発生・発がんを制御するHedgehogシグナルの新たな活性化機構と責任分子(リン酸化酵素:DYRK2)を同定
Digital PR Platform / 2024年7月9日 10時26分
〜希少がんを対象に含む次世代抗がん剤創薬への新たな道を開く〜
東京慈恵会医科大学 生化学講座の吉田彩舟講師(現 東邦大学 理学部)と吉田清嗣教授らの研究グループは、京都大学ならびに東邦大学と共同で、発生や発がんを制御するHedgehogシグナルの新たな活性化機構とその責任分子(リン酸化酵素:DYRK2)を同定しました。
Hedgehogシグナルの異常活性化は、奇形疾患の発症だけでなく、基底細胞がんや髄芽腫をはじめとする腫瘍形成を促進します。現在、2種類のHedgehog阻害薬が、アメリカ食品医薬品局(FDA)に承認され、抗がん剤として使用されています。しかし、これら現行薬は、標的とするSmoothened (SMO)(注2)遺伝子に対し、投与患者の約20%で、薬剤耐性、かつ、がんを促進する遺伝子変異を誘導します。したがって、これら変異を獲得した患者では、現行薬が不応となることが問題となっていました。
また、SMOよりも下流の制御機序の解明が、新たな創薬ターゲットの創出につながると考えられますが、その内部のメカニズムは明らかにされていませんでした。
本研究成果の概要
本研究では、複数のオミックス解析(注3)を駆使し、ブラックボックスであったSMO下流のHedgehogシグナル活性化機構とその責任分子(リン酸化酵素:DYRK2)の解明に成功しました。発生や奇形疾患に関わるHedgehogシグナルの基礎的理解のみならず、現行薬不応な変異を有するがん患者にも有効な「次世代Hedgehog阻害薬(抗がん剤)」の開発へ応用が期待されます。
本研究から得られた主な成果は以下のものです。
・ 一次繊毛(注4)に局在するリン酸化酵素DYRK2が、Hedgehogシグナルの活性化に強く寄与することを見出しました。
・ Hedgehogリガンド刺激によるSMOの活性化に依存して、DYRK2はHedgehogシグナル制御の中核を担う転写因子GLI2/GLI3をリン酸化することを見出しました。
・ DYRK2によるリン酸化は、GLI2/GLI3を活性型への変換と核移行を促進し、Hedgehogシグナルを活性化することを明らかにしました。
・ 細胞増殖の低下に起因した奇形を示すDyrk2ノックアウトマウスの初代培養細胞に対し、DYRK2によるリン酸化をミミックしたGLI2遺伝を導入することで、Hedgehogシグナルと細胞増殖の回復を誘導することに成功しました。
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