光ファイバ伝送路の状態を測定器なしでエンドツーエンドに可視化できる技術を開発し、世界初、世界最高精度でのフィールド実証に成功 ~光ネットワークのデジタルツインの実現へ前進、迅速な光接続/保守が可能に~
Digital PR Platform / 2024年8月20日 15時8分
[画像1]https://digitalpr.jp/simg/2341/93527/600_326_2024082013193466c4195687573.png
2. 研究の成果
本研究における主な成果は、以下3点です。
① 光ネットワークの端点に設置されている光トランシーバに到達する光信号のみから、光ファイバ伝送路のエンドツーエンドの光信号パワーを、専用測定器を用いずにわずか数分で可視化するDigital Longitudinal Monitoring(DLM)技術[2]の開発(図1)
② 光信号パワーの可視化を距離方向だけでなく、時間、周波数、偏波方向にまで拡張した4次元光パワー可視化技術の開発(図2)
③ デューク大学、NEC Laboratories America, Inc.との共同実験のもと、商用環境を模擬した北米フィールド網[3]にて、世界初、世界最高精度の実証に成功(図3)
これらの成果は、光ネットワークの構築に必要な光ファイバ伝送路状態の測定が、DLM技術を用いることで光トランシーバのみで実施可能になることを示しています。これにより、専用測定器を用いずにお客さま拠点間のすべての光ファイバや光増幅器を一括測定可能になるため、光接続の設計や異常の特定にかかる時間を大幅に短縮可能になります[4]。
<開発技術に関する詳細>
① 光ファイバ伝送路の長手方向光パワー可視化(Digital Longitudinal Monitoring)技術
DLM技術は、光トランシーバに到達する受信信号波形に高度なデジタル信号処理を施すことで、光ファイバ伝送路の長手方向に分布する光パワーを可視化しています(図1)。一般に、システムの入出力波形から、システム内部の分布パラメータを求める逆問題は非適切問題と呼ばれ、通常解くことは極めて困難とされています。NTTは、光信号が光ファイバ中を伝搬する様子が非線形シュレディンガー方程式(※5)に従うことに着目し、世界で初めて光パワーを可視化する問題を逆問題として数学的に定式化し、解の導出に成功しました。これにより高速高精度に光パワーを可視化することが可能となりました。本技術は国際会議OFC2024の最難関発表セッションであるポストデッドライン論文[1]として発表されたほか、同会議の展示会におけるデモ環境「OFCnet」を用いて動態展示されました[5]。NTTはその後も継続して開発を進め、本技術を実用化に向けてさらに精錬しています。
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