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油脂を使ったレディトゥイート (fatty-RTE) 食品の多用が健康リスクを高めることを日本で初めて明らかに--家庭外で作られた食品や料理はその質と不足栄養素の補完が鍵となる

Digital PR Platform / 2024年6月20日 14時5分

 本研究成果は、Nutrients誌(論文名:A Cross-Sectional Pilot Study on Association of Ready-to-Eat and Processed Food Intakes with Metabolic Factors, Serum Trans Fat and Phospholipid Fatty Acid Compositions in Healthy Japanese Adults)にて、2024年4月2日にオンライン掲載されました。


(1)これまでの研究で分かっていたこと
 食生活が多様化した今日、外食や中食・加工食品の利用が高まっています。家庭の外で作られた食べるときに手を加えることなくそのまま食べられるレディトゥイート食品ready-to-eat (RTE) food*5や超加工食品(ultra-processed food)*6を多く食べている人は、飽和脂肪酸*7やトランス脂肪酸の摂取が多い反面、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどは摂取不足になるなど栄養素摂取バランスが悪く、生活習慣病(肥満、2型糖尿病、心血管疾患、がん、炎症性腸疾患、うつ、フレイルなど)のリスクと心血管疾患や総死亡率が高いことが世界中で報告され、これらの利用に警鐘が鳴らされていました。
 日本でも特に若い世代でRTE食品や超加工食品の摂取が多いとされていますが、実態を調べた研究は極めて少なく、健康状態との関連についても僅かに体格との関連しか検討されていませんでした。
 また、これまでの研究は加工食品や市販食品の工業的加工度に注目したものでしたが、日本では洋食、中華、エスニック、B級グルメや伝統的な和食など実に多様な食品や料理が売られています。和食の中にはほとんど油脂を使わない料理も多いので、日本人の場合は市販食品や外食料理を加工度でひとくくりにしてしまうと健康との関連が分かりにくいのではないかと疑問を持ちました。
 さらに、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の過剰摂取は動脈硬化性疾患のリスクであることが知られており血中脂肪酸組成に反映されると推測されますが、これまでに市販食品や外食との関連を調べた研究はなく、特にトランス脂肪酸は測定が難しいために日本のデータがありませんでした。

(2)今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと
 我々は2016~2018年に首都圏在住20~50歳の213人(男性109人、女性104人)に研究参加を依頼し、食事調査と身体計測、血圧測定、空腹時採血を行い、洋食パターンの食事を食べている人で脂肪肝指標が高いことを明らかにしていました。本研究では、食事調査の結果を再解析して、加工食品のうち、RTE食品を油脂の使用の有無で分け、fatty-RTE食品(図1)由来エネルギー摂取量の総エネルギー摂取量に占める割合を算出しました。参加者全体の中央値で、総エネルギーの63%を加工食品から、36%をfatty-RTE食品から摂取しており、加工食品に依存した食生活であることが明らかとなりました。
 さらに、参加者をfatty-RTE食品の摂取が少ないT1群、中間のT2群、多いT3群に三分割するとT3群は男性、若年者が多く、総エネルギーの55%もfatty-RTE食品から摂取していました。fatty-RTE食品の摂取が多いと、動脈硬化予防に有用なThe Japan Diet (図2)で摂取が推奨される魚、大豆、緑黄色野菜、その他の野菜、海藻・きのこ・こんにゃく、果物、乳や、卵、油脂を使わない調味料の摂取が少ない一方で、油脂、菓子類、甘い飲料を多く食べていました。その結果、たんぱく質、食物繊維、ほぼすべてのミネラルとビタミン、EPA・DHAの摂取が少ないという、隠れ栄養不足状態になっていました。

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