センサーとスマホだけの超ミニマルな構成で牛の発情を精度良く検知できる画期的システムを開発--北里大学獣医学部/ライブストックジャパン株式会社 鍋西久
Digital PR Platform / 2024年4月24日 14時5分
北里大学獣医学部 動物飼育管理学研究室(青森県十和田市)と同大学発ベンチャーのライブストックジャパン株式会社(同市)が、センサーとスマートフォンだけの超ミニマルな構成で繁殖雌牛の発情を精度良く検知できる画期的なシステムを開発しました。イニシャルコストとランニングコストを大幅に抑えられるこのシステムの活用により、牛舎や放牧地における繁殖雌牛の発情発見効率と受胎率の向上が図られるとともに、発情観察にかかる労働負担の軽減も期待できます。
雌牛の繁殖成績の指標である分娩間隔が延長していることは、長年、重要な課題として認識されているにもかかわらず、目標である"1年1産"(365日)には程遠い状況です。これまでの研究成果から、発情発見効率を高める(発情見逃しを防ぐ)ことで分娩間隔を短縮できることが示されています。
発情発見効率を高めるための取組みとしては、加速度センサーによる行動量の増加から発情を検知するシステムの普及が進んでいます。しかしながら、システムとして設備が大掛かりで導入費用や運用費が高額なこと、何より、行動量の増加が必ずしも発情とは限らないため、誤報が多くなることが課題です。
牛の発情兆候には様々な行動があり、「落ち着きなく動き回る(行動量の増加)」はスコア5であるのに対し、「スタンディング」はスコア100とされています。スタンディングとは、雌牛が他の牛からの乗駕を静かに許容する状態のことであり、真の発情行動と言えます。スタンディングを検知することこそが、発情発見効率の向上と受胎率向上のために重要です。
そこで、真の発情行動であるスタンディングを遠隔でモニタリングできるシステムを開発しました。雌牛の腰部に装着したセンサー端末上のスイッチが乗駕によって押下されたことを検知するものです。センサー端末のみでデータをクラウド上に展開できるLPWA通信規格を用いることにより、どこからでもスタインディングを検知することができます。さらに、スマートフォン用アプリである"LINE"ですべての運用を完結できるようにしました。
このシステムは、畜産ICT機器でありながら消耗品価格での導入が可能となります。さらに、広大な放牧地で発情を検知できるはじめての畜産ICTシステムです。これまでの実証研究において、人里離れた山奥の放牧地におけるスタンディングをどこからでも把握可能なこのシステムの有効性が確認されています。
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