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令和ロマンの「テレビ出演を断っている」発言が物議。新世代のM-1王者がテレビ出演を重視しないワケとは

オールアバウト / 2024年4月9日 20時35分

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令和ロマンの高比良くるまさんが、「テレビ出演を基本的に断っている」と発言し大きな話題を集めています。この記事では、『M-1グランプリ』の王者とテレビの関係について、元テレビ局スタッフが考察を行っていきます。(サムネイル画像出典:M-1グランプリ公式Xより)

2023年末に放送された、『M-1グランプリ2023』(テレビ朝日系)で見事に優勝したお笑いコンビ・令和ロマン。緻密に計算された漫才で爆笑を巻き起こし、第1回大会の中川家以来となるトップバッターでの優勝を達成しました。

そんな令和ロマンの高比良くるまさん(※高は「はしごだか」)が、NON STYLE・石田明さんのYouTubeチャンネルに出演し、「テレビ出演を基本的に断っている」と明かして話題を集めています。

確かにこれまでのM-1王者から比べると、優勝後にテレビ出演が少ない傾向にある令和ロマン。くるまさんの発言によりさまざまな意見が飛び交っている中で、改めて芸人とテレビの関係について、元テレビ局スタッフの筆者が考察してみたいと思います。

『M-1グランプリ』は芸人たちが夢をつかむコンテストに

現在のお笑い界において、もっとも権威があるコンテストは紛れもなく『M-1グランプリ』でしょう。優勝コンビだけでなく、決勝に残った芸人たちは番組の放送終了後にテレビ出演が多くなる傾向にあります。
例を挙げれば、2021年、2022年に優勝した錦鯉やウエストランドは、翌年からテレビ出演が劇的に増え一気に大ブレークを達成。2007年王者のサンドウィッチマンも、M-1での活躍をきっかけに、現在の国民的な人気を獲得したといえるでしょう。また、優勝できなかったものの、南海キャンディーズやオードリー、おいでやすこがなどM-1での活躍でブレークした芸人は多く存在します。

『M-1グランプリ』は、視聴率や注目度が高いコンテストであり、ブレークのきっかけを獲得した先人たちがいたことで、芸人だけでなく視聴者も「M-1で活躍すればブレークする」という認識を持ちました。ファンも芸人も、『M-1グランプリ』で活躍するとテレビ番組にたくさん出演し大ブレークする、という構図が普通のことだと思っています。

ゴールデン帯で番組が放送される『M-1グランプリ』は、活躍すればすぐに人気を獲得できる魔法のようなコンテストになっています。

賛否両論も……令和ロマン×人気YouTuberコラボの真意とは

そんな『M-1グランプリ』だからこそ、令和ロマン・くるまさんがテレビ出演を「基本的に断っている」と発言したことで、物議を醸しているわけです。

ちなみに、くるまさんの発言を解説すれば、テレビを作っているのは自分たちより上の世代であり、熱量がその世代と合わないので出演する番組を選んでいるという内容になります。動画を見れば、テレビを否定しているわけではなく、自分たちに合った番組に出演したいと考えていることが分かります。

現に令和ロマンは、『ラヴィット!』(TBS系)に木曜レギュラーとして加入し、2024年4月から隔週で出演。その他にも、それぞれがテレビ番組へ出演しており、決して「テレビを毛嫌いしている」という印象はありません。
ただ、錦鯉、ウエストランドと比べてもテレビ出演が少ないのは事実。そこで、優勝後に忙しいはずの令和ロマンは何をしているのかといえば、YouTubeチャンネル「official令和ロマン【公式】」を中心に、人気YouTuberたちとのコラボを進めています。

コラボ相手を巡って賛否両論が巻き起こっていますが、SAWAYAN GAMES、料理研究家リュウジのバズレシピなどと動画を撮影。女性3人組YouTuber・ヘラヘラ三銃士とのコラボ動画も配信し、話題となりました。

YouTuberではないものの、事務所の“先輩”であるカジサックとのコラボも早期に実現。吉本興業の先輩たちのYouTubeチャンネルへの出演も多く、テレビより頻繁に動画サイトで令和ロマンを見かけます。また劇場出演も多く、ライブでさらに漫才の腕を磨いている印象です。

令和ロマンがテレビとYouTubeの“架け橋”に?

くるまさんの発言を踏まえれば、テレビ出演で費やす時間の代わりに、自分たちが興味のあるYouTuberや芸人の先輩との交流を増やし、新たなお笑いの形を生み出そうとしているように感じます。だからといってYouTuberになるわけでなくテレビ出演も行い、若手世代のお笑い芸人にとっての“最良のバランス”を図っているように感じます。

くるまさんが「テレビは“上の世代”が作るもの」と言ったように、芸人の世界では40代ですら“若手”扱いされることも。明石家さんまさんが60代後半、ダウンタウン、ウッチャンナンチャンは60歳近辺の年齢です。“真の若手”としてはM-1王者の霜降り明星が奮闘していますが、なかなか20代、30代がチャンスをつかみづらい状況なのは事実。そんな現状に風穴を開ける努力より、令和ロマンはテレビと共存しながら、YouTubeやネット配信番組でもファンを増やそうとしているのでしょう。

今回、くるまさんの発言がセンセーショナルにマスコミで取り上げられ、令和ロマンがテレビを切り捨てたと勘違いされています。それは誤解で、テレビだけではないM-1王者の活躍の道のりを、作り出そうと試行錯誤しているのではないかと考えます。

また、テレビでは現在まで世間で話題になっているYouTuberとのうまいコラボが実現していません。フワちゃんらの活躍はあるものの、ゴールデン帯で活躍したり、ヒット番組を作っているYouTuberは皆無。人気を誇るコムドットも、レギュラー番組『コムドットって何?』(フジテレビ)で挑戦しながら、思った活躍ができませんでした。

令和ロマンは、M-1王者という看板を使い、テレビとYouTubeの架け橋になる取り組みも行うのではないかと考えます。くるまさんは、YouTube動画でも常にお笑い界の未来を考えていると発言。今後はテレビでも活躍できるYouTuberの発掘を行っていき、テレビ界に革命を起こすつもりなのではないかと予測します。

M-1王者のミルクボーイもキー局を離脱。関西の劇場重視に

さて、異端児のように扱われている令和ロマンより先に、テレビ重視ではない活動にシフトしたM-1王者もいます。2019年に『M-1グランプリ』で優勝したミルクボーイです。
関東に住んでいるとテレビで見かけることは少ないですが、現在の活動は関西重視で劇場への出演でも大活躍。一部のネットニュースで「消えたお笑いコンビ」として取り上げられたミルクボーイですが、実は関西でしっかり活躍しているコンビです。

ミルクボーイはテレビ出演を重視しないのではなく、東京を中心としたキー局のテレビ出演を無理にしなくてもしっかり活躍できる道筋を作り上げました。今回のくるまさんの発言もそうですが、活躍する芸人、特に漫才師たちが「テレビ」に主軸を置くのではなく、自分たちのやりやすい形でお笑いをファンに届ける方法を常に模索していることが分かります。

これまでは、多くの国民が見ていたテレビ(特に東京に本社があるキー局)に出ることこそ、芸人として売れた証拠になりました。しかし、現在ではエンタメの領域が広がり、テレビだけが全てではなくなっています。そんな中で、令和ロマンならばYouTube、ミルクボーイなら劇場と軸足を置く場所をいろいろと考え、活動しやすい場面を自分たちで増やす努力をしているのだと思います。

芸人の高齢化に伴いテレビの「オワコン」が加速?

もともとテレビ局にいた筆者としてはさびしい限りですが、「テレビにたくさん出れば売れた!」という時代ではなくなり始めています。とはいえ、影響力が高い媒体としてテレビが君臨しているのも事実。だからこそ、くるまさんが言うように自分たちに合った番組に出演し、その上で新しいチャレンジをすることが、これから活躍する芸人には必要になっていくのだと思います。

テレビ業界で働くクリエイターたちは、今回のくるまさんの発言がいろいろと考え直すきっかけになるのではないでしょうか? 現在、松本人志さんが性加害疑惑で休業している中、仕事を増やしているのは千鳥です。千鳥は2人とも40代中盤。かつて、ダウンタウン、ナインティナインは早くから注目され、基盤を作り上げてきました。

しかしどうでしょう、現在20代はおろか、30代でブレークしている芸人は霜降り明星くらい。その霜降り明星ですら、『新しいカギ』(フジテレビ系)メンバーとして、『FNS27時間テレビ2024』(同)の総合司会を務めるものの、かつてのダウンタウンやナインティナインのような国民的なブレークはまだ先の話です。
キー局では若手芸人を起用した実験的な番組が作られていますが、成功しているものがなかなかありません。主軸となっているのは安定感のあるベテランの番組ばかり。このままの状況が続けば、芸人の高齢化が進み続け、まさにテレビはシニアしか見ない「オワコン」になる可能性が大です。

テレビ業界が今後のあり方を考えるきっかけに

錦鯉、ウエストランドも番組出演本数こそ多いものの、自身で冠番組をほとんど持てていない現状。M-1王者ですらそんな状況なので、くるまさんが「上の世代」がテレビを作っていると語るのもうなずけます。このまま、敷かれたレールに沿って、「M-1王者だからテレビ番組にとにかく出ろ!」という方針に、疑問をいだいたことが安易に想像できます。

正直に言えば、テレビ業界に変革をどう起こすべきなのかは、全く検討もつきません。ただ、今回のくるまさんのテレビに関する考え方は、「オワコン」にならないための、かすかな希望の光なのではないかと考えてしまいます。

「テレビ出演を基本的に断っている」と語ったくるまさんの本心は、動画を何度見ても分かりません。だからこそ、今回のテレビに対するM-1王者としての考えを、芸人だけでなくテレビ業界のクリエイターもしっかり考え、幅広い視聴者が喜ぶコンテンツ作りの体制を練り直す必要があると感じました。そのくらいに、今回のくるまさんの発言は、テレビ業界にとって大きなインパクトがあるものでした。くるまさんが投げかけたテレビと芸人の関わり方に対して、「テレビ」を支えてきた全ての人たちがどう反応するのか、見守っていきたいと思います。

この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。
(文:ゆるま 小林)

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