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難治性の末梢動脈疾患の症候がLDLアフェレシス後に改善

Digital PR Platform / 2024年4月3日 14時0分

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―先進医療Bの症例を調査し、作用機序の解明への一歩へ―


 横浜市立大学 医学部循環器・腎臓・高血圧内科学教室の植田瑛子医師、石賀浩平医師、小豆島健護助教、涌井広道准教授、戸谷義幸准教授、田村功一教授らの研究グループは、同学初の先進医療B*1として承認された、高コレステロール血症を合併しない難治性の末梢動脈疾患患者30名にLDLアフェレシス*2を行う臨床研究を実施し、足の血流を示す足関節上腕血圧比やQOL(quality of life、生活の質)指標の改善が観察されました(図1)。
 本研究成果は、Journal of Atherosclerosis and Thrombosis誌に掲載されました。(2024年4月3日)




研究成果のポイント
・正コレステロール血症*3の難治性の末梢動脈疾患患者に対するLDLアフェレシスの有効性・安全性を調
 べたところ、足関節上腕血圧比とQOL指標が有意に改善した。
・治療後に血管内皮機能と酸化ストレスの改善が観察された。



[画像1]https://digitalpr.jp/simg/1706/86063/500_417_20240402163303660bb4af3a0c4.jpg
図1 研究の概要






研究背景
 末梢動脈疾患は動脈硬化により下肢の血流が低下することで疼痛や潰瘍を来たす疾患で、下肢の切断が必要となる等、患者のQOLを著しく損ねる予後不良の疾患です。カテーテル治療や血管外科手術などの標準治療で改善しない重症患者に対し、経験的にLDLアフェレシスが有効な場合があることが知られていましたが、その保険適応は長らく難治性の高コレステロール血症患者に限定されていました。一方、LDLアフェレシスには血液中のコレステロールの除去によらない抗動脈硬化効果があることが、これまでの先行研究等で示唆されていました。そこで本研究グループでは、高コレステロール血症を合併しない難治性末梢動脈疾患に対してLDLアフェレシスが有効であるとの仮説を立て、その有効性・安全性を調べる臨床研究を行いました。この臨床研究は横浜市立大学循環器・腎臓・高血圧内科学教室と同次世代臨床研究センター(Y-NEXT)の共同研究として計画され、同学初の厚生労働省先進医療Bとして承認を受けて実施されました。


研究内容
 30人の正コレステロール血症の難治性末梢動脈疾患患者に対し、デキストラン硫酸カラムを用いたLDLアフェレシスを10回行い、一連の治療の前後で足関節上腕血圧比(足関節レベルの血流を反映する数値)やQOL指標の変化を調べました。LDLアフェレシス治療前と比較して、治療後には足関節上腕血圧比やQOL指標が有意に改善し、その改善は治療終了3か月後の時点でも維持されていました。QOL指標の分析では、身体的な側面(痛み)におけるQOLの改善に加え、感情的な側面や社会的な側面における改善が観察されました。また、血管内皮機能や酸化ストレス(血液中の抗酸化力を示す数値)の改善も観察されました。

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