真ん丸の外観に惹かれ円盤型「UFOマウス」を衝動買いしたが……
ASCII.jp / 2024年4月26日 11時45分
ユニークな外見に惹かれて サンワサプライの「UFOマウス」を衝動買い
筆者は30年を超える、筋金入りのトラックポイントユーザーである。メインの原稿書きデスクトップPCでも台湾TEXのトラックポイント付きのキーボード「Shinobi」(連載606回:一目惚れしたTrackPoint付きキーボード「Shinobi」を衝動買い)を発売当初から愛用している。そのため、わざわざマウスを使う必要性は、日常ではゼロだ。
ところがトラックポイントがなくても魅力的なモバイルPCに出会ってしまうと、後先考えることなく衝動買いしてしまう。昨今では超軽量の634gが話題になった、富士通のモバイルPCなどがそれにあたる。ウェブクローリング程度ならトラックパッド(タッチパッド)でも困らないが、パワポなどの細かな操作になると、どうしてもマウスを使いたくなってしまう。
さまざまな個性的なマウスを衝動買いすることも趣味なので、すでにレガシーな有線マウスから最新の折り畳み式マウスまで、常に10台近くのマウスは揃えている。今回紹介する「UFOマウス 円盤型 Bluetoothマウス」(以降、UFOマウス)も、そんな衝動買いしてしまった最近のマウスのひとつだ。
UFOマウスのサイズはおよそ外形の直径が7cmで、高さが2cm少し、重量40gの薄い黒い缶イメージの3ボタンマウスだ。分解能は1200カウント/インチ、付属の単4乾電池で約50時間の連続動作が可能らしい。代表的ないくつかのマウスと並べてみたが、折り畳み型の薄型軽量マウス(連載770回:実測37g! 折り紙式ポータブルマウス「OriMouse」を衝動買い)と比較してもコンパクトだ。薄型のモバイルPCと一緒にブリーフ型ケースにも入りそうだ。
本体に内蔵したレシーバー(ドングル)をパソコンなどのUSBポートに挿すことでUSB HID Ver.1.1準拠の2.4GHz RF電波方式で動作する。加えてBT1とBT2のBluetooth Ver.5.2(BLE)Class2でマルチペアリングに対応。底面のボタンを押すことで明示的に3つの接続を切り替えることができて分かりやすい。
Bluetoothだけではなく2.4GHz RF電波方式で動作するワイアレスマウスは、すでに複数メーカーから発売されている。筆者が愛用しているレノボのマウスも、UFOマウス同様にレシーバーをマウス本体に内蔵している。マウス本体の厚みの関係かUFOマウスはレシーバーを横倒しして収納しているが、これがレノボの縦差しに比べると極めて取り出しにくいのが残念だ。
また取説には記述が見当たらなかったが、UFOマウスの底面には傷防止のために薄いビニールが張り付けられているため、使用する時には剥がしておこう。Bluetoothの設定も簡単だ。筆者は富士通のモバイルPCにはレシーバーで接続し、BluetoothではGalaxy Z Fold4とペアリングした。
丸い形状ゆえに、目視しないでマウスを握ると カーソルが予期せぬほうに移動する問題発生!
さて極めてコンパクトで軽量なUFOマウスだが、実際に使ってみて筆者がどうも気になる点が一つだけあった。本来、マウスと呼ばれるHID(ヒューマンインターフェースデバイス)が生誕の頃には、パソコン本体とネズミの尻尾(有線ケーブル)で接続されるのが普通だった。
マウスを長く使っている人はケーブルの生えている方が上方向になることを分かっているだろう。しかし、UFOマウスは外観は真ん丸で向きが分かりにくい。90度角で2つ用意されている2ボタンの位置を確認すれば分かるが、オシャレ指向なのか2つのボタンのカラーも同様のブラック。
中央に位置する一見トラックボールに見える球形のスクロールボタンも指先で回転してみなければどっちが上か下か不明だ。感覚的には2個のボタン位置とスクロールボールの位置関係で見れば、いまマウスがどういう角度に置かれているか知ることができるが、見なくても黙って握れば分かるのが従来のマウスのユーザーインターフェースだろう。
有線マウス、無線マウス、折りたたみマウスを問わず一般的にマウスと呼ばれるデバイスには、上下が明快に分かるデザインが採用されている。マウスを握る前に目で見て確認しない筆者は、少し長いインターバルの後に再びUFOマウスを握ると、マウスを上方向に移動したつもりでも画面上のカーソルは左に進むといった不条理を何度か体験した。
今から40年ほど前の昭和な時代に、NECのPC-9801のHIDとしてマイクロソフトのマウスを使い始めてから、マウスには必ず上下があるというイメージが脳裏に焼き付いている。そこで筆者は令和なUFOマウスの上下のステータス把握を間違えないように、一瞬見るだけで分かる2つのボタンの分離点に赤いシールを分割して貼り付けた。
これで筆者のUFOマウスの上下は明快だ。うっかり使った時にマウスが午後3時の位置を指していても、正しく12時位置を向くように左90度回転させてストレスなしに使い始めることができる。トラックポイントなら赤いスティックを上に向けて押せば、画面上のカーソルも間違いなく上に向かって移動する。
そんな確実な環境で長年過ごしてきた昭和な筆者は、外観のユーザーインターフェースでの方向性を意図的に隠ぺいしたおしゃれな雰囲気の真ん丸のUFOマウスに、違和感満載の状況だ。開発コストの問題もあるので難しい選択だが、本来ならオシャレでシンプルなデザインの中にも、視覚ではなく指先で分かる物理的な特徴を盛り込ませるべきだろう。
パッと見の外観上から方向性を知ることのできないマウスがいま市場にどの程度存在するかは知らないが、間違いなく極めて少数派の新種だろう。競争の激しい市場ではシンプルでユニークなデザインを優先するかユーザーインターフェースを優先するかは意見が分かれるだろう。
筆者の造語だが「慣れに優るUIなし」ということもある。次世代のUFOマウスにはぜひともデザインのユニークさと同時に真ん丸と言う方向性の希薄なデザインでも、手で握ればその方向性が一目瞭然なこの先10年使えるユーザーインターフェースの作り込みに期待したい。
今回の衝動買い
・アイテム:サンワサプライ「UFOマウス」(400-MAWBT198BK) ・購入:Amazon.co.jp ・価格:2980円
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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