アウディの次世代ハイブリッドシステム：MHEV plus

DモードとSモードに関するオペレーション戦略は、特に48ボルトバッテリーのターゲットSoCにおいて異なります。Dモードでは平均SoCが50〜55％の際に、内燃エンジンの電動アシストと部分的な電動走行に必要なエネルギーを確保する最適なバランスがとれます。このSoCレベルではまた、信号待ちや市街地に入る際の、穏やかで長めのブレーキ操作によって回収されるエネルギーを、多く蓄えることもできます。Sモードでは、ターゲットSoCを約70％に設定し、よりスポーティな走行に必要な電動アシストに必要なより多くのエネルギーを確保します。スポーティな走行では、短くて強いブレーキングが多くなるため、エネルギー回収は少なくなります。

また、PTGを使用することで、より大きなトルクを瞬時に利用でき、走行性能がより上がるとともに、車両は負荷の変化に対してより素早く反応し、コーナーからの加速がより俊敏になります。負荷変動もDモードとSモードで異なり、Dモードでは快適なハンドリングが、Sモードではより反応が高くダイナミックなハンドリングが可能です。

MHEV plusを搭載したモデルは、市街地に近づくときなど、完全に電動走行が可能で、PTGを活用して速度を維持します。運転者やACC（アダプティブクルーズコントロール）が必要とする出力が一定の値を超えると、内燃エンジンが始動し、駆動力を引き継ぎます。始動条件は、48ボルトバッテリーのSoCと車両の速度によって決まります。

SoCがターゲットSoCを下回った場合は、内燃エンジンがより早く始動します。これは、電動走行によってエネルギー消費を増やし、SoCをさらに低下することを防ぐためです。また、内燃エンジンはBASとPTGを組み合わせて、必要に応じてSoCを上げる、すなわち、充電することができます。但し、渋滞時の低速走行または駐車の場合など、電動操作の際には該当せず、ターゲットSoCよりはるかに低い状態でも維持されます。

一方、SoCがターゲットSoCを超えている状態では、内燃エンジンは遅れて始動します。より多くの出力が要求されるタイミングで始動し、48ボルトバッテリーがターゲットSoCレベルまで意図的に放電し、エネルギー回収フェーズで十分なエネルギーを吸収できる状態を確保します。また、車両の速度が上がるにつれて、内燃エンジンが出力を要求する条件が早くなります。つまり、速度が上がるほど、内燃エンジンで走行する割合が増えます。