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オールCMOSの300 GHz帯フェーズドアレイ送信機を開発 -100 Gbps超のデータ速度を達成、6G無線機の実現へ大きく前進-

Digital PR Platform / 2024年2月17日 10時0分

オールCMOSの300 GHz帯フェーズドアレイ送信機を開発
-100 Gbps超のデータ速度を達成、6G無線機の実現へ大きく前進-

【要点】
○6Gでの実用化が期待される300 GHz帯フェーズドアレイ送信機を安価で量産性に優れたCMOS集積回路により実現
○300 GHz帯増幅器、アンテナおよびビームフォーマをオールCMOSの同一チップ上に集積することに世界で初めて成功
○16×4の2次元フェーズドアレイ送信機を開発、100 Gbps超のデータ速度を達成

【概要】
 東京工業大学 工学院 電気電子系の岡田健一教授らと日本電信電話株式会社の研究グループは、テラヘルツ帯(用語1)で通信が可能なアクティブフェーズドアレイ(用語2)送信機を、アンテナや電力増幅器を含めすべてCMOS集積回路で実現することに世界で初めて成功した。安価で量産が可能なシリコンCMOSプロセスチップによる300 GHz帯の無線機実現が可能となり、100 Gbps超の次世代無線通信システムの実現を大きく進展させることができた。
 今回開発したテラヘルツ送信機は64系統の送信回路を持ち、それらすべてを電気的に制御することにより16×4の2次元フェーズドアレイ動作が可能である。このCMOS送信回路を実際に評価したところ、108 Gbpsの送信レートが実証できた。量産性に優れたCMOS集積回路で300 GHz帯の無線伝送が可能となり、同周波数帯を用いた次世代高速6G(用語3)無線機の実現・普及を大きく加速させることが期待される。
 研究成果は、2月18日~22日に米国サンフランシスコで開催される「ISSCC 2024(国際固体素子回路会議)」で発表される。

●開発の背景
 300 GHz帯は利用可能な広大な周波数帯域が残されていることから、100 Gbps以上の超高速6G無線通信サービスの実用化が期待されている。しかしながらこのような高い周波数では、空間伝搬損失を補うだけの十分高い送信電力を有する送信機の実現が課題となっている。この課題を解決するために、複数のアンテナの出力を合成・制御することでアンテナ利得を高めビームステアリング(用語4)を可能にする、2次元フェーズドアレイ技術の研究が進められてきた。しかし十分な送信電力を確保するためには、それぞれの送信回路の出力電力を確保する必要がある。フェーズドアレイは多くの送信回路を必要とするため、安価で量産性・集積化に優れるシリコンCMOSプロセスの活用が非常に有効であるが、シリコンCMOSプロセスによるトランジスタの動作周波数の制限から、これまでこの周波数帯で高性能の電力増幅器を実現することは一般的には困難であった。
 そこで、CMOS集積回路ではミキサや逓倍器から直接アンテナを駆動する回路方式が検討されてきたが、十分な出力電力が得られないために電力効率が下がり、またチップ面積が大きくなるなど、面積効率・コストの観点からも十分なものではなかった。すなわち、電力増幅器が搭載されていないこれまでの300 GHz帯フェーズドアレイICでは十分な性能が得られていなかった。そのため、300 GHz帯においても電力増幅器でアンテナを駆動するCMOSフェーズドアレイICの実現が大きく期待されていた。

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