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【中部大学】プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)が同時に伝導する新しい安定物質を発見--高効率燃料電池や水と二酸化炭素から燃料を合成できる技術の実現に期待--

Digital PR Platform / 2024年6月13日 20時5分

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このたび、中部大学(愛知県春日井市)理工学部 数理・物理サイエンス学科の橋本真一教授と同大工学部機械工学科 波岡知昭教授、同大大学院工学研究科の加藤浩晃大学院生(研究当時)、中根萌衣大学院生(研究当時)は、国立研究開発法人産業技術総合研究所の協力を受け、安価なチタン酸カルシウムを母相としたカルシウム・チタン・スカンジウム複合酸化物が、プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)が同時に伝導する安定な混合イオン導電体であることを発見しました。産総研 材料・化学領域 極限機能材料研究部門の野村勝裕主任研究員は、この物質の高温X線回折測定を行い、結晶構造、CO2耐性、及び化学膨張の評価を実施しました。




研究成果のポイント
・プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)が同時に伝導する混合イオン導電体を発見。
・安価なチタン酸カルシウム(注1)を使用し、組成制御により、導電イオン種の割合が変化。
・プロトン導電体の課題だった低い二酸化炭素(CO2)耐性と水和膨張(注2)を抑制。
・燃料電池(注3)、CO2を原料とした燃料合成など高温電気化学デバイス(注4)に応用が可能。

発表内容
■概要■
近年、CO2削減をはじめ、環境・エネルギー問題に対する解決策のために、バッテリーや燃料電池など、様々な機能を持った電気化学デバイスの応用が求められており、中でも電解質による腐食や飛散のない固体イオン導電体が注目されています。

中部大学理工学部 数理・物理サイエンス学科の橋本真一教授と同大工学部 機械工学科 波岡知昭教授、同大大学院 工学研究科の加藤浩晃大学院生(研究当時)、中根萌衣大学院生(研究当時)は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」)の協力を受け、安価なチタン酸カルシウムを母相としたカルシウム・チタン・スカンジウム複合酸化物(Ca0.985Ti0.93Sc0.07O3-α)が、プロトン(H+)と酸化物イオン(O2-)が同時に伝導する安定な混合イオン導電体であることを発見しました(図1)。産総研 材料・化学領域 極限機能材料研究部門の野村勝裕主任研究員は、この物質の高温X線回折測定を行い、結晶構造、CO2耐性、及び化学膨張の評価を実施しました。

Ca0.985Ti0.93Sc0.07O3-αは、燃料電池やセンサーに幅広く使われている8%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)よりも高いイオン導電率を示すとともに、これまで混合イオン導電体の課題とされていた低いCO2耐性の向上や、プロトン導電性発現のための水和に伴う化学膨張の抑制も実現しています。
また、O2-も導電するため、水素を燃料とした燃料電池に応用した場合、自己加湿機能を付加することで、システムの簡素化に貢献します。さらに、再生利用可能エネルギー由来の電力を使用し、H2OとCO2を原料とした直接的な燃料合成などへの応用も可能です。

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