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メガリンの立体構造とリガンド結合様式を解明

Digital PR Platform / 2024年5月24日 11時0分

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- 腎臓病の新たな創薬に向けて -



 新潟大学大学院医歯学総合研究科の斎藤亮彦特任教授、横浜市立大学大学院生命医科学研究科の西澤知宏教授、東京大学大学院医学系研究科の吉川雅英教授、東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻の津本浩平教授、東京大学大学院工学系研究科附属医療福祉工学開発評価研究センターの長門石曉准教授らの研究グループは、クライオ電子顕微鏡法(注1)や分子間相互作用解析法などを用いて、腎近位尿細管細胞に発現するタンパク質、メガリンの立体構造と多様なリガンド(注2)結合様式を解明しました。メガリンは、近位尿細管細胞が様々な物質を取り込み、代謝する機能において中心的な役割を担う分子であり、腎臓病を引き起こす腎毒性物質の「入り口」にもなっています。本研究は、腎臓の生理的な代謝メカニズムの解明とともに、メガリンを介して腎毒性物質が腎臓に取り込まれることを阻害する薬剤の開発に役立つことが期待されます。




【本研究成果のポイント】 


クライオ電子顕微鏡法や分子間相互作用解析法などを用いて、腎近位尿細管細胞に発現する受容体タンパク質メガリンの立体構造と多様なリガンド結合様式を解明しました。
メガリンが関わる腎臓の物質代謝機能のさらなる研究に寄与することが期待されます。
メガリンを介して腎臓に取り込まれ、腎臓病を引き起こす腎毒性物質のメガリン結合を阻害し、腎臓病の発症を防ぐ薬剤(メガリン阻害剤)の開発に役立ちます。










Ⅰ. 研究の背景

 腎近位尿細管細胞の管腔側膜に高発現するメガリンは、糸球体を濾過する様々なリガンド(タンパク質・ペプチド・薬剤など)の取り込み・代謝に関わるエンドサイトーシス受容体(図1)です。メガリンはlow-density lipoprotein(LDL)受容体ファミリー(注3)に属し、LDL receptor-related protein 2(LRP2)とも呼ばれています。生理的なリガンドの他に、メガリンを介して様々な腎毒性物質が腎臓に取り込まれることにより、腎臓病が発症します。すなわちメガリンは多彩な腎毒性物質の「入り口」分子といえます。本研究グループは、世界で初めてメガリン全長遺伝子(cDNA)クローニングに成功して以来(Saito A, et al.: Complete cloning and sequencing of rat gp330/"megalin," a distinctive member of the low density lipoprotein receptor gene family. Proc Natl Acad Sci USA, 91: 9725–9729, 1994)、メガリンに関するトランスレーショナルリサーチ(注4)に取り組んできました。その一環として、メガリンを介する腎毒性物質の取り込み機序を阻害する薬剤(メガリン阻害剤)の開発を目指してきました。そのためには、メガリン自体の立体構造を解析し、メガリンが腎毒性物質などとどのように結合するのかを明らかにする必要がありました。

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