どれだけ知ってる? 教習所で教わらないバイクTips 第41回 なぜバイクの「ターボ」は普及しなかったのか? 復活の可能性は……?
マイナビニュース / 2024年4月27日 8時0分
「ターボ」はガソリンエンジンにおいて、大幅なパワーアップを可能にした発明品です。バイクやクルマのメカを知らない人にもパワフルなイメージが定着し、掃除機やドライヤーなどの家電やパソコン用品の名称などにも使われています。
その「ターボ」、クルマでは高性能スポーツカーだけでなく、軽自動車やディーゼルのトラックにも広く採用されていますが、バイクのエンジンには普及しませんでした。今回はその理由について解説します。
■そもそも「ターボ」ってどんなメカ?
「ターボ」は正式には「ターボチャージャー」という名称で、排気ガスの圧力で羽根車=排気タービンを回し、反対側の羽根車でエンジンに空気を過給(チャージ)するシステムです。同じ排気量の自然吸気(NA:ノーマルアスピレーション)エンジンよりもたくさん空気を取り入れることで、大きなパワーを生み出す仕組みですが、今まで捨てていた排気ガスのエネルギーを利用できるという利点もあります。
過給システムのアイデアは19世紀の終わり頃には考案され、第一次/第二次世界大戦の兵器開発で急速な進歩を遂げました。特に空気の薄い高高度を飛ぶ航空機では必須となりましたが、ターボを実用化できたのはアメリカだけで、ヨーロッパや日本では過給機をエンジンで駆動させる「(メカニカル)スーパーチャージャー」を採用しています。
スーパーチャージャーもターボも同じ「過給機」ですが、それぞれ長所と短所があります。空気は圧縮すると高熱になるため、ただ詰め込むとエンジンが異常燃焼して壊れてしまいます。そのため過給機仕様のエンジンは圧縮比が低く設計されているのですが、これでは過給機が回っていない状態ではNAエンジンよりもパワーが不足します。
スーパーチャージャーは過給機をエンジンで駆動するので、低回転から十分にパワーも出てスロットルの反応もリニアですが、エンジンパワーの損失も多く、高回転になるほど負荷が大きくなります。対してターボはエンジンパワーを食いませんが、排ガスの圧力が弱い低回転ではタービンが十分に回らないのでパワーが不足し、回り出すと急激にパワーが上昇します。このスロットルのズレとパワー変動の大きさが「ターボラグ」と言われるものです。
■戦後、自動車では一大ブームとなったターボ
第二次世界大戦の後、航空機用エンジンはジェットの時代に入りますが、レシプロエンジンの技術は自動車に転用され、1960年代にアメリカ、1970年代にドイツ、1980年代には日本でもターボエンジンを搭載した市販車が登場します。レースでもターボ車のパワーは圧倒的だったため、レギュレーションで排気量をNAエンジンより低く設定されたり、使用自体が禁止されました。
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