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「驚くべきこと」金与正氏の”子ども”登場で北朝鮮国民が興奮

デイリーNKジャパン / 2025年1月11日 5時14分

メーデースタジアムに入場する朝鮮労働党の金与正副部長と実子と見られている女児と男児(画像:朝鮮中央テレビキャプチャー)

北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは、元日の15時12分より、「<録画実況>敬愛する金正恩同志をお迎えして行った新年慶祝公演」を1時間26分にわたって放送した。

金正恩総書記やその一家、朝鮮労働党、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)、政府の高位幹部が観覧する歌や踊りのビッグフェスだ。暖かそうな席にいる金正恩氏親子とは対照的に、高位幹部たちは、寒さに震えつつ仏頂面でイベントを見守っていた。

一方、観客席を埋めた平壌市民は、応援棒を手に、飛んではねての大興奮の様子だった。フェスを楽しんでいるというよりは、体を動かさなければ体が凍えてしまうからかもしれないが。

この中継は、同局で繰り返し再放送されているが、それを見た平壌市民の間で話題になっていることがある。放送開始9分ごろに、金正恩氏の妹の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が、小学校低学年と思しき女児と、就学前と思しき男児を連れてメーデースタジアムに入場するシーンが登場する。

(参考記事:金与正を批判し相次ぎ失踪「家族ごと一夜にして消えた」

平壌市民はこの2人の子どもを、金与正氏の娘、息子と認識しているようだ。平壌のデイリーNK内部情報筋は、次のように伝えた。

「2022年には元帥様(金正恩氏)のお嬢様(ジュエと呼ばれる女の子)が公開され、耳目を集めたが、今回は金与正副部長が子どもを連れて出てきたということで、相当の関心を集めている」

平壌市民の間では、「2人は金与正氏の子ども」ということは既成事実化しているとのことだ。これは、かつての時代とは雰囲気が大きく異なる。

「首領様(故金日成首席)と将軍様(故金正日総書記)の時代には、実子の情報が神聖不可侵のものと考えられていたが、元帥様の時代には、ご子息の姿を次々に公開している。時代が変わりつつあると驚いている」(情報筋)

金日成氏はともかく、金正日氏の女性関係は非常に複雑で、わかっているだけで6人の女性と結婚、離婚、同棲、出産を繰り返している。女性の数はもちろん、実子も実際にどれくらいいるのか謎に包まれており、金正恩氏の実母の故高容姫(コ・ヨンヒ)氏の存在も、現在は伏せられている。

(参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

先代とは打って変わって、家族を前面に出す戦略に、親近感を抱く人も増えているとのことだ。

「白頭血統(金氏一家)は神聖なる血統なので、われわれは容易に知ることができないが、元帥様のご子息に次いで、急に金与正副部長のご子息が公開されたのは驚くべきことだ。首領様や将軍様の時代とは異なり、親近感を感じる」(平壌市中区域の住民)

これ以外にも、「金与正副部長がご子息と共にした姿を公開したのは、国民に温かいイメージを植え付けようとする意図が見える」との意見もあったという。親近感を感じつつも、その裏にあるプロパガンダ戦略を見抜いているということだ。

また、「今回の行事は家族を強調する空気だった」との意見もあり、少子化対策の一環のイメージ戦略と受け止めている人もいるようだ。(参考記事:「離婚したら刑務所行き」でも防げない北朝鮮の少子化

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