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57歳会社員、貯金9700万円。62歳でリタイアしたいが、老後にかかるお金が心配に……

オールアバウト / 2025年1月10日 20時5分

57歳会社員、貯金9700万円。62歳でリタイアしたいが、老後にかかるお金が心配に……

57歳、男性会社員の方。定年となる年齢に近づき、老後資金が心配になってきたとのこと。投資が性格に合わず、老後資金はほぼ貯蓄のみですが、62歳でリタイアをしたい。母親の介護費用も不安に……。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

投資をしなくても老後は大丈夫でしょうか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回のご相談者は57歳、男性会社員の方です。定年となる年齢に近づき、老後資金が心配になってきたとのこと。投資が性格に合わず、老後資金はほぼ貯蓄のみですが、62歳でリタイアをしたい。母親の介護費用も不安に……。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

ともさん(仮名)
男性/会社員/57歳
関東/持ち家・マンション

家族構成

基本的には一人暮らし。高齢の母親(86歳)が実家で生活

相談内容

60歳という節目の年齢が近づき、老後のお金の心配が日々高まってきました。

これまで元本割れなどのリスクのあるものにはほとんど手を出さず、元本が安全なもの(銀行預金や郵便貯金など)でお金を運用してきましたが、ほとんど利息のつかない状況が長期間続いているにもかかわらず、最近の物価高で実質の資産価値はかなり目減りしているのではと感じています。さらに、最近は高齢の母親の体調も思わしくなく、介護などで同居もしくは施設に入居させる必要もありその際の費用面の心配も少なからずあります。

また、定年は60歳で、その後65歳までは希望すれば働くことは可能(年収は半分程度)ですが、可能であれば60歳台前半でリタイアし、自分の体が丈夫なうちに趣味の旅行に数回/年、行きたい(予算は年50万円)と考えています。

このような状況で、ご相談したいことは以下の通りです。

①現在の銀行・郵便貯金を(リスクはあるが)もう少し利回りなどが期待できる株などの投資にふりかえるべきかどうか?

②現在母親は自身の年金だけで生活できていますが、母親の介護や施設に入居させる必要があった場合、どの程度のお金を見ておけばいいか?

③定年後62歳くらいでリタイアしてもお金の面で大丈夫か? 独身ですので、自身が高齢になった際の介護や病気などに関する費用もどの程度見ておけばよいのか分からず心配です。

ちなみに、60歳定年時の退職金の見込み額は約1700万円で、昨年のねんきん定期便による65歳からの見込み額は年間220万円となっています。

いろいろと記載させていただきましたが、よろしくお願いします。

家計収支データ

ともさんの家計収支データは図表の通りです。
相談者「とも」さんの家計収支データ

家計収支データ補足

(1)ボーナスの使いみち
固定資産税20万4000円(自宅と、昨年父親が他界し相続した実家の2軒分)、クルマの維持費(税金、保険、車検費用など)20万円、旅行費80万円、家電などの耐久消費財20万円、貯蓄158万円。

(2)運用について
これまで「リスク商品にはほとんど手を出さず」の理由は以下の2点。
・元本割れもあるリスク商品を持つことは性格的に向いていない
・知識や経験が少ないため、不安のほうが大きい

社会人になって数年後に少額ながら株式を購入し、1社はほどなく経営破綻となり、それをきっかけに投資は向いていないと感じた。電力株で、購入から30年たつものの、現在含み損を抱えている。

(3)母親について
施設に入る場合、実家は売却の予定だが、売却額は未定。

(4)老後生活について
60歳前半のリタイアは、収入は年金だけのフルリタイアを希望。ただし、生活費が厳しいようなら、アルバイトなどを退職後に適宜、行う。また、交友関係が広くないため、認知症の防止の意味でも社会と接しておくことは効果的と思っている。

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1:現状のライフプランで老後資金は心配不要
アドバイス2:投資は気にせず「人は人、自分は自分」と考える
アドバイス3:資金面は心配せず、心豊かな生活を

アドバイス1:現状のライフプランで老後資金は心配不要

ご質問は3点ありますが、最後の③から先に考えてみます。

まずは、ともさんが62歳でリタイアされた場合のキャッシュフローです。

現在の貯蓄ペースは、月21万円、ボーナスでは158万円ですから年間410万円。定年60歳までちょうどあと3年とすれば、1230万円。これに、退職金が1700万円(額面)を加え、合計でざっと2900万円。これに今ある貯蓄残高と投資商品の評価額を加算すると1億2650万円。

また今後、車の買い替えが2、3回あるでしょうか。かかる費用は不確定ですが、前倒しで600万~700万円とすると、60歳時の金融資産=老後資金はおよそ1億2000万円となります。

次に、定年から65歳までの5年間を考えます。

定年後の生活費が今と変わらないとすれば、月の生活費が18万3000円。ボーナスからの捻出が約140万円なので、年間でざっと360万円。定年後に2年間はアルバイトなどをする予定とのことで、仮に手取りで年間150万円とすると、年間210万円の赤字。

さらにその後3年間は、無収入となり、さらにその間は国民健康保険と介護保険料を別途発生します。一方、62歳以降(リタイア以降)は「旅行の予算は50万円」とあります。それまでは年間80万円を計上しているので、30万円マイナスになり、結果、5年間で1440万円。これを老後資金から取り崩すと、65歳の時、手元に残るのは1億560万円となります。

65歳からを受給される公的年金を手取りで年間185万円とすると、生活費がリタイア後と同額なら不足額は145万円。35年間で5075万円ですから、100歳の時、手元に5485万円超が残ります。しかし、実際はともさんが65歳以降、ある時期から旅行費用は減少し、いずれなくなります。車両費用も同様です。

したがって、別途確保しておきたい老後の予備費(医療・介護費用、住宅修繕・リフォーム費用など)も含めて、35年間で5000万円程度を取り崩すと考えていいでしょう。つまりは、100歳の時5500万円が手元に残ることになり、ご質問の③については、老後の予備費を多め(ここでは1000万円程度)にみても、試算上は心配不要ということになります。

アドバイス2:投資は気にせず「人は人、自分は自分」と考える

③の質問に回答したことで、残る①と②の回答も見えてきます。

まず①ですが、老後に向けて資金的に現状のままで問題ないのですから、投資リスクを取る必要も、理由もありません。そもそも性格的に投資が合わず、不安のほうが大きいのなら、なおさら。余計なストレスが増えるだけです。

貯蓄商品が低金利という点が心配ならば、より金利が有利なネット銀行の定期預金や、資金の一部で個人向け国債(変動10年)を購入してもいいでしょう。

物価高もあり、世間は時にあおるように投資を勧めますが、「人は人、自分は自分」というスタンスでいいと思います。

②については、マネープランの基本的な考え方として「親の介護費用は親の資産の範囲内」があります。お母さまの年金受給額は手取りで13万円前後でしょうか。毎月、その範囲内で費用がカバーできる施設となれば、一般には特別養護老人ホームとなりますが、施設の空き状況や、お母さまの体調面や希望なども踏まえて、介護付き有料老人ホームなど、広く、検討されるといいでしょう。

その結果、望ましい施設がお母さまの資金ではカバーしきれない場合、ともさん自身も負担することは、先の考え方とは異なりますが、積極的にされてもいいと私は考えます。それだけの資金的余裕があるからです。例えば、年間で100万円程度の負担なら、トータルで1000万~1500万円。これをともさんの老後資金から捻出しても、金額としては何ら問題ありません。計算上は、それ以上の負担も可能となります。

アドバイス3:資金面は心配せず、心豊かな生活を

気になるのは、そういった資金面より、施設探しです。急に施設入居が必要になっても、すぐに見つからない可能性があります。担当されるケアマネジャーの方とも相談され、早めに動き、できれば見学もされるといいでしょう。

さらに、高齢者の一人暮らしは不安な面が多々あります。お母さまのためにも、そしてともさんの不安を解消するためにも、早めの施設入居は前向きな介護となるのでは。

ともあれ、資金的に余裕があるため、今後のライフプランには選択可能な選択肢が複数あります。先の試算以上に趣味に資金を使うことも可能ですし、定年後、すぐにリタイアされても問題ありません。健康をケアされて、将来を不安に感じずに、しっかりとご自身なりの心豊かな生活を過ごしてください。

相談者「とも」さんから寄せられた感想

深野先生、貴重なアドバイスありがとうございます。昨今の「貯蓄から投資へ」という風潮から、今後の老後を非常に心配しておりましたが、先生の「人は人、自分は自分」というアドバイスが大変心強く感じました。高齢の母親の件も、私の貯蓄から支出可能とのことで安心いたしました。もうすぐ節目の60歳ですが、その先を見据えて生活していきたいと思います。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武
(文:あるじゃん 編集部)

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