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ヒト21番染色体部分モノソミーiPS 細胞の作製に成功 ~ヒト染色体欠失症やダウン症の機序解明や治療標的発見への応用を期待

Digital PR Platform / 2025年1月15日 14時5分

(図3)
 21q部分モノソミーiPS細胞の作製に使用された 9 つのgRNA配列のHSA21上の位置。
 構築される 21q部分モノソミーiPSC細における欠失した染色体領域の長さと、その中に存在する遺伝子の数も示されている。

(図4)
 21qのほぼ全長が欠失した21qモノソミーiPS細胞の作製。
 (上)2種の 21qモノソミーiPS細胞株(Δ21qE11、Δ21qD11A10)のGバンド解析の結果得られた核型が示されている。また各iPS細胞株におけるHSA21の拡大図において、短縮したHSA21が矢印によって示されている。(下)比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)解析の全ゲノム、および21番染色体染色体(HSA21)の結果をそれぞれ示す。

(図5)
 モノソミー領域に存在する単一コピー遺伝子のmRNA量は、21q部分モノソミーiPS細胞において約50%減少している。
 ヒートマップは、HSA21上の85遺伝子のmRNA量の倍率変化(底2の対数で表示)を、染色体上の位置(上:セントロメア、下:テロメア)に従って示している。値は右側のカラーのスケールバーを参照。左側の黒いバーは、各21q部分モノソミーiPS細胞株において欠失する遺伝子を示す。さまざまな21q領域が欠失した14種の21q部分モノソミーiPS細胞株のトランスクリプトーム解析の結果が示されている。



<用語解説>
注1:相同染色体
 ヒト正常2倍体細胞は常染色体(1番染色体から22番染色体)を22セット(44本)と性染色体を1セット (X染色体を2本、もしくはX染色体とY染色体を各1本)保持し、全体で46本の染色体をもつ。各セット染色体の一方は母方から,もう一方は父方から受け継いだもので,この対になる染色体を相同染色体という。

注2:モノソミー、部分モノソミー
 モノソミーは、2倍体細胞において通常2本あるべき染色体のうち1本が欠けている状態を意味する。また欠けているのが染色体全体ではなく、部分的である場合、部分モノソミーと呼ばれる。

注3:染色体欠失症、部分モノソミー症
 染色体の一部が欠失することによって、さまざまな身体的・精神的な問題が引き起こされる遺伝的な疾患群の総称。例えば、部分モノソミー21は、21番染色体長腕の様々な部位の欠失によって先天異常、発達遅滞、および知的障害をきたす。

注4:CRISPR/Cas9
 バクテリアの獲得免疫機構を応用したゲノム編集技術。任意のDNAを特異的に認識するガイドRNA(gRNA)と、DNA2本鎖切断活性を持つCas9タンパク質の複合体によって、人為的に特定のDNA配列を切断できる。切断後は細胞が持つDNA修復機構によって、切断されたDNA2本鎖同士の結合が起こるが、その際に塩基配列の欠失や挿入が生じることが多い。
 本研究においては、染色体上で遠く離れた位置にある2つの部位を同時に切断すると、切断部位同士の結合によって、その間の配列が一定の頻度で欠失する現象を利用して大規模な染色体欠失を誘導している。

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