代謝における細胞分化の役割に迫る
Digital PR Platform / 2024年3月22日 9時0分
研究手法と成果
国際共同研究グループは、受粉後の成熟過程にある種子、完熟後に吸水させた種子、そして発芽過程の種子から胚を取り出して光学顕微鏡および蛍光顕微鏡で観察し、乳管細胞が成熟途上の種子の胚においてすでに形態的に分化していることを発見しました。発芽過程の胚の細胞を電子顕微鏡で詳細に観察したところ、乳管細胞周辺の細胞では、一般的に発芽前・直後の胚で観察される構造が見られた一方で、乳管細胞では分解型液胞と呼ばれる細胞小器官が発達しているなど、細胞内構造が周囲の細胞とは大きく異なっていました。(図1)。
[画像2]https://digitalpr.jp/simg/1706/85178/600_321_2024031917312265f94d5a6aa9a.jpg
図1 種子胚切片の顕微鏡写真
上:成熟前の種子から取り出した胚の切片の光学顕微鏡写真。この時期にすでに細長い乳管細胞(赤破線で囲
んだ部分)が形態的に分化していた。
下:発芽24時間後の種子から取り出した胚の切片の光学顕微鏡写真および電子顕微鏡写真。乳管細胞と周囲の
皮層細胞では細胞内構造が異なっている。スケールバーは0.5mmを表す。
そこで、次に完熟後の種子に着目し、吸水前、吸水後発芽前、発芽後の胚を取り出してアルカロイド蓄積量と遺伝子発現量の変化を調べた結果、アルカロイド生合成は発芽後12時間目以降に活発になることが分かりました。アルカロイド生合成酵素遺伝子の発現パターンを見ると、発芽後12~24時間目から発現量が大きく増加する遺伝子と、発芽後36時間目から発現量が増加する遺伝子とに分かれました。葉においては、生合成酵素遺伝子がどの細胞で発現するのかが明らかになっています。種子胚において発芽後12~24時間目、および36時間目に発現量が増大する遺伝子は、葉において、前者は表皮細胞、後者は異形細胞、乳管細胞およびIPAP細胞で発現していました(図2)。
[画像3]https://digitalpr.jp/simg/1706/85178/600_453_2024031917312565f94d5ddd112.jpg
図2 アルカロイド生合成酵素遺伝子の種子吸水・発芽に伴う発現変動
種子吸水開始から0~32時間後(HAI)および発芽0~60時間後(HAG)のアルカロイド生合成酵素遺伝子の発現
変動を表すヒートマップ。色はデータを標準化(各データ値から平均値を引いた値を標準偏差で割ること)した各
遺伝子の各時点での発現量を表している。葉において、表皮細胞で発現することが知られている遺伝子は黄色、異
形細胞・乳管細胞で発現することが知られている遺伝子は赤色、IPAP細胞で発現することが知られている遺伝子は
青色の背景で示した。
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