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人が食べることを目的としたロボットを開発 ― 世界初。動くロボットを食べた時の知覚、味覚、および食感を調査 ―

Digital PR Platform / 2024年2月19日 20時5分

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電気通信大学大学院情報理工学研究科機械知能システム学専攻の仲田佳弘准教授と、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻の伴碧特任講師(常勤)、山木廉氏(当時博士前期課程学生)、堀部和也特任助教(常勤)、高橋英之招へい准教授、石黒浩教授の研究グループは、咀嚼して食べられる可食素材でできたロボット(可食ロボット(※1))を開発し、動いている状態で食べた際に知覚や食感が変化することを明らかにしました。これまでにも可食素材を用いたロボットの開発は行われていましたが、それを食べた時の心理的な影響については分かっていませんでした。研究グループは、ゼラチンと砂糖を主原料とした、市販のグミ程度の硬さの空気圧駆動の可食ロボットを開発し、実際に食べる実験を行いました。実験では、参加者に対し、二つの異なる条件を体験してもらいました。一つは動いている状態のロボットを食べる条件、もう一つは動いていない状態のロボットを食べる条件です。これらの条件下で、参加者の知覚、味覚、および食感を調査し、比較分析を行いました。この成果は、国際科学誌PLOS ONEに掲載されました。




【ポイント】
*人が食べることを目的としたロボットを開発
*可動部を全て食べられる素材で作ったロボットを食し、知覚、味覚、および食感を調査
*世界で初めて、ロボットが動いているときに食べると、人の知覚と食感に変化が生じることを明らかにした
*新たな食体験の創出や医療応用に繋がると期待

【背 景】
 食文化は、歴史を通じて人の生活や文化と密接に結びついてきました。食事は、単なる栄養摂取の手段を超え、文化的アイデンティティや社会的な結びつきを象徴するものとなっています。日本においては、「踊り食い」という独自の食習慣があり、これは生きた魚介類を食べる文化を指します。このような文化は、食べ物と人との関係を深く掘り下げ、分析する上で重要な視点を提供しています。
 一方で、科学技術の進歩は新たな食の形態を生み出してきました。その一例が、可食素材を用いたロボットの開発です。これまでの研究では、食べ物としてのロボットの物理的な側面や機能性は探究されてきました。しかし、人がこれらのロボットを食べた際の心理的な反応や感覚的な体験については、まだ十分には理解されていませんでした。

【手 法】
 本研究で開発された可食ロボット(図1)は、ゼラチンと砂糖を主原料とし、空気圧で駆動するものです。ロボットの形状は、口に入れやすいスティック状に設計されました。
 実験は2つ行われました。
 第一の実験では、参加者がロボットの見た目からどのような印象を受けるかを調査しました。この実験は、ロボットの基本的な設計と動きに焦点を当て、参加者の感覚的な反応を探りました。
 第二の実験では、参加者が実際にロボットを食べて評価を行いました。動いている状態のロボットを食べる条件と動いていない状態のロボットを食べる条件の2条件が実施され、参加者はロボットを食べた際の印象、味、および食感を評価しました。印象と味はリッカート尺度(※2)により評価し、食感は複数のオノマトペ(※3)選択肢から得られた感覚に近いものを選択することで評価しました。

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