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病原体やがんに対する免疫に関わる転写因子IRF8の複数のエンハンサー間の相互作用を解析

Digital PR Platform / 2024年4月24日 10時0分



今後の展開
 本研究では、Irf8遺伝子の発現制御を誘導する複数のエンハンサー間の相互活性化が、分化段階によって異なるメカニズムで生じていることが分かりました(図1)。これにはどのような意味があるのでしょうか。直接的なシス効果は物理的に結合すれば確実に生じるのに対し、間接的なトランス効果は複数の転写因子のネットワークによって生じるためより柔軟に調節される余地があります。早期の多能性前駆細胞段階から機能する+56 kbエンハンサーがもし直接的なシス効果で下流の+41 kbや+32 kbのエンハンサーを自動的に活性化してしまうと、前駆細胞は全てIRF8を高発現して樹状細胞に分化してしまい、IRF8の発現が低いあるいは無い時に産生される単球や好中球には分化できなくなってしまうでしょう。すなわち、複数の細胞種への分化能を持つ前駆細胞と、運命がすでに決定された細胞とでは、エンハンサー相互作用の様式が異なることはとても合目的と考えられます。このような調節は他の細胞種への分化においても用いられている普遍的な仕組みであると予想され、更なる研究でそれが明らかになることが期待されます。

研究費
 本研究は、文部科学省、日本学術振興会、日本血液学会による研究助成と、本学先端医科学研究センターにおける文部科学省特色ある共同利用・共同研究拠点「マルチオミックスによる遺伝子発現制御の先端的医学共同研究拠点」ならびに文部科学省先進ゲノム支援(PAGS)の支援を受けて実施されました。

論文情報
タイトル: Physical and functional interaction among Irf8 enhancers during dendritic cell differentiation
著者: Takaya Yamasaki*, Akira Nishiyama*, Nagomi Kurogi, Koutarou Nishimura, Shion Nishida, Daisuke Kurotaki, Tatsuma Ban, Jordan A. Ramilowski, Keiko Ozato, Atsushi Toyoda, Tomohiko Tamura (*Co-1st authors)
掲載雑誌: Cell Reports
DOI: https://doi.org/10.1016/j.celrep.2024.114107

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