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グーグル高額スマホ「Pixel Fold」25万3000円で日本市場に挑む、現地取材で見えた真価

ASCII.jp / 2023年5月15日 12時0分

グーグルの開発者向けイベント「Google I/O」の会場で披露された、Pixel初の折りたたみスマートフォン「Pixel Fold」。折り目を気にする声を耳にするが、ディスプレーを正面で見ている分にはさほど気にならない

 グーグルは2023年5月10日(現地時間)に開催した開発者向けイベント「Google I/O」にて、Pixel初の折りたたみスマートフォン「Pixel Fold」を発表した。日本市場でも販売され、価格はグーグルの直販サイトで25万3000円。ここ数年、PixelはソフトバンクとKDDIのみの取り扱いであったが、今回から、NTTドコモだけが持つ周波数帯「n79」に対応。NTTドコモでも取り扱われる。

 NTTドコモの井伊基之社長は「私どもの5G周波数が特殊だったので、コミットメントしないと作っていただけなかったという状況だった。今回は、コミットメントして私どもの周波数に対応したものを作っていただけた。ユーザーからも要望があり、ようやく実現にこぎ着けた」と語っている。

 NTTドコモが取り扱うことで、3社が競い合うようにPixel Fold、さらに同時に発表されたPixel 7aを売っていく可能性が高い。日本でPixelのシェアはまだ低いが、3キャリアによる販売合戦が実現するば、Androidスマートフォンのなかで存在感を出してくるかもしれない。

 すでに発売となっているPixel 7aに関しては、日本国内でも披露され、各媒体にレビュー記事も多く上がっている。

 一方で、Pixel Foldに関しては日本国内での披露もなく、Google I/Oで現地に行ったメディアにしか公開されていない。筆者は4年ぶりにGoogle I/Oのリアル取材ができたので、Pixel Foldが実際、どんな端末なのか、現地から4つの視点でお届けしたい。

質感・サイズ感: Galaxy Z Fold4より20g重いが、なぜか軽く感じる

 基調講演終了後、Pixel Foldを持った瞬間、「軽い」と感じて、思わずTwitterでつぶやいてしまった。しかし、これは単純に「軽い」というのではなく、筆者が使っていたGalaxy Z Fold4よりも「軽く感じる」ということだった。

左がPixel Fold、右がGalaxy Z Fold4

 ホテル戻って、実際の重さを調べたところ、閉じたとき6.2インチのGalaxy Z Fold4が263gで、閉じたとき5.8インチのPixel Foldが283gと、Pixel Foldのほうが20gも重かった。

同じく左がPixel Fold、右がGalaxy Z Fold4

 翌日もグーグル本社で触る機会があったのだが、改めて触ってみてもPixel Foldのほうが軽く感じた。自分だけの感覚かと思い、周りにいた複数の記者さんにも持ち比べてもらったが、「確かにPixel Foldのほうが軽く感じる」ということだった。

 いろいろと考えてみたが、Galaxy Z Fold4は無骨なつくりで、全体的にしっかりとしたつくりとなっている。また折りたたみ時に厚みがあるため、金属の棒を持っている感じがするのだ。

 一方でPixel Foldは、薄い板を持っているイメージに近い。質感も従来のPixelシリーズ同様にポリカーボネート感があるため、なんとなく軽く感じるのかも、という結論に至った。

Pixel Foldのカラーバリエーションは左「Obsidian(オブシディアン)」と右「Porcelain(ポーセリン)」の2色
開いたときは画面を分割して2つのアプリを起動できる

折りたたみの操作性: 慣れれば快適。対応アプリの増加に期待

 今回、Pixel Foldに期待していたのが操作性だ。グーグルが作る折りたたみスマートフォンということで、折りたたんだ時と開いた時、それぞれAndroidとスムーズに連携した操作性が実現されているか気になったのだ。

 開いたとき、画面を分割して2つのアプリを起動できる。アプリ間でデータのドラッグアンドペーストなどが可能だ。スマートフォンは、アプリ間でデータのやりとりをするのがかなり面倒くさい。Pixel Foldは、最初は操作に戸惑うが、慣れればかなり快適だろう。

 いまのところ、Galaxy Z Fold4に比べて快適かといえば、そんなことはなく、互角の操作性といえるだろう。むしろ、Galaxy Z Fold4はSペンが使えるが、Pixel Foldではペン入力には非対応だ。

グーグルは「大画面向けに50以上のグーグル製アプリのデザインを変えた」と話している
製品が発売された後、いろいろなアプリを試し、大画面や折りたたみにマッチしたユーザーインターフェースになったかをチェックしたい

 ただ、グーグルは「大画面向けに50以上のグーグル製アプリのデザインを変えた」と話している。このあたり、製品が発売された後、いろんなアプリを使ってみて、大画面や折りたたみにマッチしたユーザーインターフェースになったかをチェックしていきたい。

Twitterなどで「折り目は気になるか」と聞かれるのが、正面にしてYouTubeなどを見ている分にはさほど気にならない

ディスプレー: 縦横比率がいい。折り目は気にならない

 Twitterなどでよく聞かれるのが「折り目は気になるか」という点だ。ディスプレーを折りたたんでいるので、折り目はできているのは当然だ。確かに本体を斜めにしてみれば気になるが、正面にしてYouTubeなどを見ている分にはさほど気にならない。

ディスプレーを折りたたんでいるので、当然、折り目はできる
サイドからの視点
左がPixel Fold、右がGalaxy Z Fold4

 筆者はこれまでGalaxy Z Foldを4世代に渡って使い続けているが、実際に使っているうちに、折り目なんて気にするものでもなくなってくる。

 一方でPixel Foldはカメラ部分が従来のPixelシリーズ同様、かなり出っ張っている。そのため、Pixel Foldを机の上にピタッと置くことができず、隙間ができてガタガタするのが気になった。

 また、Pixel Foldは画面の縦横比率が最近のスマートフォンに多いとほぼ同等の17.4:9、開いたときは6:5となっている。カメラのファインダーやアプリが画面いっぱいに表示されるので使いやすい。その点、Galaxy Z Fold4は閉じたときに細長いため、アプリを開いたときなどに無駄なスペースが広かったりして、もったいない感じがするのだった。

これがケース単体

オプション品: 基調講演では紹介されなかった「専用ケース」を発見

 折りたたみスマートフォンを購入すると、どうしても「落としたらエラいことになる」と心配性になってしまいがちだ。なんせ、20万円を超える高額スマートフォンであるため、絶対に落としてはならないし、2年後、下取りに出すことを考えるとできるだけ傷はつけたくない。

Pixel Foldに「専用ケース」を装着
光沢のあるPixel Foldの側面。絶対に落としたくないし、下取りに出すことを考えるとできるだけ傷はつけたくない

 Pixel Foldの発表時には明らかにされていなかったが、グーグル本社でPixel Foldが展示されていた際、「専用ケース」も並べられていた。2つ部品で構成されており、カメラのある面と外側のディスプレー面からはめていくスタイルだ。このケースをつけておけば、万が一の時でも大惨事は免れてくれそうだ。

 筆者が見たのは「Bay」と名付けられたブルーのケースだが、日本でもBayのほかに「Porcelain」「Hazel」が展開予定とのこと。価格は9900円。

Googleストアでは専用ケースは「準備中」となっている

総括: なんせ高いので、購入するか結構迷っている

 Pixel初の折りたたみスマートフォンということで、かなり気になる存在だ。折りたたみや大画面に対応したアプリが増えるということで、今後、さらに使いやすくなる可能性を秘めているし、折りたたみならではの使い方の提案をしてくれないかと期待している。

Pixel FoldはPixel初の折りたたみスマートフォンということで、かなり気になる存在

 当然、弱点となるのが価格。昨今、ハイエンドスマートフォンは20万円超えが当たり前だが、25万3000円というのは悩ましい。

 Pixelはどちらかといえば「コストパフォーマンスの良いスマートフォン」というイメージなのだが、Pixle Foldは「コストパフォーマンス」に欠けるのが残念だ。

 

筆者紹介――石川 温

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)、『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。

 

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