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油脂を使ったレディトゥイート (fatty-RTE) 食品の多用が健康リスクを高めることを日本で初めて明らかに--家庭外で作られた食品や料理はその質と不足栄養素の補完が鍵となる

Digital PR Platform / 2024年6月20日 14時5分


(3)新しく測定した血中成分
 血液生化学検査では、fatty-RTE食品の摂取が多いと善玉のHDL-コレステロール濃度が低く、肝機能指標のアルカリフォスファターゼとロイシンアミノペプチダーゼ濃度が高かったことから、肝臓に脂質が蓄積し始めている状態であることが推察されました。
 血中の主なトランス脂肪酸であるエライジン酸(工業由来)とバクセン酸(天然由来)濃度を共同研究者の篠原正和教授(神戸大学)が測定し、予想通りfatty-RTE食品の摂取が多いと、がんや動脈硬化のリスクを高めると言われているエライジン酸濃度が高い(図3)ことが分かりました。
 本学で血清からリン脂質を抽出してガスクロマトグラフィーで脂肪酸濃度を測定すると、fatty-RTE食品の摂取が多いとEPA・DHAが少なく、動脈硬化の予測指標と言われているEPA/AA比*8が低い結果が得られました。最近、食物繊維は腸内細菌でプロピオン酸の産生を高め、肝臓で奇数酸のC15:0とC17:0を増やすことで脂肪酸合成を調整することが明らかにされています。我々はメタボリックシンドローム患者や脂質異常症患者で血中C15:0とC17:0の濃度が低いことを明らかにしていました。今回の研究でfatty-RTE食品の摂取が多いと血中C15:0とC17:0の濃度が低かったことから(図4)、食物繊維摂取不足の影響が確認できました。

(4)研究の波及効果や社会的影響
 日本では1960年代の高度成長期から食の欧米化と外部化が進み、1990年には日本型食生活が崩壊し始めて多様になりました。加工食品やRTE食品の利用はさらに加速することが予測されます。本研究の結果から、食品業界や飲食店には安全な食品の製造や料理の提供が強く求められます。また、かつては女性が食生活を支えていましたが、今日ではすべての国民が自立して健康的な食事ができる力が求められています。加工食品に依存すると不足しがちな食品を補う食事を自分で作ることができるように、実践的な教育を早急に実施する必要があります。

(5)今後の課題
 今回の調査は首都圏在住の20~50歳の実態を明らかにしたものです。加工食品の利用は年代を問わず増加することが予測され、成長期の子ども、高齢者、妊産婦やさまざまな疾患をもつ人などに対する影響を明らかにしなければなりません。

(6)研究者のコメント
 これまで、生活習慣病の患者さんに栄養指導をする際、自分で料理が作れない方には止むを得ずコンビニやスーパーの商品をお勧めしてきました。今回の研究結果から、fatty-RTE食品を多食すると病態が悪化する恐れもあることが分かりました。推奨可能な市販食品情報を示すとともに、誰にでも簡単に美味しく作れるThe Japan Diet の料理の普及を通して、世界の人々の健康維持に貢献していきます。

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