恐怖の疑似体験にハマる人続出! 話題の“モキュメンタリー”ホラー5選
ananweb / 2023年7月24日 19時0分
映画はもちろんYouTubeなどの動画配信作品も話題になっているホラージャンルの一つ、モキュメンタリー。心を掴む理由から新しい動きまで、人間食べ食べカエルさんが解説します!
恐怖の疑似体験ができるところが大きな魅力です。
モキュメンタリーとは何かを考える時に、まず、POV(Point of View)ホラーという括りがあります。登場人物の視点が画面そのものになった映像、たとえばテレビ画面に映ったものや携帯のカメラで切り取った映像が全編にわたって使われているというものです。そしてモキュメンタリーは、モック(模造品)とドキュメンタリーを組み合わせた言葉ですが、POVのカメラ視点に加え、監視カメラなど他の視点を取り入れることで、まるで本当にあったかのように見せているものを指し、フェイクドキュメンタリーとも呼ばれます。また、ファウンドフッテージと呼ぶこともありますが、これは撮影済みの編集されていない素材(フッテージ)が見つかるところから始まる物語をいうことが多い。ただ、広義的に言うと今挙げたどの言葉でも通じます。たとえば『ノロイ』は、いろいろな角度の映像媒体から物語の輪郭が浮き上がってくる作りになっていますが、ここまで作り込まれた作品はなかなかなく、色褪せません。
ホラーの魅力の一つは安全圏にいながら怖い体験をできるところですが、モキュメンタリーは観る人にリアリティを与えるのに適しているジャンル、“本当にあった”と思わせて恐怖の疑似体験をさせやすいジャンルだと思います。自分自身が登場人物の一人として映像が進み、話が動いていくため、観賞より体験に近いところが面白さに。また、粗い映像など見てはいけないものを見た気持ちになり、好奇心や恐怖心を刺激されるところも魅力です。
このジャンルは、爆発的な人気の作品が一つ出てくると、波にのって同様の作品がたくさん作られ、定期的に盛り上がることが特徴。たとえば『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が登場した時がそうで、本作がなければこのジャンルはここまで流行っていないし歴史を変えたレベルの作品です。基本カメラ1台で作れ、登場人物の数を絞ることができる、化け物みたいな存在を5分くらい写せば成立するなど、低予算で作れることが理由にあります。
いま日本で盛り上がってきている要因としては、YouTubeなどの動画配信が台頭したことで個人が作品を発表しやすくなり、また動画が広まりやすくなったことがあると思います。TikTokでもホラージャンルの映像が広まりやすい土壌ができてきています。特にジャンルを引っ張っているのが、『ホラードキュメンタリー「Q」』というYouTubeシリーズです。出来が良く飛び抜けて怖いこともそうですが、適度に謎がちりばめられ、考察したくなる点でも話題になっています。徹底的に説明を削ぎ落とし、見る方の想像力を信頼して任せるというのは、テレビなどではなくYouTubeという媒体だからこそ成立するのでは。モキュメンタリー作品というジャンルが、映画から動画配信の土壌へ広がりつつあることを感じています。
まずは、この作品をCHECK!
『ノロイ』
リアリティを追求して作り出す生々しさの塊のようなところが魅力。
呪いがテーマのドキュメンタリーを完成させた後、失踪した怪奇作家。彼の残した作品を検証、完成させた作品。「森の中にやばいものが映るシーンの見せ方が上手い。暗がりにぼんやり浮かび上がる様子は明らかに異常。ズームアップしてぼやけた時など、ぞわっとする」。DVD¥1,222 販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
フェイクドキュメンタリー「Q」『フィルムインフェルノ』
作り物くささや冷める瞬間がない圧倒的なリアリティで恐怖を描く。
海岸で突如として行方不明になった一組の男女。事件から9年後、遺留品のテープを再生すると洞窟を彷徨う姿があった。「シリーズの中で特に好きな作品です。日常から突如、地獄に接続し、しかも終わりがない状況が怖い。それを作り込まれた、とんでもないリアリティを持った映像で描かれるため本当に怖いです」。
『テイキング・オブ・デボラ・ローガン』
狂気じみたおばあちゃんの演技が映像に説得力を持たせています。
アルツハイマーを患う老女のデボラを取材する学生たちが、超自然現象と恐怖を目の当たりにする。「おばあちゃんの奇妙な行動が次第にエスカレートし、病気か超常現象的なものかわからなくなる。病気や老いを怪異につなげるアイデアが面白いです」。DVD¥3,978 発売元:アット エンタテインメント 販売元:アメイジングD.C.
©2014 Taking Film Production, LLC. All Rights Reserved
『THE 4TH KIND フォース・カインド』
有名俳優の使い方も画期的。チャレンジングな作品です。
行方不明者が続出するアラスカ州ノームでの超常現象に迫る。ミラ・ジョヴォヴィッチ主演。「記録映像風部分と再現VTR両方をフェイクで作ったところが新しい。記録映像風部分のリアリティが際立ちます」。Blu‐ray¥2,619 発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント 販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』
モキュメンタリージャンルを世界に定着させた歴史的作品。
ドキュメンタリー制作のため魔女伝説が残る森に入るも道に迷い、失踪した大学生3人。残されたビデオに映っていたものとは。「“何か”がほとんど何も直接映らないところがいまだ革新的。インターネット掲示板に書き込んでマジっぽさを演出する、リアリティの追求の仕方も初めてだったのでは」。Prime Videoほかにて配信中
©Hulton Archive / Handout
にんげんたべたべかえる Twitter(@TABECHAUYO)でホラーやパニック系作品の魅力を中心につぶやく。ホラー専門配信サービス「OSOREZONE」でコラムを連載。ウェブや雑誌などのメディアに寄稿も行う。
※『anan』2023年7月26日号より。取材、文・重信 綾
(by anan編集部)
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