突然できる「口内炎」 “野菜からの潤い補給”がカギ
ananweb / 2020年4月15日 20時10分
中医学や養生法に詳しい櫻井大典さんによる「Daily(デイリー)養生」。今回のテーマは「口内炎」です。
小さな炎症なのに、ひとつできると気になるのが口内炎。食べたり話したりするときに痛んで、憂鬱な気持ちになります。でも、これも体からの大事なサイン。発生するパターンによって原因が違いますので、それぞれに合った養生法を知っておきましょう。
まず、突然現れて激しく痛み、見た目も真っ赤に腫れているような急性の口内炎は、「熱」が溜まって起きていると考えられます。熱が過剰な状態を「実熱(じつねつ)」といいますが、実熱をもたらすのは主に、辛いものや脂っこいもの、お酒、味の濃いものの摂りすぎ。それらが熱に代わり、炎症となって表に出てくるのです。この場合は原因となる食べ物を控えるのが先決。補うというよりも、不要なものをこれ以上体に入れないことが養生になります。
■ 潤いを補給して、体内の熱をコントロール。
それに対し、白っぽい炎症ができてなかなか治らない、地味に鈍痛が続く、治ってもまたすぐできる…といった慢性の口内炎は、急性とは少し違って、「虚熱(きょねつ)」が原因。虚熱とは、体内の潤いを指す「陰」が足りなくなり、熱が暴走している状態のこと。熱の量は増えていないけれど、制御する役割を持つ陰が不足しているために相対的に熱が優位になり、トラブルを起こしているというわけです。
対策には潤いの補給がカギですが、ここで注意してほしいのは、水をたくさん飲めばよいわけではないということ。中医学では体液に当たるものを「津液(しんえき)」と呼びますが、この津液を作る材料は、基本は食材から補うべきものと考えるからです。食材、とりわけ野菜に含まれる水分は、その野菜が根を通して地中から吸い上げた水を変化させたもので、さまざまな栄養が混じっている。こうした水分のほうが、より津液に変わりやすいのです。
水の摂りすぎは胃腸にダメージを与え、津液を作る力も低下させてしまうので、むしろ逆効果。加熱した野菜や、陰を補う力のある白い食材を摂りましょう。双方の条件を満たす、白菜や大根、青梗菜などはとくにおすすめです。同じく体内の潤いに関わる「血(けつ)」を増やす、赤や黒い食べ物もあわせて摂ると効果的ですね。そして何度かお伝えしたとおり、陰は夜に養われるもの。5分でも10分でもいいので早く寝る。口内炎ができやすい人にこそ、心がけてほしいことです。
さくらい・だいすけ 漢方専門家、国際中医専門員。完全予約制の漢方相談処「成城漢方たまり」で相談を行う。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)ほか、監修書、著書多数。
※『anan』2020年4月22日号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子
(by anan編集部)
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