒットに導きました。
漫才やコント(パロディコントの名作は多いが……)などネタをほとんど披露しないとんねるずは、それまでのお笑い芸人にいなかった異質なコンビとして、良くも悪くも脚光を浴び続けることになります。
そんなとんねるずの魅力は、石橋さんの大物芸能人にも物怖じしない押しの強いキャラと、木梨さんのひょうひょうとしながらむちゃをするアナーキーな攻撃性にあります。今ならコンプライアンスでNGの企画も多いですが、隣のお兄さん的存在の2人が、体を張りブラウン管の中で大暴れする様子を、多くの視聴者が熱狂して応援し続けました。
歌手としての大ヒットで、とんねるずはお笑い界の頂点に
そして、とんねるずを語るうえで欠かせないのがヒット曲の数々です。主に2人の活躍を支え続けた秋元康さんがプロデュースし、『一気!』『雨の西麻布』『迷惑でしょうが…』『炎のエスカルゴ』などを次々とリリース。さらに、1990年代に入ると人気が加速し、『情けねえ』『一番偉い人へ』を大ヒットに導きます。この2曲は、これまでさんざん悪ふざけをしてきた2人が、真剣に社会に問題提起をするようなメッセージソングとして発表。
かと思えば、番組に関連した大ヒット曲『ガラガラヘビがやってくる』『がじゃいも』など、コミックソングも発売する振り幅の広さを見せます。普通の歌手ではできないおふざけと真面目の共存を見せ、さらにその流れは番組ユニット・野猿の大ブレークにもつながります。
とんねるずの人気があったから楽曲もヒットしたと考えられがちですが、全ての作品が秋元さんを中心にコンセプトを持ち制作され、初期の作品も含め名作ぞろい。コメディーとシリアスを縦横無尽に行き来しながら、全てを飲み込んでしまうようなセンスと影響力をとんねるずは持ち、お笑い芸人として芸能界の頂点に君臨することになります。
ソロで“新たな挑戦”を続ける2人
そんなとんねるずですが、徐々に番組も減り続け、『とんねるずのみなさんのおかげでした』が終了すると各マスコミが2人に対して「時代が終わった」と報道し始めます。2人の横暴とも取れる芸風が視聴者から飽きられ、パワハラ的な笑いが時代に合わなくなった、というのが「オワコン化」の理由。確かに、ライバルであるダウンタウンもそれまでの暴力的な表現のコントや企画を改め、芸能界全体がとんねるずの作り出す笑いに合わなくなり始めていたのは事実です。ならばと、活動の場所を2人は変え始めていきます。
まず、木梨さんは個展『木梨憲武展 Timing -瞬間の光り-』の開催に代表されるアート活動や、歌手として音楽フェスなどを実施。特に、アーティストとして多くのファンを魅了し、コロナ禍もありながら2018年にスタートした『木梨憲武展 Timing -瞬間の光り-』は累計入場者数が122万人を突破しています。
また、2024年に入ると俳優業を復活させ、『春になったら』(関西テレビ・フジテレビ系)で主演を担当。等身大の演技で高評価を得ています。
石橋さんに関しては、2020年6月にYouTubeチャンネル「貴ちゃんねるず」を開設すると、テレビプロデューサーのマッコイ斎藤さんとのコンビで名企画を連発。現在でも人気は続き、YouTuberとしての素質も見せます。
さらに、最近ではネット配信のABEMAでいくつかの番組に出演。テレビではなくネットを主戦場として、しっかりと実績を出すことに成功しています。
『とんねるず THE LIVE』では何が起こる?
ここ数年は個人での活躍が目立ったとんねるずが、本格的にコンビとしてファンの前に立つ『とんねるず THE LIVE』。果たして、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、推測してみたいと思います。このイベントのPR用リリース文では、「二人のライブを開催したいというフジテレビのスタッフの熱意と、石橋貴明、木梨憲武の想いが合致し、約6年の年月を経て今年ついに実現」と書かれています。
フジテレビの全面バックアップとなるライブであり、ヒット曲の歌唱はもちろんのこと、往年の番組に関連した企画の披露も期待されます。また、過去に『とんねるずのみなさんのおかげです』シリーズでは、多くの芸能人やミュージシャンをゲストに呼んでいたので、同窓会的なイベントになる可能性が大。このイベントが成功すれば、ダウンタウンの松本人志さんが性加害疑惑で長期休業中なだけに、とんねるずが再ブレークしフジテレビで番組を持つなんてことも夢ではありません。
オワコンと言われながらも、日本武道館で『とんねるず THE LIVE』というサプライズを仕掛けたとんねるず。かつて、テレビのバラエティを作り出してきた2人が、ソロ活動期間を経て、令和の時代にも新しい形で大暴れする姿を、われわれ往年のファンとしても見たいところです。
この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。
(文:ゆるま 小林)
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