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配給手数料は従来の半分以下、クリエイターたちに利益還元を…日本映画界に風穴を開ける K2 Pictures の挑戦

シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年9月4日 6時20分

 今年5月、“日本映画の新しい生態系をつくる”ことを目標にした株式会社 K2 Pictures が第77回カンヌ国際映画祭開催中のフランス・カンヌでプレゼンテーションを行い、反響を呼んだ。代表取締役CEOの紀伊宗之が帰国後にインタビューに応じ、現在の日本映画界が抱える問題点と K2 Pictures を立ち上げるに至った経緯、そして同社が目指すものを語った。

 旧態依然とした日本映画界に風穴を開け、世界の市場に向けて展開していくために立ち上げられた K2 Pictures。現在、ほとんどの日本映画は映画会社、テレビ局、出版社などによって構成される製作委員会方式で作られている。

 製作委員会方式では、配給会社やテレビ局といった取りまとめ役の幹事会社が受け取る手数料、そして配給権、番組販売権(テレビ放送)、国内配信権、商品化権、海外権をはじめとした各窓口手数料が高い。窓口手数料を得られるそうした権利は出資会社の間であらかじめ割り振られており、彼らにとっては赤字が出にくいシステムだが純粋な投資家にとっては儲けを期待しづらく、既存プレイヤーしか日本の映画ビジネスに参加できない排他的な世界となっている。

 K2 Pictures CEOの紀伊は1995年、東映関西興行に入社して主に映画館で勤務したのち、シネマコンプレックスを展開するティ・ジョイで映画館の立ち上げをはじめ、エンターテインメント事業部でライブビューイングなどのオルタナティブコンテンツを扱い、OVAの劇場展開などに務め、東映株式会社に移ってからは映画『孤狼の血』シリーズや『犬鳴村』『樹海村』『牛首村』の“村”シリーズ、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『THE FIRST SLAM DUNK』などの配給・製作を手掛けてきたプロデューサーだ。2023年4月に映画企画部ヘッドプロデューサーとして東映を退職し、同年、新たな形の映画製作を目指して K2 Pictures を創業した。

 長年、劇場側から配給会社を見ていた紀伊は、シネコン全盛となって久しいこの業界で「配給会社は本当に必要なのだろうか?」という思いをぬぐえなかったのだという。「そもそもなぜ“配給会社”という概念が生まれたかというのは明快なんです。今も3,600スクリーンくらいありますが、1960年頃は7,000館ほどの莫大な数の映画館があり、それも今のようなマルチプレックスではないから1館1館にオーナーがいて、そのそれぞれと取引をする必要がありました。配給は映画と映画館があれば本来成立するはずのビジネスにおける“代理業”で、当時は映画館にある現金を回収してくることが一番の仕事でした。フィルムを届け、上映してもらい、お金の半分を回収、それぞれに契約書を書いて……という煩雑で大変な作業だったからこそ、配給という仕事が生まれたんです」

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