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「借金があるのに、趣味をやめられない」 雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第23回

ココロニプロロ / 2015年5月21日 18時15分

「借金があるのに、趣味をやめられない」 雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第23回

誰にも言えない、けれど誰かに言いたい、そんな内緒の悩みやモヤモヤ、しょうもないグチからやりきれないつらさまで、穴を掘ってこっそり叫んでみたい気持ちを発散する、「感情の吹きだまり」……。そんな場所がこのコーナーです。あなたのやるせない気持ちを、安心してブチまけてみませんか? 雨宮まみが聞き手をつとめます。長文の投稿歓迎いたします。

(ジジ/女性/29歳)

私は29歳の独身女性です。仕事は官公庁の臨時職員で、30万円ほどの借金があります。このような経済状況にもかかわらず、趣味のバレエにお金をかけることをやめられません。

幼い頃からクラシックバレエが大好きでしたが、親に習わせてもらえず、社会人になってから自分のお金で教室に通い始めました。習ってみるととても楽しく、早く上達したくてレッスン回数も増やし、発表会にも参加するようになりました。

バレエはお金がかかります。月謝だけでなく、レッスン着やシューズも高額で、発表会は数十万円単位の出費が当然とされる世界です。そして、習う人たちもほとんどがお金持ちで、いつも高価な装いで教室に現れます。

時々、私は何をやってるんだろう、と呆然とすることがあります。どんなにがんばっても、バレエダンサーにはなれない。子どもの頃から習っている人たちとは、埋めようのない差があることも分かっている。もういい年なのに定職にも就かず、彼氏もいない。バレエをやめれば、借金を返して、老後の蓄えだってできるのに。

私には、何を捨ててもいいからダンサーになりたいと思うことはできません。綺麗な服も着たいし、好きな本を買ってカフェに行きたい。本当は留学して、英語の勉強がしたい。でも、バレエも続けたい。両方を続けることが、自分にとって良くない状況を招くと気付いているし、そのことに必死で目をそらしている。そんなことができる状況ではないのに、とても欲張りで、幼稚で、情けなくなります。

私の中で、バレエダンサーになりたかった残骸がティーカップの茶渋のようにこびりついて、洗い流せない。教室で、中高生の子どもが留学すると聞くと、うらやましさと、その歳で自分の目標に突き進む聡明さに息が詰まり、そんな自分が嫌になります。

私はただ、踊りたいと思ってバレエを習い始めたはずでした。美しいものに少しでも近づきたいと憧れ、ひとりで何も考えず踊りたかった。けれど、余計なことばかり考えてしまう。

私には過ぎた願いだったんだな、と今は思います。経済的にもそうですし、こんな思考の人間にはふさわしくなかったのだと。それなのに、やめることが出来ない。身の丈にあった暮らしができないんです。

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