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デロイト トーマツ、TOPIX100企業の役員報酬の実態と人的資本の開示内容を分析~74%が役員報酬にESGを反映し、米国企業での割合を上回る

Digital PR Platform / 2024年8月30日 10時3分

D. 指標を活用し、各施策の進捗状況の検証・説明がされているか


目標や、経年推移等による重点施策の進捗を検証・説明している企業(一部実施含む)は昨年の48%から77%へ増加した。指標開示が強化される中で、データの蓄積・整備が進んでいるといえる


図2-2人事施策と指標・目標の連動を伝えるために必要なポイントを実施している企業の割合

[画像6]https://digitalpr.jp/simg/2100/93969/700_240_2024082715034366cd6c3f0f577.png


②開示指標では価値向上観点の指標が多く、リスクマネジメント観点の指標は少ない傾向に
各社が開示した人的資本に係る指標を、「人的資本可視化指針(内閣府)」の分類を参考に集計し、傾向を分析した(図2-3/2-4)
開示された指標は、「ダイバーシティ」(90%)、次いで「エンゲージメント」(56%)に関するものが多かった。ダイバーシティの詳細をみると、有価証券報告書の「従業員の状況」欄にて開示が義務付けられた「女性管理職」(77%)が圧倒的に多かった。「国籍」、「キャリア採用」などの指標開示は「ジェンダー」よりも少なかった
人材育成に関する方針に関する指標としては、「育成」(34%)、「スキル・経験」(31%)の他、「サクセッション」(23%)もみられた。自律的に学習できる機会・仕組みの提供や研修を通じてスキルを向上させ、キャリアシフトを図ったり、重点的な事業領域に配置させたりする例がみられた
リスクマネジメントに関連する「健康・安全」「労働慣行」「コンプライアンス/倫理」については、現在の人事管理業務で測定していると推測される指標(休暇取得率や健康診断受診率)の開示が多かった。一方、国際的に重視されるテーマである「児童/強制労働」や「賃金の公正性」に関する指標を開示するケースは比較的少なかった

図2-3開示指標の傾向(大・中分類)




[画像7]https://digitalpr.jp/simg/2100/93969/700_416_2024082814292666ceb5b6be9c7.png




図2-4開示指標の傾向(小分類)



[画像8]https://digitalpr.jp/simg/2100/93969/700_963_2024082715034366cd6c3f22ad9.png



調査結果へのコメント
デロイト トーマツ グループ パートナー 今野 靖秀
今回の調査結果からは、TOPIX100構成銘柄という日本を代表する企業群において、サステナビリティ(ESG)に関する取り組みや株主価値そのものを経営陣の評価と紐づける割合が増加していることが明らかになった。戦略や施策は立派でも、その結果や進捗が経営陣のインセンティブに跳ね返らないのであれば、結果にコミットするモチベーションが生まれない。この観点で、ESG指標と経営陣の評価への反映する取り組みが経年で進展しつつある点は評価できる。サステナビリティテーマが広がりをみせる中、全てのテーマに全力で経営陣が取り組むには限界がある。自社のマテリアリティを分析・特定した上で、重要度に応じた役員報酬への連動を検討していくことが重要だ。また、サステナビリティに関する取り組みの目標が企業価値向上、ひいては株主価値向上であることを踏まえると、TSRやEPS(1株あたり利益)といった指標と報酬との連動は、より多くの企業で導入されるべきである。
人的資本開示に関しては、2023年3月期より有価証券報告書において「戦略」及び「指標・目標」の開示が義務化されたことから、2年目となる今回の開示では各社の人的資本経営に係る独自のストーリーに触れられることを期待していた。しかし、人事施策と指標の体系的な整理や進捗の可視化は進んでいるものの、戦略の開示において価値創造ストーリーを十分に意識した記載をしている企業は限定的であった。人的資本可視化指針では、経営戦略と人材戦略の統合的なストーリーを構築することを求めているが、法定開示となる有価証券報告書では最低限の取り組み方針の記載にとどめ(リソース的にとどめざるを得なかった場合も含む)、任意開示の統合報告書等との書き分けを行ったことが要因と考えられる。有価証券報告書での開示も強化されてきているが、どの企業でも対応していることのみを開示しても、その企業独自の強みは見えにくい。企業価値創造に向け、自社でどのような戦略(価値創造パス)を描き、人事施策がどのような効果をもたらしているか、ストーリーを意識した開示の発展が引き続き期待される。

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