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脳のマッサージ機や針なし注射、CESで見つけた“これから来る”技術まとめ

ASCII.jp / 2025年1月10日 21時50分

世界初をうたうAI内蔵ミラー「FaceHeart CardioMirror」

これから来る技術を知れる「Eureka Park」を訪れた

 ラスベガスで開催中のテックイベントCES 2025は、街を丸ごと使用した大規模なイベントであり、会場もラスベガスの街中に分散している。

 そのうち、The Venetian Expoという展示会場で開かれているのが「Eureka Park」と名付けられたエリア。主に世界のスタートアップ企業が集い、新規性の高い技術や企業の特色などをイベント参加者に伝え、新たな取引や、出資者とのマッチング、協業の可能性を探る意味合いを持った場所だ。

 すなわち、まだメジャーとは言えないものの、将来的に大きな支持を受け、誰もが知る存在へと発展する可能性を持った企業も集まりやすいエリアであると言える。

 本記事では、そんなEureka Parkから国内外の新規技術やプロダクトをピックアップして紹介。

身だしなみの時間が、健康管理の一環に

 冒頭の写真は、台湾FaceHeartによる世界初をうたうAI内蔵ミラー「FaceHeart CardioMirror」だ。

 同社はAIを用いた映像認識や、それを応用した製品を開発する企業。FaceHeart CardioMirrorは一見すると照明付きの鏡なのだが、内蔵したカメラやセンサーで鏡に映った人物の健康状態を測定する機能を持つ。

 具体的には、心拍数、血中酸素飽和度、血圧、鏡に映った時点での健康状態の良し悪しなどを表示してくれ、また、記録してくれる。使い方も、鏡の前に座るだけとかんたん。デモでは、分析も数十秒で済んでいた。

 こうした技術が広まれば、身だしなみを整える時間が、定量的なデータを取得し、長期的な健康管理に役立てる時間としての意味合いを帯びてきそうだ。

韓国NEUROSONAによる脳をケアするための製品

「脳のマッサージ機」とは何か?

 韓国NEUROSONAは「脳のマッサージ機」を展示。

 NEUROSONAは脳疾患の治療技術をコアとして、脳に関するケアプロダクトの開発進めている企業。

 同社によるLIFU(低強度集束超音波)と呼ばれる特殊なパルスは、脳の特定領域の神経細胞に刺激を与え、活動を調節することができるという。

 また、脳は血液脳関門と呼ばれる特殊な血管の構造を持つため、通常は血中の一部の物質しか入り込めないが、LIFUはこの血液脳関門一時的かつ可逆的に破壊して、開口部を介した薬物の送達を可能にもするのだという。

 パルスを用いた脳の治療器としては「経頭蓋超音波刺激技術」と呼ばれる技術が、現在うつ病など特定の疾患を対象として使われているが、LIFUは経頭蓋超音波刺激技術と比べても熱エネルギーが対象領域に集中しにくく、神経を損傷させない安全な治療が可能とのことだ。

 “Brain massager”としてブースで紹介された脳のマッサージ機は、こうした技術を応用して、小規模なデバイスで脳のケアができるようにしたもの。「脳のコンディションを自分で整える」という発想がどう受け入れられるかに注目。

コントローラー部も、それほど大きくない

針を持たない注射針、痛みが少なく、組織への侵襲性も低い

針を使わずにワクチン接種を可能にする技術

 オランダにはのトウェンテ大学発スタートアップのFlowbeamsは、針を使わずにワクチン接種を可能にする技術「BoldJet」を展示。

 小さな噴出口から、液体をジェット噴射することで、薬品や美容製品を皮膚の奥に押し込むというもの。ワクチンやインスリンの接種のほか、美容目的の注射の代替として使われることも想定されている。

 痛みが少なく、針と比較して侵襲性が極めて低く、また、基礎的な研修を受けるだけで扱えるようになるなど、そのメリットは大きい。「注射が苦手」という方にとっては、一刻も早く実用化されてほしい技術ではないだろうか。

物理的な針と比較して、組織に対する侵襲性が非常に低いのも特徴
セリッドによる展示

スマートグラス、いよいよ快適になってきた

 こちらはEureka Parkの後に訪れたコンベンションセンターでのブースで発見したスタートアップ技術。国内企業のセリッドは「ウェイブガイド」と呼ばれるARグラス用のディスプレーレンズを開発している。

 鮮やかなフルカラーの表示に対応しながら、一般的なメガネのレンズと同等の薄さ、軽さを持っているディスプレーレンズ。ガラス製のものと、プラスチック製のものと2タイプが展示されていたが、プラスチック製のものは特に薄くて軽い。

 試用させてもらったところ、同社のレンズを用いたスマートメガネは極めて軽く、普通のメガネやサングラスをかけている感覚と変わらなかった。映像も非常にクリアで鮮やかだった。

プラスチック製のレンズは極めて軽い

 コンシューマー向けではなく、部材メーカーとしてプロダクトメーカーにレンズを提供したり、OEM/ODM開発をメインとしている。市販化に向けて進行中のプロジェクトをいくつも抱えている状況であり、また、今年のCES会場では、国を問わないさまざまな企業から、かなりの反響があったとのことだ。

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