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「借金があるのに、趣味をやめられない」 雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第23回

ココロニプロロ / 2015年5月21日 18時15分

ジジさんは、ストイックにバレエ一筋にもなれず、着飾ったり読書したりお茶したりする余裕も欲しいし、お金だって貯めたいと考えておられ、そんなふうにあれもこれもと目移りして、たったひとつの「バレエ」という目標にすら全力を注ぎ込めない自分を恥じてらっしゃるように感じます。でも私には、ジジさんはとてもバランスの良い人に見えます。無理をして自分を極限まで追いつめることはしない人なのではないでしょうか。借金の額が30万というのも、どちらかというと堅実な印象を受けます。

時間的、もしくは金銭的に自分を追い込み、極限までひとつのことに身を捧げるのは、成長するためにもっとも良い手段のように思われがちですが、私はそれは違うんじゃないかと思います。追い込まれて伸びるタイプもいれば、ハングリー精神で頑張れるタイプもいるでしょうが、私自身は自分を追い込んでみて、それほどの成果が得られたと感じたことはありません。むしろ、追い込まれるとつらいばかりでのびのびと思考できないし、冷静な判断ができなくなります。もちろん、やっていても楽しくありません。ジジさんは今、ちょっとそれに近い状況なのではないでしょうか。時間、お金、能力、何一つ自分は持っていないのだと、ご自身を追いつめてらっしゃるのではないですか。

時間、お金、能力、どれを取っても、どこからか湧いて出てくるものでもなければ、努力したからと言って必ず得られるものでもありません。それらのものとどう折り合いをつけ、自分の望むこととのバランスを取っていけばいいのでしょうか。

私は、今できる少しの調整をすることだと思っています。地味でしょう。ほんとにつまらない答えですよね。でも、大きな変化をしようと無茶をする前に、試してみるべきなのはそういうことだと思うのです。

例えば、バレエにかかる金額を少し減らすことはできないのでしょうか。レッスン回数を減らすとか、発表会に参加しなくてもいい教室を探してみるとか、もっと庶民的にバレエを楽しめる場があればそちらに移るとか、シューズは買い替えが必要でしょうが、練習着は少々古くても平気で使ってみるとか。それが「できない」と思うのは、「バレエをみっちりやりたい」という気持ちもあるのでしょうが、周囲の、お金を持っていていくらでもレッスンが受けられたり、人生をバレエに捧げている人たちへの見栄もあるのではないでしょうか。

バカみたいなことだとは思いません。教室の中で一人だけ別行動、違う常識に従って行動することは勇気が要りますし、みんなお金持ちなのに自分だけお金がないというのが、どのくらいみじめに感じることか、私は知っています。でも、このままお金のことや、バレエをやって行き着く先に不安を感じているよりは、その罪悪感を減らす手段を考えるのがいいんじゃないかと思うのです。そして、いちばん減らしやすいのが、このあたりのことなのではないかと思うんです。

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