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高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス

ASCII.jp / 2024年5月11日 10時0分

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス

 デュアル水冷システムを採用するサイコムのBTOワークステーション「Lepton Hydro」シリーズ。強力なCPUとGPUをしっかり冷却することで、高負荷なワークロードでも高い安定性を発揮できる点が最大の特徴だ。

 本稿ではインテルCoreプロセッサー(第14世代)を搭載可能な「Lepton Hydro WSZ790」をレビューする。前回は外観や内部レイアウトなどをチェックしたので、今回はベンチマークで実際のパフォーマンスや温度、動作音などを検証していく。

14900KとRTX 4080 SUPERを静かに運用できるのか?

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
サイコムのデュアル水冷ワークステーション「Lepton Hydro WSZ790」。標準構成の直販価格は50万2670円~(配送料込み)

 Lepton Hydro WSZ790の標準構成はCPUが「Core i7-14700K」で、GPUは「GeForce RTX 4080 SUPER」だ。CPUもGPUもクーラーは240mmラジエーターの水冷モデルを採用している。ほか、32GB×2のDDR5メモリー、PCIe 4.0接続のNVMe 1TB SSDを採用するなど、ワークステーションらしいハイスペックPCに仕上がっている。

 試用機材ではCPUを「Core i9-14900K」にカスタマイズし、さらに高性能化している。かなりの高発熱が予想されるCPUだが、果たしてしっかりと性能を引き出しつつ、安定稼働させられるかどうかが見どころとなる。

3パターンのPL1で性能と温度をチェック

 検証に入る前に、まずはCore i9-14900Kのスペックをおさらいしよう。24コア/32スレッドCPUで、高性能なPerformance-cores(Pコア)を8基、高効率なEfficient-cores(Eコア)を16基併載する。ゆえに、高性能だが高発熱になりがちだ。

 無論、その発熱は設定電力に大きく依存する。昨今のインテル製CPUは大きく分けて2段階の電力制限(PBPとMTP)を採用している。Core i9-14900KはPBP(プロセッサーのベースパワー、Power Limit 1=PL1)が125W、MTP(最大ターボパワー、Power Limit 2=PL2)が253Wとなる。

 言い換えれば、短時間で終わる作業なら最大253Wで動作し、一定時間経つと125Wに制限を切り替えて安定性を取る、といった挙動になる。PL2動作時は最大電力で動くので性能も最大になるが、発熱も高くなるため、時間制限があるといったイメージだ。

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
インテルの公式サイト(Intel ARK)によれば、Core i9-14900Kの動作クロックは最大6GHz。仕様上のPBP(以下、PL1)は125W、MTP(以下、PL2)は253Wで、これが推奨値となる

 なお、PL1やPL2の値はUEFI BIOSから変更でき、マザーボードメーカーやBTOメーカーが調整している。つまり、PC自作とBTOパソコンではCPUの電力制限が異なる場合がある。そこには当然理由がある。

 近年、ハイエンドCPUの発熱は著しく増加している。そのため、冷却力と電力設定のバランスの見極めが難しくなった。そこを絶妙に調整してやれば、性能を向上できる余地があるからだ。しかし、バランスが崩れると、性能を十分に発揮できなかったり、動作の不安定になる可能性もある。

 ゆえに、各社が思い思いの電力制限設定を施しているわけで、近年の高性能BTOパソコンでは見どころの1つとも言える。では、Lepton Hydro WSZ790におけるCore i9-14900Kの電力設定はどうか?

 UEFI BIOSで確認してみると、PL2こそインテルの推奨値と同じ253Wだったが、PL1はインテルの推奨値より35W高い160Wだった。この攻めた設定は冷却力の自信の表れかもしれない。

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
UEFI BIOSの画面。PL1(「Long Duration Power Limit」と表記)が160W、PL2(「Short Duration Power Limit」と表記)が253W

 では、このPL1の設定でどれぐらい性能や温度が変わるのか? PL2は253Wのまま、PL1をインテル推奨値の125W、サイコムが設定した160W、PL2と同じ253Wの3パターンで変更して検証することにした。

 まずはCPUのパフォーマンスを定番ベンチマーソフト「CINEBENCH 2024」でテスト。スコアーや実行中の消費電力、CPU温度などを計測して設定の妥当性を確認する。

 なお、電力や温度の計測にはモニタリングツール「HWiNFO64 Pro」を使用。約10分間のテスト中、CPUがPL1で動作していると思われる開始約9分後の状態をチェックしている。

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
CINEBENCH 2024の結果(PL1=125W設定時)
高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
計測開始から9分後のCPUモニタリング情報(PL1=125W設定時)

 PL1=125W設定時のスコアーはCPU(Multi Core)が1807pts、CPU(Single Core)が135pts。CPU温度は規定の最大温度であるTjMAX(100度)にこそ届いていないが、コア温度(CPU Tempertures)もCPUパッケージ温度(CPU Package)も最大90度付近と、かなり高い。

 しかしながら、この最大値はCPUがPL2で動作しているわずか1分間ほどの話。PL1動作に入ると60度前後で落ち着いた。240mmラジエーターの簡易水冷ユニットを使っていることもあり、PL1自体はもう少し高くできる余地があると言っていいだろう。

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
CINEBENCH 2024の結果(PL1=160W設定時)
高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
計測開始から9分後のCPUモニタリング情報(PL1=160W設定時)

 続いて、サイコムが独自に設定しているPL1=160W設定で計測。スコアーはCPU(Multi Core)が1927pts、CPU(Single Core)が133ptsだった。シングルスレッドの性能はほぼ同等だが、マルチスレッド性能のスコアーが100pts以上、約6%ほど上昇した。電力制限をゆるめた恩恵が如実に表れている。

 一方で、CPU温度も上昇している。PL2を変更していないため、最大温度は大きく変わらないものの、テスト開始から9分経過時点のコア温度は63度、CPUパッケージ温度は71度にアップ。とはいえ、部屋が高温になる夏場でも耐えられるであろう水準には収まっている。

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
CINEBENCH 2024の結果(PL1=253W設定時)
高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
計測開始から9分後のCPUモニタリング情報(PL1=253W設定時)

 最後はPL1=253W設定だが、CINEBENCH 2024のテストは完走し、CPU(Multi Core)スコアーも2093ptsまで上昇した。しかし、CPU温度は許容上限であるTjMAXに達してしまった。

 消費電力自体が劇的に低下することはなかったが、テスト中の10分間、パッケージ温度はずっと100度付近で推移していた。おそらく、サーマルスロットリングに入ったり、抜けたりを繰り返していたのだろう。

 ギリギリで粘っていると言えなくもないが、温度的にはあまり良い環境とは言えない。つまり、サイコムのPL1=160W設定は、ワークステーションに求められる性能と安定性の両立という観点から見ると、非常に理にかなった調整と言える。

FFXIVとCyberpunk 2077でベンチマーク 水冷GeForce RTX 4080 SUPERはよく冷える

 続いては、水冷化したビデオカードをゲームやクリエイティブ系のテストでチェックしてみよう。まずは先日リリースされたばかりの最新ベンチマークアプリ「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下、FFXIVベンチマーク)から。

 画質設定は「最高品質」、解像度はフルHD(1920×1080ドット)と4K(3840×2160ドット)の2パターンで計測。本ベンチマークは以前のバージョンと異なり、アップスケーラーを選択できるようになったので、「DLSS」を選んだ。

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
FFXIVベンチマークの結果(最高品質、フルHD、DLSS)
高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
FFXIVベンチマークの結果(最高品質、4K、DLSS)

 フルHD時のスコアーは32223、4K時のスコアーは13981と、どちらもGeForce RTX 4080 SUPERらしい高水準の結果だ。出力したレポートによると、平均フレームレートはフルHD時で平均235.6fps、4K時で100.28fps。最低フレームレートは4K時でも60fpsを上回っており、解像度を問わず快適な描画と言える。

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
テスト直後のGPUモニタリング情報(FFXIVベンチマーク、フルHD時)
高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
テスト直後のGPUモニタリング情報(FFXIVベンチマーク、4K時)

 テスト直後のGPUの状態をHWiNFO64 Proで確認してみたところ、GPU温度(GPU Temperature)はフルHD時で平均41.2度・最大51.3度だった。4K時でも平均46.7度・最大53.9度と、どちらも非常によく抑えられており、水冷カスタムの恩恵が大きいことがうかがえる。

 また、ホットスポット温度(GPU Hot Spot Temperature)が最大62.8度に収まっている点も、かなりインパクトのある結果だろう。ここは空冷であれば80度を超えることも珍しくないからだ。ちなみに、GPUの動作クロックは2550~2700MHzのあいだで推移しており、定格よりも若干高めに設定されているようだ。

 美麗な画質がウリで描画が高負荷なゲームタイトル、「Cyberpunk 2077」でも動作をチェックしてみた。こちらはプリセットを「レイトレーシング:ウルトラ」に設定し、解像度はフルHD(1920×1080ドット)と4K(3840×2160ドット)の2パターン。ベンチマークモードを用いてフレームレートを計測している。

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
Cyberpunk 2077の結果(レイトレーシング:ウルトラ、フルHD)
高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
Cyberpunk 2077の結果(レイトレーシング:ウルトラ、4K)

 極めて高負荷なタイトルだが、フレームレートはフルHD時で平均125.12fps・最小105.58fps。4K時でも平均82.78fps・最小74.16fpsと、十分快適に遊べる結果だった。

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
テスト直後のGPUモニタリング情報(Cyberpunk 2077、フルHD時)
高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
テスト直後のGPUモニタリング情報(Cyberpunk 2077、4K時)

 GPU温度はフルHD時で最大44.2度、4K時でも最大50.8度と高い冷却力を示した。ただし、Cyberpunk 2077はCPUの負荷も高い。ベンチマーク開始直後のPL2動作時にはCPU温度が最大で90度、CPUパッケージ温度が91度まで上昇していた点は留意しておきたい。

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
ベンチマークで一気に負荷をかけるPL2動作時の挙動なので、瞬間的にはCPU温度もかなり上がる。とはいえ、ふだんプレイしているぶんにはPL1動作になるはずなので、もっと温度は落ちつくはずだ

画像生成AI利用時でも頼りになる性能と冷却力

 Lepton Hydro WSZ790はAIを活用した高負荷なワークロードも想定されている。そこで、GPUに負荷をかける「UL Procyon」のAI画像生成ベンチマークを試してみた。

 こちらは「Stable Diffusion」を活用したベンチマークで、実行には一定容量以上のVRAMを搭載したGPUが必要となるが、GeForce RTX 4080 SUPERであればまったく問題ない。

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
「UL Procyon」の「AI Image Generation Benchmark」。ローカル環境で使える画像生成AIとして人気の「Stable Diffusion」を活用するテストだ。こちらもHWiNFO64 ProでGPUをモニタリングした
高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
UL Procyon AI Image Generation Benchmarkの結果
高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
テスト直後のGPUモニタリング情報(UL Procyon AI Image Generation Benchmark)

 スコアーは3427と優秀で、実行中のGPU温度は平均46.8度・最大55.8度と余裕があった。解像度は「512×512ドット」と「1024×1024ドット」の両方で試したが、いずれのテストでもGPU温度は60度に届かないレベルに留まった。

 ホットスポット温度も70度は超えていない。空冷のGeForce RTX 4080 SUPERではちょっと考えにくいほどの低温であり、そこにメリットを感じられるのであれば、Lepton Hydro WSZ790は極めて魅力的な選択肢と言えるだろう。

PL2動作時でも40dB未満の静けさ 騒音・振動吸収シートの効果も見逃せない

 PCの動作音についても少し触れておきたい。今回の検証は暗騒音35~36dB前後の部屋で実施しており、PCから距離約50cmの位置に騒音計を配置。各テスト時の騒音値を簡易的に計測している。

 なお、試用機材にはBTOオプションの騒音・振動吸収シートが、両サイドパネルの内部に装着されている。そのため、標準構成よりもやや静かだと思われる点はご留意いただきたい。

高負荷時でも40dB未満、14900Kは91度でRTX 4080 SUPERは約56度!次世代WSの神バランス
試用機材にはBTOオプションの騒音・振動吸収シートが装着済み

 まずアイドル時に関してだが、こちらは室内環境の音にまぎれて計測できなかった。近づけばPCの電源がついている(=内部でファンが回転している)ことはわかるが、意識しなければほとんど聞き取れない程度の音、という感覚だろうか。

 CINEBENCH 2024実行時は、テスト開始直後のPL2動作時が最大38.5dB、PL1動作時が36.6dBと、静音そのもの。筆者の環境だと暗騒音とほぼ変わらないレベルなので、耳を澄まさないとファンの動作音に気付けないほどだ。

 UL ProcyonやFFXIVベンチマーク実行時も同程度で、Cyberpunk 2077では最大39dBまで上昇したが、それでも40dBには届かなかった。40dBは一般的に「静かな住宅街や図書館」程度という騒音値だが、PCとしてはかなりの静音な部類だ。

 デュアル水冷やNoctuaファン、絶妙なPL設定がこの静音性の根幹だが、騒音・振動吸収シートの恩恵もある。+2860円でこれほどの効果があるのであれば、検討するだけの価値はあるだろう。

まとめ:性能も安定動作も静音性も備えた欲張り次世代ワークステーション

 以上の通り、Lepton Hydro WSZ790は強力なCPUとGPUをデュアル水冷システムでしっかり冷やせ、高い性能や安定動作、静音性を兼ね備えた優秀なワークステーションだ。サイコムの人気シリーズのストロングポイントを神がかったバランスで整えた、ハイブリッドハイエンドPCとも言える。

 独自の水冷カスタムなど、PC自作では難しい構成である点も評価ポイントだ。同社の執念が生んだ次世代ワークステーションの1つの「解」と言ってもいい。PCケースのメンテナンス性も高く、長期間にわたって活躍してくれるだろう。

 また、標準構成でも完成度は高いが、試用機材のようにCPUを最上位SKUに変更したり、騒音・振動吸収シートを追加してみるなど、カスタマイズを検討する余地はある。自分の用途や予算にマッチするようなら、ぜひ理想の1台を目指してカスタムしてほしい。

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