バイクにも今や必須の存在!触媒って一体なに?
バイクのニュース / 2023年6月2日 9時0分
最近は、とても厳しい内容の排ガス規制が導入され、バイクの車種によっては対応できずに絶版となってしまう例もあるなど、大きな影響を受けています。そんな有害物質が含まれる排気ガスを浄化するのに使用されているのが触媒と呼ばれる部品です。
■元々は緩かった、バイクの排ガス規制
バイクは排気量が小さいこともあって、排気ガスへの対策がクルマに比べると遅れている印象で、規制内容も以前は緩いものでした。しかし、最近ではとても厳しい排ガス規制が導入されて、車種によっては対応できずに絶版となってしまうなど、大きな影響が出ています。
そんな有害物質が含まれる排気ガスを浄化するのに使用されるのが触媒と呼ばれる部品。今回は、この触媒の機能や働きを解説します。
バイクに対して本格的な排ガス規制が日本で導入されたのは2006年
エンジンはガソリンと空気を燃焼させて動力を取り出しますが、燃やした結果として排気ガスが出てきます。この排気ガスの排出は燃やす以上、仕方のないことですが、問題はその中に含まれる有害な物質です。
この排気ガスに含まれる有害物質についてはメーカーも意識はして対策はしていましたが、クルマに比べて排気量が小さい事もあり、出てくる排ガスの量が少ない上に台数も少ないこともあって、あまり問題視されてきませんでした。さらに、メカニズム的にもバイクは2000年代に入ってもキャブレーターが使用されていた為、クリーンな排気ガスに必要となる緻密な燃料噴射という点では、低レベルだったことも事実です。
そんなバイクに対し、本格的な排ガス規制が日本で導入されたのは2006年のこと。この厳しい排ガス規制に対応するためにバイク業界には大きな変革が訪れました。
厳しい排ガス規制に対応できず絶版となったバイクは多々存在する
モデルチェンジや大幅改良、クリアできずに絶版となるなど、今でも覚えている人は多いのではないでしょうか?ヤマハの「SR」が惜しまれつつも、姿を消したのもこの時です。
新たな排ガス規制をクリアするためには、いくつかの変更が必要でした。
まずはキャブレーターから電子制御インジェクションへの変更。この変更により、緻密に燃料をコントロールできるようになるので、よりきれいに燃料を燃やすことができます。バイクの中古車を探していると、キャブ車、FI車という項目を見かけると思いますが、よく見ると最近のモデルはすべてFI車となっている事に気付くでしょう。
FIはフューエル・インジェクションの略で、排ガスの対策以外にも燃費や始動性がいいなどのメリットが有り、中古車選びの基準のひとつとなっています。
■排気ガスを浄化するには触媒が不可欠
排ガス規制対策としては、インジェクション化以外にもエンジン制御での対策など、いろいろと工夫が凝らされていますが、必要不可欠なのが触媒の装着です。
触媒はキャタライザーとも呼ばれ、クルマでは以前から装着されていますが、バイクで装着されるようになったのは先に紹介した2006年の規制がきっかけの為、最近のこと。排気ガスは浄化しないとかなり臭いのですが、この臭いの原因が排気ガスに含まれる有害な成分で、これを取り除くのが触媒と呼ばれる部品です。
クルマの場合はかなりサイズが大きいので、排気管の途中に付いているのでわかりやすいのですが、バイクの触媒は見た目からは気が付きにくいため、装着されている事を知らない人も多いのではないでしょうか。バイクの触媒はクルマに比べるとサイズは小さく、マルチシリンダーの場合は各気筒からの排気管が集合する部分の直後などに入れられています。
現在のバイクには排ガス規制に対応するために触媒が採用されている
触媒で、どのように排ガスを浄化するのかというと、現在使われている触媒は三元触媒と呼ばれもの。一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物の3つを浄化して、規制に合わせて無害化します。イメージ的にはフィルターですが、セラミックやプラチナ、パラジウムなどを使って化学反応で浄化するのが特徴です。
触媒は筒の内側が蜂の巣状になっている、ハニカム形状と呼ばれる構造になっていて、排気ガスが内部を通り抜ける仕組み。化学反応を使用して排ガスを浄化するので、温度が低いと効果を発揮しないのが欠点とされています。そのため、エンジンの暖気までは必要ありませんが、始動してからエンジンが温まるまではゆっくりと走ることで機能を早く発揮させることが可能です。
現在、排ガス規制をパスしているモデルには触媒が付けられている為、車検時に付いていないと合格することはできません。
触媒は排気の抵抗になったり、重たいので外してしまうという人もいますが、これは違法行為。もちろん車検がなくても外すのは御法度で、社外マフラーを選ぶ際も触媒が装着されている物を選ぶのが基本です。
なお、触媒の効果に期限はありませんが、排気ガスが臭うなどの症状が出たら触媒の機能が低下している可能性もあるので、点検をしてもらうようにしましょう。
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