病原体やがんに対する免疫に関わる転写因子IRF8の複数のエンハンサー間の相互作用を解析
Digital PR Platform / 2024年4月24日 10時0分
―細胞分化の精密なメカニズムの解明へ―
横浜市立大学大学院医学研究科免疫学 山﨑貴弥さん(博士課程4年)、西山晃准教授、田村智彦教授らの研究グループは、熊本大学、国立遺伝学研究所、米国国立衛生研究所と共同で、病原体やがんに対する免疫に関わる樹状細胞*1の分化に必要な転写因子*2 IRF8の発現を制御するエンハンサー*3群の相互作用メカニズムを明らかにしました。
本研究成果は、米国科学雑誌「Cell Reports」に掲載されました。(2024年4月12日オンライン先行公開)
研究成果のポイント
・病原体やがんに対する免疫に関わる転写因子IRF8をコードする遺伝子の発現を制御する複数のIrf8エン
ハンサー間の相互作用を解析した。
・各エンハンサーが、分化段階によって異なるメカニズムで他のエンハンサーを活性化していることが分
かった(図1)。
・この発見は細胞分化*4における普遍的な原理に関わっている可能性がある。
[画像1]https://digitalpr.jp/simg/1706/87204/500_438_2024042315501866275a2a33914.jpg
図1 樹状細胞分化におけるIrf8エンハンサー相互作用の概念図
研究背景
ウイルスや細菌などの病原菌から身体を守る免疫細胞である白血球は、造血幹細胞*5から多能性造血前駆細胞*6などの前駆細胞段階を経て、特定の成熟細胞へと分化します。樹状細胞や単球を含む単核貪食細胞*7の分化では転写因子IRF8が重要な役割を果たします。本研究グループでは前駆細胞で転写因子IRF8が高発現すると樹状細胞、低発現では単球、発現しないと好中球へと分化することを報告してきました。樹状細胞への分化におけるIrf8発現量は3つのエンハンサー(+56 kb、+41 kbおよび+32 kbエンハンサー)が順番に機能することよって制御されていることも見出しています(Murakami et al, Nat Immunol, 2021など)。しかし、これらIrf8遺伝子のエンハンサー群の物理的・機能的な相互作用は不明でした。一般に遺伝子は複数のエンハンサーによってその発現が制御されることが多いのですが、エンハンサー間の相互作用には不明な点が多く、細胞分化のメカニズムにおいても根元的な問いの一つとなっています。
研究内容
まず初めに、樹状細胞分化でのクロマチン高次構造*8の変化を解析しました。Irf8遺伝子を含む大きなクロマチンドメイン*9が多能性造血前駆細胞から形成され、樹状細胞の分化に伴い、Irf8エンハンサー同士やIrf8遺伝子領域との結合が増強することがわかりました(図2)。
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