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U.S.M.Hが独自ブランド「GREEN GROWERS Meal」を立ち上げた理由

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年4月10日 20時54分

「GREEN GROWERS Meal」のロゴを入れた専用の什器

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都/藤田元宏社長:以下、U.S.M.H)は自社のプライベートブランドとして、植物性の食材からなる食品を集めた「GREEN GROWERS Meal(グリーングロワーズミール)」をスタートさせている。売上目標は非公表。プラントベースに特化したブランドを立ち上げた背景や、販売戦略について聞いた。キーマカレー

「GREEN GROWERS Meal」シリーズより、キーマカレー(税抜398円)

 

環境への関心高い
Z世代の取り込みねらう

 U.S.M.Hでは2022年6月、「安心・安全」「健康的」「環境にやさしい」をコンセプトとして、サステナビリティに配慮した商品を取り扱うプライベートブランド(PB)「GREEN GROWERS(グリーングロワーズ:以下、GG)」を立ち上げた。主たる目的は、新たな客層の取り込みだ。GREEN GROWERSの主たるターゲットは1990年代後半から2010年の間に生まれたZ世代で、他世代と比較して環境問題への意識が高いことが各種の調査から明らかになっている。

 23年11月には、GREEN GROWERSのなかでミール食品に特化した「GREEN GROWERS Meal(グリーングロワーズミール」というブランドがスタートした。植物由来の原材料を使用した食品をさす「プラントベースフード」を用いたレトルト食品を取り扱う。

 第一弾として23年11月25日に発売されたのが「野菜カレー」(税抜398円)と「ボロネーゼ」(同298円)だ。どちらも玉ねぎ、ニンジン、にんにくなどの香味野菜を使い、旨味や具材感を出している。

 第二弾として、24年2月29日には「キーマカレー」(同398円)を発売。香味野菜にトマトペーストを加えて、酸味と野菜の甘味が合わさったまろやかな味わいに仕上げた。

 いずれの商品も、アマゾンの荒廃地に多様な果樹や材木の苗、作物を植えることで、単一栽培ではできなかった持続的な生産を行う「森を作る農業(アグロフォレストリー)」により栽培されたアサイーが使われ、商品1個あたりのCO₂削減量が数値で記載されている。

U.S.M.H
U.S.M.H経営企画本部の川上一也氏

エンドウ豆を使って
肉に近い食感を再現

 U.S.M.Hでは植物由来の代替肉を製造する米国のビヨンド・ミート(Beyond Meat)と独占販売締約を締結しており、第一弾、第二弾とも同社の製品「BEYOND MEAT」を用いている。日本国内で販売されるプラントベースフードは、大豆を原料とした大豆ミートを代替肉に使用するものが多い。一方、「BEYOND MEAT」はエンドウ豆のたん白質を主成分とし、ココナッツオイルやキャノーラ油などによって脂身の味わいを出すなど、より肉に近い食感を再現している。

 「BEYOND MEAT」に注目した理由について、U.S.M.H経営企画本部でBEYOND MEATプロジェクトリーダーを務める川上一也氏は「大豆ミートは特有の豆臭さがあり、あまり美味しいと感じられなかった。『BEYOND MEAT』は食感がより肉に近く、『食べて美味しい』と思ってもらうことができ、プラントベースフードの需要をさらに高められると感じた」と話す。

 商品はいずれも、U.S.M.Hのグループ企業であるマルエツ(東京都/本間正治社長)、カスミ(茨城県/塚田英明社長)、マックスバリュ関東(東京都/島田諭社長)の店舗とオンラインデリバリーで取り扱っている。とくに首都圏の店舗を中心に販売を強化し、反応を見ながら全国に販売網を広げていく予定だ。

「GREEN GROWERS Meal」のロゴを入れた専用の什器
認知度向上に向け
売り方も一工夫

 U.S.M.Hがプラントベースフードに特化したGREEN GROWERS Mealのシリーズを立ち上げた最も大きなねらいは、認知度の向上だ。
「国内では『プラントベースフード』という言葉自体が、まだまだ知られていない。商品を集めてシリーズ化すことで、店頭でよりお客さまの目に留まりやすくなると考えた」と川上氏は話す。

 認知度を上げることをめざして、売り方においても工夫を凝らした点がいくつかある。

 一つが、専用の什器の開発だ。全4段で「GREEN GROWERS Meal」のロゴが入った専用の什器を作り、各店舗の目立つ位置に設置する。

 価格については、「野菜カレー」が398円、「ボロネーゼ」が298円、「キーマカレー」が398円と、いずれも手に取りやすい価格設定にした。「あまりに高価だと敬遠されてしまう。プラントベースフードがどのようなものかをまず試してもらうため、メーカーにも協力を仰いで価格を抑えた」(川上氏)

 すでに販売されている「野菜カレー」と「ボロネーゼ」については、若年層から高齢者層まで幅広く買い求められており、「とくに30代から50代の女性に興味を示していただいている。環境問題に関心があったり、プラントベースフードに興味を持っていたりと、購入の理由もさまざま」と川上氏はいう。

 GREEN GROWERS Mealのラインアップは今後も増やしていく予定で、5月には「麻婆豆腐の素」を販売することが決まっている。以降も、餃子、団子など日配商品を中心にメニューを拡大していく。

 24年1月にはカゴメ(愛知県/山口聡社長)が、野菜と豆でできたパスタソース3種を発売、24年3月には雪印メグミルク(東京都/佐藤雅俊社長)がえんどう豆たんぱくを使用した飲料やヨーグルトを発売するなど、大手食品メーカーの間でもプラントベースフードの新商品開発が増えている。U.S.M.Hの「GREEN GROWERS Meal」シリーズは、国内でプラントベースフードの認知度をさらに高めていく起爆剤となるか、注目したい。

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