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新しいメチル化DNA結合タンパク質を発見

Digital PR Platform / 2024年8月26日 8時30分

新しいメチル化DNA結合タンパク質を発見

~DNAメチル化継承の新しい概念を提唱~


 横浜市立大学大学院生命医科学研究科 構造生物学研究室(エピジェネティクス構造生命科学)有田恭平教授、敷町怜愛さん(2023年度修士課程修了)、蛭田萌理さん(修士課程2年)、菊地杏美香さん(博士課程1年)、東京大学医科学研究所 癌防御シグナル分野 西山敦哉准教授、中西真教授、ロックフェラー大学 Isabel E. Wassing博士研究員、船引宏則教授らを中心とした国際共同研究グループは、免疫不全・セントロメア不安定症候群(ICF症候群*1)の原因遺伝子であるCDCA7とHELLSが、ヘテロクロマチン領域のDNAメチル化*2の維持に働く分子機構を明らかにしました。本成果は、CDCA7-HELLSリモデリング複合体がDNA維持メチル化に果たす役割についての新たな洞察を提供するとともに、ICF症候群の病態メカニズムの解明に貢献する可能性があります。
 本研究成果は、「Science Advances」に掲載されました(日本時間2024年8月24日午前3時)。

研究成果のポイント


ICF症候群の原因遺伝子CDCA7が、新規の片鎖メチル化DNA結合タンパク質であることを同定。
クライオ電子顕微鏡単粒子解析によって、CDCA7によるヌクレオソーム中の片鎖メチル化DNAの認識機構を解明。
ヘテロクロマチン領域特有のDNA維持メチル化の分子機構の新しい概念を発見。
CDCA7変異で発症するICF症候群のDNA低メチル化の原因を解明。






[画像1]https://digitalpr.jp/simg/1706/93556/550_250_2024082016415266c448c01b009.jpg


図1 片鎖メチル化DNAを含むヌクレオソームとCDCD7の複合体構造

研究背景
 哺乳類のCG配列中のシトシンに起こるDNAメチル化は遺伝子発現のオン・オフを決め、細胞の形質を決める細胞記憶として働きます。従って、細胞増殖に伴うDNAメチル化パターンの正確な継承は、細胞の形質を維持するために不可欠です。この仕組みの破綻は異常な発生・分化に加えて、細胞のがん化や染色体不安定化を引き起こすことで、様々な疾患の原因になると考えられています。したがって、DNAメチル化維持の分子機構の全貌を明らかにすることは、科学的にも社会的にも重要な課題です。
 DNAのメチル化異常が関与する疾患の一つとして、ICF(Immunodeficiency, Centromeric instability, Facial anomaly)症候群が知られています。ICF症候群はクロマチンリモデリング因子*3 HELLSとその活性化因子CDCA7の変異を原因とし、ヘテロクロマチンの低メチル化を特徴としています。CDCA7が持つジンクフィンガードメイン(ZnFドメイン) は真核生物に広く保存されていますが、DNAメチル化やDNAメチルトランスフェラーゼが欠如している種では見られないことから、DNAメチル化との関連が示唆されていました。しかし、CDCA7がDNAメチル化にどのように関与し、ICF症候群で見られるCDCA7変異がなぜDNA低メチル化を引き起こすのかはよくわかっていませんでした。

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