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「青木崇高のビンタを仮想体験」 ゴジラのMX4Dがすごすぎて 椅子の上でタコ踊りしてしまった件

CREA WEB / 2024年3月8日 17時0分

 先日、「ゴジラ-1.0」をMX4Dで観た。ゴジラは今年で70周年、「ゴジラ-1.0」は日本で製作されたゴジラの実写映画としてはもう30作目というではないか。

 実は私は今回が初ゴジラ。生まれる前から圧倒的人気を誇り、こまめにシリーズが公開されてきた「ゴジラ」を、よくぞここまで素通りしてきたものである。2016年公開の「シン・ゴジラ」というビッグチャンスもみすみす逃したが、ようやく……!

 しかもMX4Dも初体験。座席が動いたり風が吹いたりするアレであるが、この組み合わせ、想像以上にスリルショックサスペンスであった。一部始終を報告したい。


「ゴジラ-1.0」に登場するゴジラの身長は50.1メートルだという。数字を見てもピンとこないので調べてみると、パリの凱旋門、SHIBUYA109がだいたい50メートルなのだそうだ。なるほどデカい! ©2023 TOHO CO., LTD.

 そもそも怪獣にはあまり興味がない私。それでも今回の「ゴジラ-1.0」は、周りの方の評価がやたらめったら高く、

「あれは映画館で見なアカンで!」

と勧められ、さすがに気になりだした。マジか……。そしてそこに、邦画初のアカデミー視覚効果賞にノミネートされたというニュースと、スティーブン・スピルバーグが3回も劇場に足を運んだという情報が入り、これが決め手となった。

 スピルバーグ監督が3回見たものを、私が一度も見なくてどうする。なにより神木隆之介さんは好きな俳優である。万が一ゴジラにピンと来なくても、神木さんの勇姿は間違いなく響くはずなので損はいだろう。よし、迷わず行けよ、行けばわかるさ!

 もう上映されてからずいぶん日にちが経っている。慌てて映画館に駆け込むと「IMAX」らしき上映の時間がいけそう。通常の映画代に追加料金が1300円!? たたた高ッ。しかしこういうのは勢いである。それだけ音響と映像がいいのだろうとチケットを買った。

●大迫力! ゴジラの臨場感を全身で感じる

 ところが、扉の前で「膝の上に荷物は置けないのでロッカーに入れてください」とスタッフに告知されびっくり。エッ、どういうことなのかと入り口を見ると「4D」と書かれている。マジか「IMAX」と「MX4D」を見間違え! オーノー老眼トラブル(泣)。ところで4Dってなんだっけ。このときは何もわからず心の準備なきまま、未知なる文明を体験することになったのである。

 中に入ると座席が豪華。背もたれは高々と伸び、足置きまであるではないか。新幹線のグリーン席的な。せっかくなので社長のようにどっかり座り開演を待ったが、内心ドキドキ。映画を見るというより絶叫系アトラクションに並んでいる気分である。何が始まるの、私はどうなるの?


ビキニ環礁で行われた米軍による核実験「クロスロード作戦」により、その近海にいたゴジラは被曝し、さらに巨大化してしまう。世界的に不穏なにらみ合いが続いている現代、本当にゴジラが現れる日も近いのではないか。そうならないようにしなければ。©2023 TOHO CO., LTD.

「ぬおお!」。映画が始まった途端、それはすぐわかった。ゴゴゴゴゴと椅子が振動し、スクリーンに映る飛行機に乗っているような感覚になるのである。なるほど体感系か。スリル満点。こっこれが2時間続くのか。大丈夫なのか!

 しかも早々にゴジラが登場し、ゴジラが動くたびにガッコンガッコンと椅子が振動。風がビュオッと吹きライトが点滅、画面ではゴジラがギャオース! もはやキャー神木さんかっこいいッなどとミーハーに愛でる余裕などなく、スクリーンを見たり椅子を見たりオロオロ状態である。


敷島浩一を演じた、神木隆之介さんの、感情が死んでる的演技はすさまじい。もう、ただただ、幸せになってほしい(泣)! ©2023 TOHO CO., LTD.

 もう、いつ振動が来てもいいように、肩に力を入れて身構えるしかない。時折流れる、家族のシーンの愛しいことよ……。椅子の安定は心の安定。敗戦から必死で立ち上がろうとする人々の強さとやさしさに、胸が熱くなる。

 が、癒されタイムは短い。圧倒的にゴジラとの戦いタイムが多い。銀座が破壊されるシーンは特に椅子の振動が容赦ない。足置きも足が安らげる場所ではなく、バチバチ石みたいなものが当たる感覚になる仕掛けが施されていた。ゴジラが襲い来る臨場感が足にまで! いだだだ!


ゴジラの出現に逃げ惑う人々。映画館では4Dの仕掛けのせいもあり、自分もその中の一人の気分になりパニック! 私はきっとオレンジ色の服の人みたいになるなあ。腰がひけて足が前に出ない感じ……©2023 TOHO CO., LTD.

 少しのことにでっかい反応をしてしまう私は、もう椅子の上でタコ踊り状態である。体だけではない。日劇がゴジラに踏みつぶされるシーンは、朝ドラ「ブギウギ」ファンとしては大ショック。やめて、日劇を壊すのはやめて! スズ子のホームグラウンドなのよ。そこから名曲がいくつも誕生していくのよ!!

 しかしこの銀座で暴れるシーンは、怖いのだが、破壊の美というか、すさまじく美しい。怖いが美しいのだ。ゴジラって不思議だ。

●叩かれるシーンまで衝撃が再現される4Dにビックリ


海ゴジラに飲み込まれそうな掃海船の「新生丸」。佐々木蔵之介演じる秋津淸治船長がたまらなくカッコイイが、海のシーンはリアルゆえに船酔い注意。©2023 TOHO CO., LTD.

 海のシーンはスピルバーグも褒め称えたというくらい、VFXとは思えないほどリアル。 昔「タイタニック」を前の席で見て船酔いしたことを思い出した。良かった。後ろの席で本当に良かった。

 風ブォッ、椅子ガクガク、スクリーンギャオース! ざっぷんどっぷん!

 文章が擬音だらけになってしまったが、それほど感覚が忙しい。しかも衝撃の再現は飛行機や船、ゴジラによるものだけにあらず。神木隆之介演じる敷島が、青木崇高演じる橘宗作に叩かれるシーンまでパシッと風で衝撃が来てビックリ。そこまでする!? まさか私の人生、青木崇高さんに叩かれる疑似感覚が味わえる日が来るとは。


電車を噛むゴジラ。典子(浜辺美波)が宙ぶらりんにぶら下がるシーンは、「ミッション・インポッシブル」のトム・クルーズを思い出す。生き残るために必要なパワー、それは握力! ©2023 TOHO CO., LTD.

 そして、ゴジラの大暴れとともに描かれる、戦争を「生き延びてしまった」という後悔、今度は役に立ちたいという願い。ほぼ笑わずそれを表現する神木隆之介を筆頭に、浜辺美波、安藤サクラ、佐々木蔵之介、吉岡秀隆、山田裕貴がガツンガツンと名演技で、ゴジラという虚構の上にリアルな「戦後」を浮かび上がらせるすごさ。吉岡秀隆演じる野田健治による、作戦決行前の演説は深くしみいる。


神木隆之介さんと浜辺美波さん。雛人形のお内裏様とお雛様みがあるベストカップルである。©2023 TOHO CO., LTD.

 ゴジラに立ち向かう人たちの知恵と苦悩、勇気と奮闘に泣いた。ゴジラで泣くとは全然想像していなかった。
ゴジラとはなんなのだろう。人間の悪意、戦争、沈めても沈めても息を吹き返してくる殺意の具現化なのか――。

●「ゴジラ」のテーマ曲の迫力


破壊を目の前に、茫然とたたずむしかない……。私の大大好きな映画「ALWAYS~三丁目の夕日~」の監督・山崎貴さんが撮った、もう一つの戦後の東京。インタビューで「怖いゴジラを撮りたかった」と仰っていたが、本当にいろんな意味で怖かった。©2023 TOHO CO., LTD.

 終わった時はもうグッタリ。こ、これはすごい。ゴジラの恐ろしさを肌で感じてしまった。私の隣には、昔からのゴジラのファンの方なのか、60代後半から70代くらいのご夫婦が座っていらっしゃったが、終わったあと、支え合いながら、よたよたと階段を下りていかれた。


何度も言うが船のシーンは大迫力ゆえ船酔い注意。©2023 TOHO CO., LTD.

 私もすぐには立てず、エンドロールで流れる「ダダダ、ダダダ、ダダダダダダダ!」というゴジラのテーマに身を任せる。劇中でもガンガン流れていたが、低音でお腹に響くこの「迫りくる感」よ! この映画の迫力は、このメロディーがあってこそ。作曲家は伊福部昭さんという方なのか。ウィキペディアを見てみると、初期のゴジラシリーズでは怪獣の鳴き声や足音までも担当し、なかなか決まらないゴジラの鳴き声に、コントラバスの音を提案したというからすごい! これは猛烈に聞きたい。まずは1954年上映の第1作「ゴジラ」を見よう。


2023年12月4日(月)、米国で123万ドルの収益を上げ全米興行収入ランキングで1位を獲得! 英語以外の言語による実写映画の全米1位達成は19年間ぶりの快挙なのだとか。すごいなゴジラ。ちなみに19年前に全米1位を獲得したのは、全編ラテン語の「パッション」。©2023 TOHO CO., LTD.

 ゴジラ生誕70周年での、あまりにも遅い初ゴジラ体験だったが、本当に見て良かった。

 思わぬMX4D参戦により、気分的に落ち着いて見ることができない部分もあったが、それすらもリアル。いつ襲ってくるかわからない脅威と対峙する切迫感を知った。

 まだあの地鳴りのするような音楽が聴こえてくる。

 ダダダ、ダダダ、ダダダダダダダ……

 3月8日には日本アカデミー賞(作品賞をはじめ12の優秀賞受賞)、3月11日にはアカデミー賞(視覚効果賞ノミネート)授賞式。ぜひ選ばれてほしい。

映画『ゴジラ-1.0』
全国東宝系にて公開中

監督・脚本・VFX:山崎 貴
出演:神木隆之介 浜辺美波
山田裕貴 青木崇高 
吉岡秀隆 安藤サクラ 佐々木蔵之介
©2023 TOHO CO., LTD.


田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

文=田中 稲

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