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ずっと効く免疫抑制化合物の発見

Digital PR Platform / 2024年7月19日 18時0分


[画像3]https://digitalpr.jp/simg/1706/91833/600_600_2024071813293166989a2bebf37.jpg


図2 KSI-6666がS1PR1から解離するシミュレーションと検証実験
分子動力学シミュレーションにより、KSI-6666と対照薬のスフィンゴシン1-リン酸レセプター1(S1PR1)からの解離動態を予想した(上)。おのおのの化合物を緑色の棒で示した。対照薬は円滑に解離するが、KSI-6666はS1PR1のメチオニン(球状の構造で示した)と相互作用することで解離しにくい。シミュレーションで予想した解離動態の違いを、培養細胞を用いた実験で確認した(下)。受容体からの調節薬の解離の程度は、受容体の活性を指標に測定した。t1/2は解離半減期。

 次に、KSI-6666がS1PR1からの解離が遅い原因を調べるために、計算された解離のシミュレーション過程を観察し、KSI-6666はS1PR1の特定部位のメチオニン[11]と相互作用することで解離しにくいと予想しました。シミュレーションから予想された特定部位のメチオニンとKSI-6666の相互作用の重要性を検討するため、メチオニンを別のアミノ酸であるバリン[12]に換えたS1PR1を培養細胞に発現させ、KSI-6666の解離を検討しました。その結果、予想通り、KSI-6666はメチオニンをバリンに換えたS1PR1から早く解離することが確認できました。
 さらに、KSI-6666が持つ薬効の持続性とS1PR1からの解離しにくさとの関連性を調べるためにシミュレーション過程を観察し、KSI-6666の分子構造に含まれる二つのベンゼン環(図3左)のうち末端側のベンゼン環とメチオニンが相互作用していると予想しました。そこで、KSI-6666のベンゼン環の置換基を取り除いた化合物(類似化合物)について、S1PR1からの解離を調べたところ、解離半減期が0.98時間であり、KSI-6666(9.41時間)と比べて早く解離することが明らかになりました。この化合物の薬効を調べたところ、薬効の最大活性はほぼ変わらないものの、48時間以上持続するKSI-6666に比べて、血中濃度がほぼ同じにもかかわらず持続性が低い(24時間)ことが判明しました(図3下)。
 以上の結果から、KSI-6666は末端側のベンゼン環で、S1PR1のメチオニンと相互作用することで解離が遅くなり、その結果として薬効が持続すると結論付けました。

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