技と経験値と発想の出会い「ものづくりのまち高岡」の職人とクリエイターの協働によるプロトタイプを発表
@Press / 2021年1月19日 9時30分
富山県高岡市が2019年度から取り組んでいる、伝統産業の工房とクリエイターのコラボレーションによって、日本の手わざの新たな価値創造と関係人口作りを目指す事業「Creators Meet TAKAOKA」。
2019年の東京でのPRイベントおよびモデルツアーに続き、2020年度はさらに一歩踏み込んで、実際にクリエイターと高岡の工房が協働し、作品や商品、素材をつくりだす、新たな展開に取り組みました。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/243716/LL_img_243716_1.jpg
高岡民芸×未音制作所:「Sedge」
8月に実施したクリエイター募集では、4組の枠に20組の応募が集まり、その中からプロダクトデザイナー、新素材開発者、音楽家など多様なジャンルのクリエイター5組の参加が決まり、金属工芸・漆芸・菅(すげ)細工の工房6社とのマッチングが行われました。うち2組が2019年度に引き続いての参加となり、地域とクリエイターとの新たな関係人口づくりにもつながっています。
まずは産地の全体像や風土を体感してもらおうと、参加者全員で全ての協働先工房を巡るキックオフツアーを実施。その後、コロナ禍ではありましたが、オンラインを活用して各チームは打合せやディスカッションを重ね、この度プロトタイプを発表しました。
鋳造と磨きの技を活かした真鍮製の燭台、新素材樹脂と漆の組み合わせによるアクセサリー、仏具の「おりん」の音を使った楽曲、菅製のスピーカーなど、職人だけでもクリエイターだけでも生み出せない、まさに両者の出会いの化学反応によって生まれたユニークな提案がなされました。どのチームからも聞かれたのは、工房のものづくりに対する真摯さ、製品化における諸問題に対応する経験値への信頼、クリエイターの新鮮な発想に始まるものづくりの歓びといった声でした。今後の製品化やイベントでの発表に向け、各チームは今も意欲的にプロジェクトに取り組んでいます。
【参加チームの提案紹介】
◎能作×Hamanishi DESIGN:「燭台」
日本の伝統産業を牽引する金属鋳造メーカー「能作」と、2019年度のモデルツアーにも参加したHamanishi DESIGNのプロダクトデザイナー・鎌田修さんによるコラボ。
「溶かして」つくる高岡銅器の鋳造工程が、視覚的に表現されたポップなデザインが特徴の「燭台」。溶けてみえる上部は鏡面加工、土台となる下部は鋳肌そのものと、真鍮の違う表情がひとつの製品に同居している。
◎漆器くにもと×三井化学MOLp:アクセサリー「縁・円」
漆器の企画問屋「漆器くにもと」の協働先は、三井化学社内のメンバーによって立ち上げられた有志グループ「MOLp(Mitsui Cemicals Oriented Laboratory)」。こちらも昨年度からの継続参加。
サンプル試作が進んでいるのは、経年変化を楽しむ漆のアクセサリー「縁EN・輪WA」。三井化学が開発した、海のミネラルから生まれた樹脂と、植物由来のウレタン樹脂「STABIO(R)」で成型したアクセサリーに漆を塗布。木地を基本とするこれまでの漆製品にはない、重みや透け感といった新たな質感の創造が期待される。
◎竹中銅器×TakashiTeshimaDesign:「Re Produce」「TO YA MA」「Still we live」「Gradation」
高岡銅器産地で一番の規模を誇る企画問屋「竹中銅器」と組んだのは、プロダクトデザインに加えてファッションアイテムの製作販売もおこなう、手嶋隆史さん。4つの方向性から金属鋳造の表面加工の可能性を探る取り組み。一旦すべてのアイディアを具現化し、そこから製品化に進めるものとそうでないものとを精査していく。
◎佐野政製作所×shy shadow:三次元の国旗「View Point」
オーダーメイド品の受注製作やオリジナルの数珠かけを製作する銅器メーカー「佐野政製作所」と、20年間アメリカのプロダクト業界の一線で働いてきたデザイナー・芳村朗さんチームが作るのは、三次元で表現した国旗のオブジェ「View Point」。
写真は木型だが、完成品は真鍮製を予定。着色はせずに、表面加工で色の違いを表現する。大きさは6cm×4.3cmほど。
◎シマタニ昇龍工房×未音(ひつじおと)制作所:おりんの奏でる音楽「Vague(ヴァーグ)」
音楽クリエイター/アーティストの若狭真司が主宰する「未音制作所(ひつじおとせいさくじょ)」は、今回二つの工房との協働を行っている。一つは「シマタニ昇龍工房」。職人の数が全国でも10人に満たない「おりん」をつくる鍛金の工房で、2020年には曹洞宗大本山・永平寺のおりんの修理も行なった。
おりんを鳴らした音とおりん制作時の音(焼成音など)のみをプロセッシングし、おりんをつくる過程をコンセプチュアルに表現した5曲の楽曲を制作する。
◎高岡民芸×未音制作所:菅製スピーカー「Sedge(セッジ)」
若狭さんのもう一つのコラボレーターは、菅の栽培から加工までを一貫して行っている「高岡民芸」。福岡(高岡市・旧福岡町)の菅笠は時代劇や全国の祭などの需要に対してシェア9割を誇るが、 元が農閑期の内職だったことから工賃が安く、高齢化と後継者不足が深刻化。そんな中で、中山煌雲さんは産地唯一の若手として、アートピースとしても飾りたくなる菅笠づくりに邁進している。
このチームからの提案は、菅製のスピーカー。写真は骨組みの状態で、これから菅が編み込まれていく。
【Creators Meet TAKAOKA】
400年以上続く銅器・漆器などの伝統産業から近代産業にいたるまで、日本海沿岸を代表するものづくりのまちとして発展してきた富山県高岡市が、2019年から取り組んでいる事業。
「ものづくり」が盛んな地域の特徴を生かした新たな「関係人口」作りの取組みとして、また、さまざまな課題に直面する地域の伝統産業の活性化にもつなげることを目的として実施している。
主催 : 富山県高岡市
企画運営: 一般社団法人富山県西部観光社 水と匠
URL : https://bunkasouzou-takaoka.jp/
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プレスリリース提供元:@Press
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