東大など、養液栽培で培養液を3℃加温すると植物の生育に効果があると発表
マイナビニュース / 2024年4月18日 6時35分
東京大学(東大)、理化学研究所(理研)、筑波大学、木更津工業高等専門学校(木更津高専)、プランツラボラトリーの5者は4月16日、人工光型植物工場の養液栽培(土を使わずに肥料を水に溶かした養液で作物を栽培する方法)における、培養液の温度(根圏温度)が植物の代謝や生育に与える影響を調査した結果、タンクの培養液を室温に対して3℃加温することによって、植物の生育促進のみならず、カロテノイドやビタミンCなどの機能性成分が向上することを明らかにしたと共同で発表した。
同成果は、東大大学院 農学生命科学研究科の林蒼太大学院生、同・Christopher P. Levine Tominaga大学院生、同・若林侑助教、同・河鰭実之教授、同・大森良弘准教授、同・矢守航准教授、理研 環境資源科学研究センターの草野都客員主管研究員(筑波大 生命環境系 教授兼任)、同・小林誠テクニカルスタッフI、同・西澤具子テクニカルスタッフI、木更津高専の栗本育三郎教授(研究当時)、プランツラボラトリーの臼井真由美主任(研究当時)、同・湯川敦之代表取締役らの共同研究チームによるもの。詳細は、植物生物学の基礎に関する全般を扱う学術誌「Frontiers in Plant Science」に掲載された。
近年、世界的な人口増加や気候変動に伴う食料不足・水資源枯渇・耕作地不足の深刻化、また、農業の担い手不足・食の安心安全性や機能性への関心増大を受け、都市型農業への期待が高まっている。それを実現できるのが、太陽光を使わずに農作物の生育に必要な環境を人工的に制御し、病害虫から隔離した環境で無農薬栽培を可能にする人工光型植物工場。
植物工場では、栽培棚を複数積む多段式栽培による空間効率の向上により、単位面積当たりの収量を露地栽培よりも高くできるほか、天候に左右されず農作物を安定的に周年・計画生産でき、さらに環境の高度な制御によって高付加価値をつけた作物栽培が可能だ。
しかし植物工場であっても、作物の生産性を高めるためには、植物の環境応答の仕組みを解明し、それを有効活用する技術を開発する必要がある。たとえば、室温が適温の範囲内よりも低かったり高かったりする場合、一般的には光合成などの代謝反応に悪影響を及ぼすため、作物の生産性が低下することがわかっている。しかし、培養液温度(根域温度)に対する植物応答を解析した研究例は極めて少なく、不明瞭な点も多いという。
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