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「老齢マウスを使って加齢にともなう記憶力低下の原因を解明」-メラトニンの脳内代謝産物AMKに記憶力低下の改善薬として期待-

Digital PR Platform / 2024年1月19日 14時5分

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立教大学スポーツウエルネス学部(埼玉県新座市、学部長:沼澤秀雄)の服部淳彦特任教授(東京医科歯科大学名誉教授)は、同学部の丸山雄介助教、加藤晴康教授、公立小松大学の渡辺数基日本学術振興会特別研究員(PD)、平山順教授、関西医科大学の岩下洸助教と共同研究を行い、老齢になると記憶力が低下する原因の一つがメラトニンの脳内代謝産物であり、短期記憶から長期記憶への記憶の固定に関与するAMKという物質の海馬における激減にあることを初めて突きとめました。




本研究はJSPS科研費 JP22K11823の助成を受けたものであり、その研究成果は、生理学分野で世界最高峰の国際科学誌の一つである Journal of Pineal Research に、2024年1月12日(日本時間)にオンライン版で発表されました。


【発表のポイント】
1)老齢になると記憶力が低下するのは、海馬(記憶に重要な脳の部位)におけるN1-acetyl-5-methoxykynuramine(AMK)の低下が原因の一つであることを初めて明らかにしました。

2)AMKを1回投与すると長期記憶(記憶の固定)が誘導され、その時海馬において記憶形成に重要なタンパク質のリン酸化が誘導されることを明らかにしました。

3)老齢マウスと若齢マウスの海馬において発現している遺伝子を網羅的に解析した結果、長期記憶に関連する遺伝子群が老齢では有意に低下していることを明らかにしました。

4)この成果は、AMK が人においても加齢に伴う記憶力低下の原因の一つであり、AMKを基盤とした新薬の開発が、低下する記憶力の改善や認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の改善薬につながる可能性を示すものであります。


【研究の背景】
 加齢に伴う記憶力の低下や認知症の問題は、超高齢社会において解決すべき喫緊の課題であります。松果体から夜間に分泌され人では睡眠との関連が深いメラトニンは、脳内において N1-acetyl-5-methoxykynuramine(AMK)という物質に代謝(変換)されますが、服部らのグループは2021年にこのAMKには、メラトニンよりもはるかに強い長期記憶の誘導効果がある(すなわち短期記憶から長期記憶への固定作用がある)ことを初めて突きとめています(※文献1)。そこで今回研究グループは、老齢になると記憶力が低下するのは海馬(記憶に重要な脳の部位)におけるAMKの低下が原因ではないかと考え、海馬におけるAMK量を測定し、その合成経路の解明と老齢になると長期記憶形成に関与するどの遺伝子群が低下するのかを網羅的に解析しました。

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