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京産大、水陸両生植物が陸上と水中で葉の形を変える仕組みの一端を解明

マイナビニュース / 2024年4月23日 6時15分

画像提供:マイナビニュース

京都産業大学(京産大)は4月18日、アブラナ科植物の一種である水陸両生植物「Rorippa aquatica(ロリッパ・アクアティカ)」(R. aquatica)のゲノム解読に成功し、遺伝子発現解析の結果から、水没という環境変化が植物ホルモンの「エチレン」を介して機敏に感知され、葉の形成に関わる遺伝子の発現が抑制されることで葉の形が変わる、という「異形葉性のメカニズム」を突き止めたと発表した。

同成果は、京産大 植物科学研究センターの坂本智昭博士研究員、同・木村成介教授(同・大学 生命科学部産業生命科学科兼任)らの研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」系の生物学を扱う学術誌「Communications Biology」に掲載された。

約4億5000万年前に、水中藻類から分岐したものが陸上へと進出し、現在の陸上植物の起源となった。やがて、陸上植物は再び水中環境に進出し(一般に水草と呼ばれる)、さらに中には、水没すると水草のように、また干上がると再び陸上植物のようになって生き延びることのできる、環境適応能力のとても高い水陸両生植物のグループも登場した。

R. aquaticaは北米大陸原産の水陸両生植物で、「異形葉性」を特徴とする。同植物は、陸上では幅広の葉を発生するが、水没すると葉身が針のような、水中生活により適した形の葉を茂らせる。異形葉性は水陸両生植物でよく観察されるが、どのように水没を感知して葉の形を変化させているのかという仕組みについては、これまでわかっていなかったという。これまで、水陸両生植物でゲノムが解読された種がなかったことから、研究チームは今回、R. aquaticaでそれを実現することにしたとする。

まず、染色体を塗り分けて可視化する「染色体ペインティング法」を用いて、R. aquaticaの染色体構造の解析が行われた。その結果、同植物の染色体は倍化しており、また一部の染色体が融合していることが判明した。

次に、Hi-C法を用いてR. aquaticaのゲノム配列が解析された。その結果、染色体15本、ゲノムサイズ約440Mbpのゲノム配列を解読することに成功したという。また、近縁の植物とゲノム配列や染色体構造が比較され、同植物は、進化の過程において起源となる2種類のRorippa属植物が交雑することで成立した異質4倍体植物であることが解明された。

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