高効率の円偏光発光フィルムを生み出すキラル誘起添加剤を開発 〜発光性ポリマーにわずか3%加えるだけ!--北里大学
Digital PR Platform / 2024年2月22日 14時5分
北里大学理学部の長谷川真士講師、真崎康博教授、茨城大学大学院理工学研究科(理学野)の西川浩之教授、青山学院大学理工学部化学・生命科学科の長谷川美貴教授らの研究グループは、重量比わずか3%添加するだけで、有機ELデバイス等に用いられる汎用発光性ポリマー(F8BT【注1】)を円偏光発光性の色素材料に変える、キラル誘起添加剤を開発しました。新しく開発した添加剤は[2.2]パラシクロファン【注2】とカルバゾール【注3】からなるキラル分子で、新規合成法を適用することで開発に成功しました。
円偏光は、がん細胞の可視化や最新鋭のセキュリティー認証テクノロジーへの応用、立体視可能な手術用の三次元表示用有機ELディスプレイなどへの応用が期待され、活発な開発研究が行われています。従来の円偏光発光材料はキラル発光色素を発光体として利用していましたが、本研究で開発したキラル誘起添加剤(キラルシクロファン)を利用することで、有機デバイスに汎用的に利用される、キラリティーを持たないポリマーを、円偏光発光材料として利用することができます。これにより、円偏光発光材料の製造コストを抑えることができ、発光デバイス等への応用につながります。
この研究成果は、2024年2月16日付で、Wiley社が発行するドイツ科学雑誌 "Advanced Functional Materials" (インパクトファクター19.9)のオンライン速報版に掲載されました。
■研究成果のポイント
・[2.2]パラシクロファンを用いた材料の新しい合成方法の開発に成功。
・その合成法を応用し、デバイス等で汎用的に使用されているキラルではない発光性ポリマーを円偏光発光材料に変える新しい添加剤を開発。
・本成果により、円偏光発光材料の製造コストを抑えることができ、円偏光発光デバイスの開発が加速される。
■研究の背景
光は電磁波の一種であり、電場と磁場が空間を振動しながら伝播する波動です。特定の方向に振動が制限される光を「偏光」といいますが、それと同時に振動面が光の進行方向に沿って一定の速度で回転し、らせんを描くように進む偏光を「円偏光」といいます。円偏光は分子の構造や物質の性質を調べる際に重要で、近年、円偏光を用いてがん細胞などを調べる研究が進められています。また、光通信や医療機器などの応用分野でも利用されています。最近では、内視鏡、ロボット支援手術、危険が伴う作業場で使用するロボット等の操作に応用可能な三次元表示用有機EL等に向けた新技術として注目されています。
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