「重課金より大切なのは親の覚悟」教育革命家が語る、中学受験サポートで見落としがちなマインド
オールアバウト / 2025年1月7日 21時15分
中学受験をさせる親の中には、塾や家庭教師などに重課金する方も多くいるようです。しかし、課金よりも重要なのは「俯瞰して子どもを見守る視点」を持つこと。失敗させたくないという気持ち以上に、「失敗を受け入れる覚悟」を持っておきましょう。
子どもに中学受験をさせる保護者は少なくありません。地域によっては中学受験をする子どものほうが多いところもあるようです。その受験の合格のために、高額な塾に通わせたり、塾の学習に付いていくために家庭教師をつけたりする親も多く、それだけ子どもの進路に対してお金を惜しまない保護者がたくさんいます。
そんな保護者が、子どもへの教育投資として「重課金する行動」に潜むマインドについて考えてみたいと思います。
子どもの受験を攻略するためには「俯瞰(ふかん)」が大切
まず、保護者の方にぜひお伝えしたいのは、子どもを「俯瞰(ふかん)して見る」ことの大切さです。お金をかけた分、子どもの成績が上がる場合はいいと思いますが、上がらない可能性もあります。それを認識したうえで投資するのであれば問題ありません。しかし、「なんとしてでも合格させるために」というマインドで課金するのであれば、一度立ち止まってみてください。
「俯瞰する」をイメージするために、子どもの受験をゲームに例えてみます。
親はコントローラーを握り、キャラクターを動かしている状態で、そのキャラクターが子どもだと考えます。受験合格というゴールに対して課金して入手できるアイテムが塾や家庭教師などです。
ゲームだと課金すれば課金するだけキャラクターは強くなり、ゴールに近づくことができます。しかし、人間である子どもが、ゲームのように課金して得たアイテムをうまく使いこなせるかどうかは分かりません。そのアイテムが子どもに合っているのかの見極めが非常に重要ですし、そのためには親が子どもを俯瞰して見なければなりません。
また、ゲームとは違って、あるきっかけや意外なアイテムなどで、一気に「自走していく」可能性もあるわけです。
このように、受験はキャラクターである子どもが自身で止まったり自走するという難易度が高いからこそ、面白く達成感があるゲームなのかもしれません。
もしかして無駄金になっているかも? 失敗を恐れる課金はNG
また、課金するときの親の気持ちもとても大事です。子どもの様子を見ず、親が「絶対に受験を失敗させたくない」という恐れからする課金は、成果につながらず、無駄金になる可能性もあります。ゲームを面白くする存在として「敵」が必須ですが、今回の敵が受験に失敗することだとすると、その経験をすることも人生の豊かさにつながると思いませんか? まず、敵に向かって挑むこと自体が素晴らしいことですし、その挑戦をしなければ経験も成長もできないわけです。
挑戦するからこそ、失敗をすることもある。その失敗を経験させてあげる「親の覚悟」が必要ではないでしょうか。
もちろん悲しむ子どもを見るのはつらいでしょうが、親がどんなときでも俯瞰して子どもを見て、「あなたは大丈夫、どんなことも乗り越えていける」とどっしりと構えてあげることも重要だと感じます。まずは子どもの気持ちに共感してあげましょう。その中で経験できた失敗こそが、子どもの人生にとって宝になるのではないかと筆者は思います。
子どもの失敗を受容できないのは、完璧主義の親
子どもの失敗を受容できない親は「完璧主義」で、自分自身にも厳しい傾向があります。筆者が主宰しているコーチング塾にも多くの保護者がいらっしゃいますが、その塾生を見ていても完璧主義の人が多く、そんな人ほど「自分は完璧主義じゃない、できていないところがたくさんある」と言います。自分自身においても、できることよりもできないことのほうが気になる、結果を出せないのが許せない人はその傾向が強いでしょう。
まずは保護者自身が、自分の欠点ではなく、いいところやできたことを認める習慣を付けましょう。自己承認ができるようになると他者承認もできるのです。この「失敗を受容できる」マインドこそが、成功を引き寄せるとも言えるでしょう。
子どもが「失敗したらどうしよう」という恐れから勉強するのではなく、「合格したい!」という気持ちからチャレンジするようになるからです。
筆者の経験からみる失敗経験の重要性
筆者自身に受験における失敗はありませんが、安全校を受験し、チャレンジをしなかったため、達成感も乏しいものでした。一方で人生の挫折は経験しています。20代の頃に芸人を目指し上京するも、相方に振られたことや周囲の面白いメンバーに圧倒されて、芸人になるという夢をあきらめたことが最大の挫折です。今となってはあのつらかった経験があるからこそ、どんなときも頑張れるし、踏ん張れることを日々実感しています。失敗や挫折経験はその後の人生においてつらいことを乗り越える本人の強さにつながるのです。
そう考えると「合格」=「成功」ではないのかもしれず、自分のあのときの経験は成功とすら言えるかもしれません。かわいいわが子だからこそ、失敗してつらい経験をさせたくない。
その気持ちは十分分かります。筆者にも娘が一人いますが、受験においては失敗のリスクがあってもチャレンジしてほしいと思っています(中学受験をさせる予定はありませんが)。
一度保護者がご自身を振り返り、なるべく子どもに合った親の無理のない範囲の「課金」をして、親子にとってよりよい中学受験を経験してもらえたらと思います。
坂田 聖一郎プロフィール
教員を13年間経験した後、独立し「株式会社ドラゴン教育革命」を設立。「学校教育にコーチングとやさしさを」コンセプトに、子どもたちがイキイキと学べる教育を実現できる世の中を学校の外から作りたいという想いで活動する教育革命家。(文:坂田 聖一郎(子育て・教育ガイド))
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