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皮膚から老化細胞が排除されるメカニズムを解明タンパク質「JAG1」が皮膚における老化細胞の排除を制御している

@Press / 2021年7月20日 10時0分

JAG1が老化細胞の排除を制御
日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、藤田医科大学医学部(愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1番地98)応用細胞再生医学講座(教授:赤松 浩彦)及び皮膚科学講座(教授:杉浦 一充)と共同で、皮膚(表皮)の新陳代謝(ターンオーバー)における老化細胞の排出について、「ジャグ1(以下、JAG1)」と呼ばれるタンパク質が大きく関与していることを発見しました。加齢や紫外線などによって「JAG1」の発現が弱まると、ターンオーバーが停滞し表皮に老化細胞が蓄積してしまうことを突き止めました。
つまり、皮膚のターンオーバーを正常に行うためには、「JAG1」の発現を維持または高めることが重要であると考えられました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/267970/LL_img_267970_1.jpg
JAG1が老化細胞の排除を制御

皮膚の表皮の生まれ変わりは「ターンオーバー」と呼ばれ、約28日間かけて細胞が入れ替わっていると言われています。ターンオーバーでは、表皮幹細胞から角化細胞が生み出され、古くなった角化細胞は新しく生み出された角化細胞に押し上げられて最終的に垢となって体外へ排除されています。これまでの研究から、加齢とともに表皮のターンオーバーは停滞することがわかっています。
今回、表皮の角化細胞の表面にある「JAG1」と呼ばれるタンパク質が、老化した細胞の排出を担っていることが明らかとなりました。また、加齢によってJAG1の発現が低下すると、老化細胞の排出が機能せず、表皮に蓄積してしまうことを発見しました。
この結果から、表皮の角化細胞のJAG1の発現を維持・向上させることができれば、加齢によって遅延する表皮のターンオーバーを正常に行わせることが可能となり、皮膚の再生能力が高まると期待されます。
なお、本研究の成果は「Experimental dermatology」オンライン版に掲載されました。


<参考資料>
1. 表皮のターンオーバーを制御するJAG1とNOTCH1
老化細胞は、炎症性物質など、組織の老化を促進する物質(悪性因子)を周囲に分泌することが知られており、この現象は細胞老化随伴分泌現象(SASP : Senescence associated secretory phenotype)と呼ばれています。近年、老化細胞はSASPを介して組織の老化や疾患発症を引き起こすことが示されており、組織内への老化細胞の蓄積を防ぐ技術の開発に注目が集まっています。

皮膚においても、表皮の角化細胞は、紫外線や酸化ストレスなどによって老化が進行すると、炎症性物質などの皮膚組織にダメージを与える物質(SASP因子)を分泌するようになることが知られています。
本来であれば、このような老化した細胞は排除され、新しい細胞が供給されます。この細胞の生まれ変わりは「ターンオーバー」と呼ばれ、これまでも美容において重要な生理現象として研究が進められていますが、未だ不明な点が多く残されています。

今回、表皮のターンオーバーが遅延し、老化した細胞が蓄積している皮膚を詳細に解析した結果、表皮の基底層に存在する角化細胞の表面に発現している「JAG1」と呼ばれるタンパク質の発現が低下していることが分かりました(図1)。また、老化した細胞は「ノッチ1(NOTCH1)」と呼ばれるタンパク質を特異的に発現していることも確認できました(図2)。
これまでの研究から、JAG1とNOTCH1はお互いに結合し機能することが報告されています。ターンオーバーにおいてもこれらのタンパク質が大きく関与していることが予測されました。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/267970/LL_img_267970_2.jpg
図1 加齢に伴いJAG1の発現が低下する

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/267970/LL_img_267970_3.jpg
図2 老化細胞はNOTCH1を発現している

2. JAG1の発現が低下すると表皮のターンオーバーが遅延し、老化細胞が蓄積する
JAG1の発現の低下が表皮のターンオーバーに及ぼす影響について、三次元培養表皮(人工皮膚モデル)を作製し、表皮の状態について解析しました。この時、老化した細胞の挙動を観察するために、一部、老化した細胞を標識(赤色)したものを使用しました。
正常な三次元培養表皮と、JAG1の発現を低下させた三次元培養表皮を比較した結果、正常な表皮モデルでは、老化した細胞(赤色)は上層に排出されており、正常にターンオーバーが行われていることが分かりました。これに対して、JAG1の発現を低下させた表皮モデルでは、老化した細胞は基底層に留まり、上手く排出されていないことが明らかになりました(図3)。
つまり、JAC1の発現が低下すると、老化した角化細胞が排出されなくなり、表皮に蓄積しターンオーバーが停滞すると考えられました。老化した細胞からは、炎症性サイトカインなどの皮膚組織にダメージを与える物質(SASP因子)が分泌されるため、JAG1の発現の低下は皮膚の老化を加速させる要因になると考えられました。

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/267970/LL_img_267970_4.jpg
図3. JAG1の発現低下により老化細胞が排出できなくなることで表皮のターンオーバーが停滞する

3. 掲載情報・タイトル・著者について
掲載 : Experimental dermatology
論文タイトル: Senescent cell removal via JAG1-NOTCH1 signalling in the epidermis
著者 : Hisashi Yoshioka 1 , Takaaki Yamada 1,2,3 , Seiji Hasegawa 1,3,4 , Katsuma Miyachi 1 , Yoshie Ishii 1,2 , Yuichi Hasebe 4 , Yu Inoue 4 , Hiroshi Tanaka 1 , Yohei Iwata 3 , Masaru Arima 3 , Kazumitsu Sugiura 3 , Hirohiko Akamatsu 2
所属 :
1 Research laboratories, NIPPON MENARD COSMETIC CO., LTD.
2 Department of Applied Cell and Regenerative Medicine, Fujita Health University School of Medicine
3 Department of Dermatology, Fujita Health University School of Medicine
4 Nagoya University-MENARD Collaborative Research Chair, Nagoya University Graduate School of Medicine


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press

【関連画像】

図1 加齢に伴いJAG1の発現が低下する図2 老化細胞はNOTCH1を発現している図3. JAG1の発現低下により老化細胞が排出できなくなることで表皮のターンオーバーが停滞する

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