配給手数料は従来の半分以下、クリエイターたちに利益還元を…日本映画界に風穴を開ける K2 Pictures の挑戦
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年9月4日 6時20分
「でも今は興行収入でいうと、マルチプレックスの大手8社、9社くらいでシェアの約9割を持っている。ということは配給の仕事は主に9人と話をして、振り込んでくださいって言えばいいだけなのに、なぜかずっと配給会社って強いじゃないですか? それはおかしいんじゃないだろうかというのは20年くらい前からずっと思っていました。論理的に考えて、配給って本当に要るのかな? プロデューサーがやればいいんじゃないの? と」
ティ・ジョイ時代、日本のコンテンツを海外に展開することを目指す経済産業省の仕事を請け負ってインドネシアに出張を重ねた際に、その考えが理にかなっていることもわかった。「インドネシアにはシネコンチェーンが二つしかなくて、古い映画館がないんですよ。だから配給会社が存在しなかったんです。“アメリカ映画を輸入してきて配給する”という会社はあるけれど、インドネシア映画をインドネシアで配給する会社はないわけです。『ほらな!』と思いました。これは誰がブッキングしているの? と聞くと、二つしかないんだからプロデューサーがやっている、と。もちろんPRを司る人たちはいますけどね」
そしていざ配給・製作をする東映に移ると、その考えは一層強固になった。現在もクリエイターへの成功報酬制度自体はあるものの、高い幹事会社手数料及び窓口手数料によって残る利益が少ないため、成功報酬はたとえ発生したとしても極めて少ない。「いろんな人に『配給手数料ってこのパーセンテージでないといけない理由はあるんですか?』と聞いても、納得できる返答は得られませんでした。儲かった時は成功報酬でたくさんの人に返したいじゃないですか。監督、脚本家、俳優、スタッフ……皆しんどい思いをして作っているからこそ、還元したい。できない理由が前例主義的なものである部分も大きいなと感じたので、それはブレイクスルーできるんじゃないかと思いました。中にいるときは僕たちも既得権益側だったのでできなかったけれど、外に出たことでやれるんじゃないかなと」
そこで K2 Pictures では、日本コンテンツに興味がありながら接点を持てなかった国内外の会社が参加しやすいように、弁護士と会計事務所のサポートのもと、海外からの投資も想定した法律・会計基準を持つファンド「K2P Film Fund I(読み:ケーツーピー フィルム ファンド ファースト)」を立ち上げた。紀伊はカンヌでの発表の反響について、「やっと日本の会社で“世界の当たり前”をやろうとした人が現れた、って感じですよね。注目していた日本で、世界と同じ仕組みでビジネスができるんじゃないかと思ってもらえたようです」と明かす。
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