1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

HPVワクチンの「副反応」に関する論文の欠陥をイラストで解説 ワクチン接種について正しい理解を促す

Digital PR Platform / 2024年8月30日 20時5分

【本件の内容】
HPVワクチンの薬害訴訟では、HPVワクチン接種後に「副反応」がおこる根拠として複数の論文が使用されていますが、専門性の高さから、これまで論文内容の信頼性について評価されていませんでした。
HPVワクチンは、ウイルスに含まれるL1という名前のタンパク質が主成分です。これまで、L1と、ヒトの脳などにあるタンパク質が分子レベルで類似しているため、HPVワクチンを接種してできたL1に対する抗体はヒトの脳などにも結合して器官の障害が生じる、というコンピュータによる研究結果が「分子相同性仮説」として報告され、「副反応」の根拠とされてきました。しかし、本研究チームは、この仮説が免疫学の基本原理から検討すると破綻しており、また、実際にL1に対する抗体がヒトの器官に結合するという証拠はないことを先行研究において明らかにしました。
また、HPVワクチンをマウスに接種すると神経系の障害が起こるという論文もありますが、これらの論文は研究手法などに問題があることから、論文の掲載雑誌から掲載を撤回されています。
研究チームは、こうした内容をウイルス学や医療関係の専門家だけでなく、一般の方にも正しく理解いただくため、今回の特集論文内で豊富なイラストによりわかりやすく解説しました。

【論文概要】
掲載誌:日本ウイルス学会の学会誌「ウイルス」
論文名:
HPV ワクチンの接種率向上のために:"副反応"「分子相同性仮説」と「動物モデル」の科学的欠陥
(HPV vaccinations and cervical cancer in Japan: Flaws in alleged experimental evidence for molecular mimicry and animal models of HPV vaccine-induced "adverse reactions")
著者 :城玲央奈1、角田郁生2
所属 :1 近畿大学医学部産科婦人科学教室、2 近畿大学医学部微生物学教室

【論文の詳細】
(1)HPVウイルス粒子とHPVワクチンの違い
HPVのウイルス粒子はL1、L2という2つのタンパク質が正二十面体の形をつくり、その中にウイルスの遺伝子であるDNAが含まれています。L1タンパク質がヒトの細胞に結合することでウイルスはヒトに感染し、さらにウイルスDNAを複製することで、ヒト体内で増殖します。一方、HPVワクチンは、L1タンパク質のみから構成されており外観はウイルスに似ているため、ウイルス様粒子と呼ばれますが、L2タンパク質とウイルスDNAが含まれていないので、ヒトに感染して増殖することはなく安全です。ウイルスの一部分であるL1タンパク質のみを含むので、このようなワクチンを「成分ワクチン」と言います。HPVワクチンの接種により、L1タンパク質に対する抗体が体内でつくられ、この抗体がHPV表面のL1タンパク質に結合するため、ウイルスはヒトの細胞に結合することができなくなり、感染を防ぐことができます。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください