ベントレーが「スピードシックス カーゼロ」を世界初公開!名車復刻生産シリーズ第1号車
バイクのニュース / 2023年7月15日 15時0分
2023年7月13日、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、93年ぶりとなるベントレー新型「スピードシックス」が世界初公開されました。
■スピードシックス コンティニュエーションシリーズの第1号車
2023年7月13日から16日に開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、ベントレーが93年ぶりとなる新型「スピードシックス」を世界初公開。ベントレー史上もっとも成功を収めたレーシングカーであるスピードシックスは、歴史上もっとも重要なベントレーの1台です。
そして最新のスピードシックス 「カーゼロ」は、実際の使用条件での耐久性とサーキットでのテストからなる開発プログラムを実施する、エンジニアリング開発車両。カーゼロのテストを経て、ベントレー本社がすでに成約した12台の顧客向け車両の製造が開始される予定です。
なお、レプリカ以上の存在であるコンティニュエーションカーは、同シリーズのインスピレーションを得たオリジナルカーと同じ設計、同じ工程で製造されます。
ベントレーが93年ぶりにワールドプレミアを果たした「スピードシックス カーゼロ」の内装
スピードシックスは、ベントレーのオーダーメイドおよびコーチビルド部門であるマリナーによる戦前車のコンティニュエーションシリーズとしては、ブロワーコンティニュエーションシリーズに続く、2番目のモデル。
そんなスピードシックスの仕様が正確かつ正統であることを保証するために、特に1930年のル・マン 24時間レースに出場したオリジナルカーの仕様とセットアップに焦点を当て、広範な調査が行われました。
調査には、80%がベントレー・メモリアルファウンデーションを通じて入手された、可能な限り多くのオリジナル図面を使用。その図面にはベントレーヘリテージコレクションに収蔵されている1930年のスピードシックスや、オールドナンバー3として知られる1930年のル・マン出場車両から入手したデータとともに、1929年と1930年のレースの変更点を詳細に記したオリジナルのメカニックノートも反映されています。
ベントレーが93年ぶりにワールドプレミアを果たした「スピードシックス カーゼロ」の外観
6.5L6気筒の新型レース仕様エンジンの開発には、600を超える新しい部品が必要となりました。そして最初のダイナモメーターテストでは、ピーク時の出力が205bhpと、1930年にレースチューニングされたオリジナルエンジンの記録からの誤差が5bhp以内であることが示されています。
なお、ブロワーコンティニュエーションシリーズで使用されている本物の素材、特にトリム素材の多くはスピード シックスにも採用されています。
マリナーのチームメンバーは、当時ラインナップされていた5色の外装色を再現するために、ハンプシャー州ボーリューの国立自動車博物館のアーカイブを再訪。 スピードシックス「カーゼロ」 はパーソンズ ネーピア グリーンで仕上げられ、インテリアはタンレザーとなります。
ベントレーが93年ぶりにワールドプレミアを果たした「スピードシックス カーゼロ」のエンジン
今回公開されたスピードシックス「カーゼロ」は、熟練したマリナーの職人やスペシャリストのチームによって、10か月の期間をかけて製作されました。
完成したクルマは、クルー本社にあるベントレーのドリームファクトリーにあるマリナーのワークショップで組み立てからトリミングまでが行われ、芸術作品としてコンプリート。エンジニアリング開発車両として、ベントレー本社に保管されることになります。
そして最初の顧客向け車両は今年10月から製造が開始され、12台の顧客向け車両は約10か月を掛けて製造され、2025年末までに完成する予定です。
■スピードシックスの歴史とは?
今回93年ぶりとなる新型が公開されたスピードシックスは、6.5Lの高性能バージョンとしてベントレー史上もっとも成功したレーシングカーで、1929年と1930年にウルフ・バーナート氏、ヘンリー・’ティム’・バーキン卿、グレン・キッドストン氏の手によって、ル・マン24時間レースで優勝を果たした輝かしい経歴を持ちます。
ベントレーが93年ぶりにワールドプレミアを果たした「スピードシックス カーゼロ」のメーター
ベントレーの創業者であるウォルター・オーウェン・ベントレー氏は、ティム・バーキン卿が過給器を信奉していたのとは対照的に、パワーを向上させる最善の方法は容量を増やすことだと考えており、4.5Lの後継となる新しい大型エンジンを開発。ボア100mm、ストローク140mmの新しい直6エンジンは、6.6L近い容量を持っていました。
シングル・スミス5ジェット・キャブレター、ツイン・マグネトー、圧縮比4.4:1のベースフォームで、6.5リッターエンジンは3500rpm、147bhpを発揮。
北ロンドンのクリックルウッドにあるベントレー工場で362台が製造され、顧客のボディスタイルに合わせて長さの異なる様々なシャシーが用意されました。その後スピードシックスのシャーシを、6.5リッターのスポーツバージョンとして1928年に導入。ツインSUキャブレター、高圧縮比、高性能カムシャフトが採用されたエンジンは、最高出力180bhpに向上されています。
なお、スピードシックスのシャーシは、ホイールベース138インチ(3505mm)、140.5インチ(3569mm)、152.5インチ(3874mm)から選択可能で、ショートシャーシがもっとも人気のスタイルでした。
ベントレーが93年ぶりにワールドプレミアを果たした「スピードシックス カーゼロ」の外観
そんなスピードシックスは1928年から1930年にかけて182台が製造され、ファクトリー・レーシングカーは134インチのシャーシフレームで作られています。
レーシングバージョンのスピードシックスは、圧縮比6.1:1、最高出力200bhpのエンジンを搭載し、1929年と1930年のル・マン24時間レースでの2度の優勝により、ベントレーの歴史にその名を刻むこととなりました。
ウルフ・バーナート氏とヘンリー’ティム’・バーキン卿がドライブしたスピードシックスは、1周目からチェッカーフラッグが振られるまでレースをリード。他の3台のベントレーも、それに続く活躍を見せます。
7分21秒というラップタイムの新記録はバーキン卿が樹立したもので、それまでのベストタイムを46秒も縮め、平均時速83マイル(約1.6km/h)を記録しました。
ひとつのメーカーによるこのような圧倒的なパフォーマンスは、ル・マン24時間レースでは30年近くも破られることはありませんでした。
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