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沖縄で楽しむエシカルな旅 コーヒー豆収穫体験と星空観望ツアー 【これからは持続可能な観光へ】

CREA WEB / 2024年3月15日 7時0分

 現在、全国各地の観光地では、交通機関や施設の混雑、騒音、マナー違反といったオーバーツーリズムが問題になっています。

 これらの問題を防ぐため、沖縄県ではエシカルの概念を取り入れた新しい観光の考え方「エシカルトラベルオキナワ」を展開中。沖縄観光コンベンションビューローが運営する沖縄観光情報WEBサイト「おきなわ物語」では、エシカルな旅を体験できる多数のコンテンツを紹介しています。

 沖縄の自然や伝統文化、産業に触れることができるこれらのコンテンツですが、実際にどんな体験ができるのか、4つのコンテンツをピックアップしてご紹介します。

 第3回は、コーヒー豆収穫&焙煎体験と星空観望ツアーです。


コーヒー1杯の価値を考える

◆又吉コーヒー園のコーヒー豆収穫&焙煎体験


コーヒーの木から一粒一粒、赤い実を摘んでいきます。

 コーヒーブームのサードウェーブ以降スペシャルティコーヒーなどの高品質なコーヒーが増え、時にはコーヒー1杯の価格が高いと感じることもあるかもしれません。

 しかし、「又吉コーヒー園」でコーヒー豆ができるまでの工程を体験してみれば、その価格は決して高いものではないと思うのではないでしょうか。

 沖縄本島北部の国頭郡東村に位置する又吉コーヒー園は、東京ドーム約2個分もある敷地にキャンプ場やコテージ、カフェなどを備える観光農園。

 もともとはバラを中心にした花畑の観光農園をしていたそうですが、2012年の台風被害によってバラが全滅。それを機に、農薬を使わずに栽培できる作物を探すのなかで見つけたコーヒー栽培を始めたそうです。


又吉コーヒー園代表の又吉拓之さん。

「ここは自然が多く、大切にしなければいけない土地なのに、バラ栽培のためには農薬を使わざるを得ませんでした。そこでバラが全滅してしまったあとに農薬を使わない作物を本気で探して、辿り着いたのがコーヒーだったんです」と又吉コーヒー園代表の又吉拓之さんは話します。

 2016年からコーヒー園を始め、当初は100本だったコーヒーの木も現在では約2,500本に。コーヒー豆の販売や、生産工程を知ることができる体験ツアーを行っており、ツアーでは果実の収穫から生豆への加工、焙煎、抽出まで楽しめます。

コーヒーの実の収穫作業からスタート!


緑色のものはまだ完熟していないもの。赤や黄色のものは収穫できます。

 コーヒー豆収穫&焙煎体験は、まず果実の手摘み作業から始まります。農園に入ると2メートルほどの木々に赤や黄色の鮮やかな実が生っていて、この実を一粒ずつ摘んでいく作業です。

 実の中にある種がコーヒー豆になるのですが、実の部分はコーヒーチェリーと呼ばれるように、かじって食べてみるとほんのり甘い。糖度は20度以上あるそうで、この高い糖度により風味のよいコーヒー豆に仕上がるのだとか。

 コップ1杯ほどの実が採れたら、次は果実から種を取り出す作業を行います。室内に戻ってテーブルに実を広げ、果肉を剥いていくと、種は両手のひらで持てるくらいの量に。


果肉を剥くと、おなじみのコーヒー豆の形をした淡い黄緑色の種が出てきます。

 取り出した種はネットに入れて水で洗い、そのあと手網に移して、コンロの上で揺らしながら乾燥させます。


洗った種はコンロで炙って乾燥させます。

 しっかりと乾燥させたら、殻を取り除く脱穀作業。脱穀した豆をきれいな豆と傷みのある豆を選別するのは、なかなか地道な作業です。


脱穀作業後の種。薄皮はシルバースキンとも呼ばれています。

 脱穀した種は再度手網に入れ、コンロの上で焙煎します。

 焙煎はコーヒーの味を左右する大切な作業ですが、おいしいコーヒーにするポイントは3つ。①火加減は中火で、②手網を火からできるだけ近い位置を保ち、③手網を振って豆をしっかり動かし焼きムラができないようにすることだそう。色がつくまで、ひたすら手網を振り続けます。


腕が疲れたら反対の腕に持ち替え、色がつくまで辛抱強く振り続けます。

 種がこげ茶色になったら、ようやくコーヒー豆の完成です。コーヒー1杯分は16g。私が収穫した実からは21gできたので、1杯分を試飲に使い、余った分はお持ち帰り用にいただきました。


これくらい色がつけばOKです。

 さっそくできたコーヒー豆をミルで挽き、ドリップの方法を教わりながら丁寧にお湯を注いでいきます。


最初は「の」の字を書くようにお湯を注ぎ、30秒おいてから1円玉サイズの円を描きながらお湯を注いでいきます。

 約2時間半かけてできた貴重な1杯。採れたて煎りたての豆で作ったコーヒーは、スッキリしていてえぐみがなく、香りがしっかりしていておいしい。


自分で作ったコーヒーをその場で飲めるのがうれしい。

 コーヒー豆の作り方は基本的に世界中どこでも同じですが、実を機械で摘むのは広大な台地でコーヒー栽培をしているブラジルなどの農国だけなんだそう。

 コーヒーは山地で栽培している地域が多いため機械の搬入がむずかしいことから、何トン、何十トンという量を手作業で収穫している農園がたくさんあるそうです。

 コーヒー1杯に対する価値観が変わる、貴重な収穫&焙煎体験でした。

又吉コーヒー園

所在地 沖縄県国頭郡東村字慶佐次718-28
電話番号 0980-43-2838
営業時間 平日10:00~17:00、土日祝9:30~17:00
定休日 不定休
https://www.matayoshicoffee.jp/

やんばるの生き物の息遣いを感じる

◆国頭村森林公園の星空観望ツアー


国頭村森林公園から見た満天の冬の星。

 2021年にユネスコ世自然界遺産に登録された「やんばるの森」は、世界でも有数の多種多様な生き物が生息する希少な森。沖縄県北部の3村にまたがっており、なかでもその半分以上を占める国頭村では各所で豊かな自然を満喫できます。

 特に「国頭村森林公園」ではキャンプや散策が楽しめるほか、夜には星空観望ツアーを実施。冬には澄んだ空気の中で輝くゴージャスな星空を、夏には美しい天の川を眺めることができます。


星見台から空を見上げると素晴らしい星空が。© Kunigamio-forest-park All rights reserved.

 国頭村では文字通り降るような星空が見られますが、その理由の一つが人工的な灯りが少ないこと。

 夜になると辺りは真っ暗で、もちろん星空観望ツアーでもナビゲーターが照らしてくれる懐中電灯の光がないと何も見えません。

 ナビゲーターの下地正敏さんの先導により高台の広場にある展望台に到着すると、リクライニングチェアが用意されていました。


展望台に並べられたリクライニングチェア。© Kunigamio-forest-park All rights reserved.

 街中でも星はきれいに見えましたが、ここからはより鮮明に見え、カシオペア座、大熊座、小熊座といった冬の星座のほか、時折流れ星を発見することも。

 リクライニングチェアでゆったりと星空を眺めていると、「キョキョキョキョ」という甲高い鳴き声が聞こえてきます。これはヤンバルクイナがテリトリーを主張するときの鳴き声。

 徐々に大きくなる鳴き声に、暗闇で姿は見えなくても近くに来ているのかもしれないという、なんとも言えない感動があります。


下地さんがライトを使いながら星座を案内してくれます。

 次に天文台へ移動し、天体望遠鏡で星を観測。昨年買い替えたばかりだという高性能な天体望遠鏡からは、木星や土星は輪までくっきりと見えます。


もちろん天文台も、天体望遠鏡が不要なほど美しい星空が見られます。

天体望遠鏡を覗いていると、辺りからはフクロウやカエルなどの鳴き声も。

 下地さんによると、月明かりが少ないときが最高の眺めなんだとか。この素晴らしい星空を次世代に残したいと語っていました。


下地さんがその日の星の見どころを解説してくれます。

国頭村森林公園

所在地 沖縄県国頭村字辺土名1094-1
電話番号 キャンプ場0980-43-0514
開園時間 9:00~18:00
定休日 火曜日
https://www.kunigami-forest-park.org/

エシカルトラベルオキナワ

https://www.okinawastory.jp/feature/ethical_travel/

ソラシドエア×エシカルトラベル特集

https://www.okinawastory.jp/feature/solaseedair/

文=佐藤由樹

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